久保田 萬壽

久保田 紅寿

久保田 萬壽
 久保田 萬壽

 「久保田」は、新潟県醸造試験場長から、朝日酒造(株)の杜氏となった嶋 悌司 氏が生んだ名酒。開発コンセプトは、嗜好の変化が大きく高所得者が多い東京をターゲットに、淡麗辛口の酒を売り込むことでした。
 萬壽は、創業時の屋号を冠する「久保田」シリーズの最高峰で、酒造好適米の五百万石を使用した、精米歩合35%の純米大吟醸酒。上品な香りと滑らかな舌ざわりの美味い酒です。晩酌用は、燗でも美味しい特別純米の紅壽、特別本醸造の千壽がお薦めです。
 朝日酒造の酒蔵見学会の帰りに、来迎寺駅で偶然、嶋 悌司 氏とお会いしたことがあり、穏やかで厚みのある語りと気さくな人柄を感じました。
 萬壽に添えられた嶋 悌司 氏の言葉です。「いつの世でも激しく動く時代では、古い時代と新しい時代との感覚の違いが大きく、なかなか一致点が探しにくい。どんなに激しく変わっても、一貫しているだろう日本人の育てて来た感覚の本質みたいなものはないだろうか。この酒なら、一致点が得られまいか。」

 2023年3月、卒業祝で萬壽をいただき、10年ぶりに呑んだので、更新しました。
 朝日酒造は2020年5月に、会社創立100周年、「久保田」発売35周年を迎えたのを契機に、「久保田」ブランドの大リニューアルを展開しました。特に人気の高かった萬壽も千壽も複数展開となり、とりわけ千壽は、特別本醸造から吟醸、純米吟醸へと大きく変わりました。
 萬壽の大リニューアル後のスペックですが、原料の麹米は五百万石50%、掛米は新潟県産米33%、アルコール分15度、日本酒度+2.0、酸度1.2となっています。
 当時の萬壽の掛米には、確か新潟県産の「ゆきの精」が使われていたと思いますが、現在は明確な表記がされていません。ちなみに、朝日酒造の季節限定の純米大吟醸酒「得月」は、現在も新潟県産米「ゆきの精」を28%まで磨き上げ使用しています。

 (2023年更新)


 
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