作(ざく) 岡山・朝日米 純米大吟醸  作(ざく) 岡山・朝日米 純米大吟醸

 1869年(明治2年)創業、三重県鈴鹿市の蔵元、清水清三郎商店株式会社の酒です。創業者の清水清三郎氏は網元で、酒造業へ始めた切っ掛けは定かではなく、網元として蓄えた資金を元に、酒造業界に進出したのではないかと言われているようです。
 鈴鹿は、鈴鹿山脈からの伏流水が得られ、伊勢平野からは酒の原料となる米が豊富に入手でき、さらに造った酒を輸送するための港もあり、酒造りにおいて、地の利に恵まれていました。当時は、多くの酒蔵があったそうですが、現在の鈴鹿市では、清水清三郎商店が唯一となっています。
 元々、「鈴鹿川」という銘柄で、地元では知られていましたが、日本酒需要がジリ貧だった2000年(平成12年)11月、生き残りを賭けて新ブランド「作」をデビューさせたとのこと。「作」は、“さく”ではなく“ざく”と濁って発音します。わずか濁点1つですが、これが後に、全く予想しなかった展開を迎えます。
 佐野屋HPによれば、この「作(ざく)」というネーミングを聞いて、いち早く反応したのが、アニメ「機動戦士ガンダム」のファンだったとのこと。私は、このアニメを全然見ていませんでしたが、ガンダムの中で「ザク」と呼ばれるモビルスーツが登場します。熱心なガンダムファンであり、落語家、漫画家として活躍していた雷門獅篭(現在の登龍亭獅篭)氏が、自身の漫画で「作」を紹介するなど、ガンダムファンの間で「ザクという日本酒があるらしい」という話が徐々に拡がったそうです。
 さて、本題の「作」ですが、細心の注意を配りながら、じっくりと酒造りに向き合うことができるように、通常より小さなサイズのタンクを使い、繊細な菌の働きや醗酵を丁寧に管理しているとのこと。その方が、日々細かな変化に目を配らせながら、少しでも良い日本酒になるようにコントロールしやすいからです。
 また「作」シリーズは、数種の異なる酵母や作り方を変えることで、多様な香りの種類があります。共通するのは、柔らかな味わいとキレの良さ。 今回御紹介するのは、日本酒通の先輩タケウチ氏から、退職祝いで頂戴した岡山県「朝日米」を使用した「作」の限定酒です。「朝日米」は、1922年(大正11年)に誕生し、いまだ現役で食卓を彩ってくれている米で、ふくよかでリッチな旨みとコクがあるそうです。
 「作 岡山・朝日米 純米大吟醸」は、軽やかな飲み口ですが、ボリューム感がある旨味と芳しい香りもあり、絶妙なバランスの純米大吟醸酒です。スペックは、使用米は朝日米、精米歩合50%、アルコール度16%で、SAKE COMPETITION2019 純米大吟醸部門 GOLD第1位の受賞歴があります。

 (2022年更新)


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