會津宮泉 純米生酛
會津宮泉 純米生酛
 會津宮泉 純米生酛

「會津宮泉」は、福島県会津若松市東栄町にある宮泉銘醸株式会社が醸す銘柄の一つです。創業は、宮森啓治酒造場として昭和30年(1955年)、昭和39年(1964年)に宮泉銘醸株式会社として法人化。
この蔵は、米へのこだわりがあり、大きく分けて「会津・福島県産」の米、「県外の名産地」の米を使用して、酒を造っています。「會津宮泉」は、通年販売の純米酒、吟醸酒以外に、毎月のように季節限定酒が出ています。
今回御紹介する「會津宮泉 酵母無添加 純米生酛」は、8月の季節限定商品で、とある偉い方にいただいて初めて飲みました。
生酛(きもと)造りとは、酒母を仕込んだ後、山卸し(酛摺り)作業を行う製法のことです。日本酒の醸造過程に酒母造りがあります。
酒母とは、蒸米と水に麹、酵母、乳酸菌を加えたもので、酵母を培養することによって、日本酒の発酵の元になります。この酒母が、日本酒の原型である醪(もろみ)のベースです。
酒母は、糖をアルコールに変える酵母の集合体のようなものですが、酵母とともに重要なのが、乳酸菌の存在です。乳酸菌から生まれる乳酸には、日本酒にとって必要のない雑菌を死滅させる役割があります。乳酸が入っていない酒母は、様々な雑菌によって侵食され、やがて腐ってしまいます。
酒母において、酵母と乳酸は、二人三脚の存在です。
山卸し(酛摺り)とは、乳酸を添加せず、一から乳酸菌を育てる昔ながらの製法です。現在では、精製された乳酸が手に入りますが、それがない時代は、乳酸も手造りでした。
空気中や蔵の壁、天井などに自生する乳酸菌を繁殖させて、酒造りに使っていました。米や米麹をすり潰し、溶かしてドロドロの液体にして、乳酸菌が発生しやすい環境を作り、空気中の乳酸菌を取り入れ、増やしていきます。
現在では、乳酸を添加して酒母を造る「速醸酛(そくじょうもと)」が主流ですが、乳酸菌を取り込み、繁殖させて乳酸を得て育成した酒母を「生酛(きもと)」と呼びます。
速醸酛は、明治時代に発明された画期的な技術で、約2週間で酒母が出来上がるのに対し、生酛の場合は約1か月。生酛は、時間も手間もかかる昔ながらの酒造り製法です。
実は、現在の日本酒のほとんどは速醸酛を採用しており、速醸酛:山廃酛:生酛の割合は90:9:1と言われています。
生酛造りの蘊蓄が長くなりましたが、「會津宮泉 酵母無添加 純米生酛」の味は、私好みの◎。米本来の旨味とコクを感じる濃醇な味わい、冷よし燗よしコスパ超よしのお酒です。

 (2026年)


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