少し前に、
≪舟を編む≫という映画を観た。
時間も雑音も気にならないくらい集中できて、
終わってからもずっと余韻に浸っていた。
前知識を何も入れずに、ふらっと観たのも良かった。
私には、配役がぴったりで本当にその人だと思えて、
笑ったり、ひやひやしたり、哀しんだり、うらやましくなったり、
気持ちがのびのびして楽しかった。
いつもなにげなく使っている言葉や、
日々のささやかなひとときが、
どれだけかけがえのないものか、どれだけ愛しむべきものか、
じっくり考えるきっかけにもなった。

創意工夫というのは、
心のゆとりそのものなんだろう。
ちょっとしたところで何かが変わるのを
面倒くさがらずに、あきらめずに、できるかどうか。
毎度のことながら、自分なりには、
何とか真面目にやってきたつもりでいたけれど、
解っていなかったことばかりで、がっかりしてしまう。
そう自覚できるうちがしあわせなのか。
そんな意識すら無くなったら・・・、こわいこわい。

初めて読んだ石田千さんの本、
店じまいがとてもすてきだった。
端的で美しい言葉のリズム。
読み始めてすぐに、引き込まれた。
お話ひとつひとつ、こんな感じなのかなと、
場面が浮かんできておもしろい。
だらだらと言葉を重ねなくても、
さらさらと想いが伝わってきて、少しせつなくなる。

 


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