あの人だったらどう思うのだろう。
あの人だったらどう乗り越えるのだろう。
亡くなった人たちが鮮明によみがえるのは、
桜の季節だからなのか。
ありがたいことに、想い出すのは笑顔ばかりだ。
やさしく楽しくしてもらった時間ばかりだ。
珈琲の湯気の向こうにぼんやり浮かんでは、すうっと消えていく。

苛立つのは、ジブンの不甲斐なさに対してだけで、
だから誰も悪くない。

余裕をもって過ごしていれば、
いつか寛容さは育ってくれるかと期待していたけれど、
まだまだ私には修行が足らない。
新入生、新社会人が、ぴかぴかの笑顔ですれ違っていく。
私は私で、新しいジブンを見つけようか、育てようか。

3月には、少しばかりの悪あがきもしたけれど、
結局大きな買い物はできなかった。
世間は買え買えのおどしムードだったけれど、
とたんに買う気がなえてしまったジブンは、冷静なのか鈍重なのか。

なかなか逢えないとしても、
すきな人たちが元気でいさえしてくれれば、それだけでいいと願う。
生きていればいつか逢える希望はあるのだから。
亡くなってしまった人たちは、ものすごく身近に感じられるけれど、
どんなことをしてももう逢えない。
そう、二度と逢えないのだ。
私にはそれがものすごく淋しいし、やっぱり、厭だなぁと思ってしまう。



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