こだまにて


小田原をぬけると
すこしほっとしている
行くのではなく
僕は
帰っているのだ

木のスプーンだと折れてしまう
きみが文句を言いながら
美味しそうに食べていた
カチカチの抹茶アイス
今日こそは食べてみようか

待っている時にかぎって
売りに来てはくれない
さっきまで熟睡していた学生が
ホームをゆっくり歩いて行く
大きなカバン軽そうにぶらさげて

次は新富士にとまります
ていねいな響きのアナウンス
いつもどおり在るものが
いつもどおり在るしあわせよ
今、見惚れているこの山も
ひと月ぶりのきみの笑顔も




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