うかつというか、不徳のいたすところというか、とても貴重な体験をした。
気をもむいくつかの事をすませて、ほっとしながら楽しみの予定に出かけた。
まさかここでと思う場所で、一瞬自分でも何が起きたのかわからないまま、
初めての大怪我をした。
自分のなまあたたかい血液が、頭からとくとくと流れていくのを感じながら、まずいな
今ここでだめになるわけにはいかないなと、頭の中はやたら冷静で、とりあえず
しっかり止血しながら、施設の方々にご迷惑かけて申し訳ないなとも考えていた。
幸いなことにその日は、腕のいい脳外科の先生が救護室に来ていて、すぐさま
細やかな説明とともに、的確に処置していただけだ。
看護師さんたちも、皆さんとてもやさしくていねいで、処置後少しくらっとしたので、
しばらく休ませてもらった。
子供の頃から、石橋を叩いて叩いて渡らないようにやってきたので、まさか自分が
こんなことになろうとは、まったく夢にも思わなかった。
ただ、まだ生きていなくちゃと真剣に願う自分の本心を確認できたことは、何よりの収穫
だった。
その後、とりあえず着替えられるだけ着替え、予定をこなして何とか帰れた。
自分のまぬけさをしみじみと感じる長い長い一日だった。
まあ、終わりよければすべてよし、としようかな。