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日本の大豆☆アメリカの大豆 第10週

テーマイラスト
ばらえてぃ その4

VARIETY(品種)VOL.4

(ポン太郎)
 親分!大変でぃ!

(owner)
 おお、どうしたんだポンの字。今日は随分江戸っ子じゃねーか。


(ポン太郎)
 隠居風に長閑にしている場合じゃないでやんす!
ピ、Pのつく大豆が出てきたでやんすよ!

(owner)
 P?
 PON太郎大豆か?ネズミのくせにプライベート銘柄とは偉いねえ。

(ポン太郎)
 ・・・そういう誰でも予想できるベタなギャグはやめるでやんす。
 新聞見てたら先週研究したIOM大豆に変わって、IP大豆ってのが増えてきてるってえじゃないですか。
 IOMが、インディアナ、オハイオ、ミシガンなら、IPはどこでやんすか?アイオワandペンシルバニア?

(owner)
 なんだ、IP大豆か。ありゃあIPハンドリングされた大豆っていうのを日本人のクセで更に縮めちゃっただけだよ。  IPの「I」は「Identity」の「I」、Pは「Preserved」の「P」。

(ポン太郎)
自己同一性の保護(Preserve)された大豆?
【identity】
人格における同一性
ある人の一貫性が成り立ち、それが時間的・空間的に他者や共同体にも
認められていること。自己同一性。同一性。主体性。(広辞苑)

(owner)
 ・・・妙なアイデンティティをお持ちだね、お前。ネズミが字引まで引かなくてもいいよ。
 この場合は、IDカード(身分証明書)のIdentityだと思ってもらうとわかりやすいよ。
 IP大豆ってのは、あたかもIDカードを携帯しているかのごとく「氏素性のはっきりした大豆」のこと。つまり「生産段階から産地とか品種とかをわかる状態で他のものとはきっちり区別して流通している大豆」のことだ。

(ポン太郎)
 ・・・今一よくわかんないでやんす。そもそも素性のはっきりしてない大豆なんてあるんでやんすか?

(owner)
 それがあるんだよね。先週、アメリカには万単位の大豆品種があるって云う話をしたじゃん。いくら何でもそれを一つずつ丁寧に袋に詰めて売ってるわけじゃない。農家も1件でいろんな品種を植えてるし、それをごた混ぜに大型トラックの荷台に積んで出荷して、地域のでっかい乾燥調製施設(カントリーエレベーター)に運んで、更に他の農家の大豆とごた混ぜになるでしょ。
 それが、貨車やら小型船やらで港に運ばれて、それが更に何万トンって規模の大型船にザーッとあけられて・・・・なあんてことをやっているうちに、混ざりに混ざって、氏素性どころの騒ぎじゃないんだ。

(ポン太郎)
 聞くだにヤンキーっぽい大らかな状態でやんす。
 日本なんか、お米の産地や銘柄がインチキだったってなだけで、途方もない大騒ぎになるのに・・・。

(owner)
 まあ、国民性っていうのは確かにあるよね。でも、それだけじゃなくて、アメリカでは基本的に大豆は植物油の原料だと思われているから、油分がどれぐらいかっていうのがポイントで、品種だの産地だのに全然こだわらなくていいし、そういう生産と流通のシステムができあがっちゃっていても不思議はないんだよ。
 日本でも豆腐用に使われているIOM大豆も、アメリカでは油になっちゃっているから、基本的にはバルク(バラ積み)での取り扱いだよね。船で運ばれてきた状態のものを見せて貰ったら、大豆100粒に対して1粒ぐらいトウモロコシが混じってたから、大らかっていうかアバウトなもんだよ。(もちろん豆腐用の原料として出荷する前にはちゃんと選別して、そういうゴミはとっちゃうよ)

(ポン太郎)
 ふっへー。だけど、そんなごちゃごちゃな世界でア、アイデンティティーとやらを守るってのは凄い面倒くさいことなのでは・・・

(owner)
 もちろん。
 手法としては
1)産地で袋やコンテナに詰め込んで輸送
2)産地付近の積出港から品種などを限定して小さめの船にバラ積みして輸送
3)産地から、貨車などで区分けしながら大きな港に輸送し、5万トン位の大きな船の船倉を板やシートで区切って輸送
 など、いろいろ商社さんによって工夫してやっているみたいなんだけど、途中で少しは混ざっちゃうみたいだし、そもそも農家の段階で混ざってるかもしれないし、苦労はするだろうよ。儲からなきゃ、こんなことバカバカしくてできないって。

(ポン太郎)
 ・・・ってことは儲かるでやんすか?

(owner)
 たぶんね。もともとは、食品用にとびきり向いた「特別な品種」とか、普通の大豆と混ざっちゃったら意味がない「有機大豆」とか、そういう「お高い大豆」用に開発された輸送システムで、けっこう歴史は長いんだよ。
 最近、特に注目されるようになったのは、遺伝子組換え大豆(GMO大豆)が話題になるようになって、遺伝子組換えの混ざっていないIOM大豆の需要が急伸してきたからだと思うけど。

(ポン太郎)
 ええ!IOM大豆にもGMO大豆があるんでやんすか?

(owner)
 そりゃあるでしょ。IOMってのはインディアナ、オハイオ、ミシガンの3州で作ったってだけなんだから品種にはこだわらないし、GMOかどうかっていうのと別の問題だよ。何パーセントまではわからないけど、平均的なアメリカ大豆農家が4割もGMOを植えてるところからして、コーンベルト地帯が例外ってことはないと思う。


(ポン太郎)
 うーん、別にGMO大豆なんか食べたってどうってことない気がするでやんすけどねえ。除草剤かけても枯れない体になるだけでやんしょ。(←なりません)

(owner)
 まあ、人の心の問題だからその辺は難しいよ。
 それ以前に生の大豆をそのまま食べると体に悪いから、あんたはやめておきなさいよ。

(ポン太郎)
 えー、でも生がうまいのに!

(owner)
 禁断の味ってのはそういうものです。
 まあ、それはともかく、今では変な風に使われているIPハンドリングなんだけど、もともとはさっきも云ったように「特別な品種」や「有機大豆」を運ぶためのシステムなんだよね。この「特別な品種」っていうのが、「IOM大豆」をぐいぐいと押しのけつつある面白い奴らなんで、品種の話はまだもうちょっと続けたいんだけど、さすがに疲れてきたのでそろそろSee You NEXT WEEK!していい?

(ポン太郎)
 一つのネタでずっと食いつなぐつもりでやんすね。まあいいでやんすよ。

(owner)
 だってイラスト変えるの面倒なんだもん(一応テーマが変わったら変えようかという意欲はある)。
○今週のホームページ

IPハンドリングされる特別な大豆のことを「隙間ビジネス」としてイリノイの生産者に向けて解説したページ
Niche Market Soybeans

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