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日本の大豆☆アメリカの大豆 第11週

テーマイラスト
ばらえてぃ その5

VARIETY(品種)VOL.5

(owner)
 さて、今週もあいかわらずアメリカ大豆のいろいろの話です。
 これまで、アメ大(←アメリカ大豆の通称。ただし、ownerの心の中でしか通じない)には、産地が指定されているIOM大豆や、特別の流通形態をとっているIP大豆があるという話をしてきたけれど、今日はぐっと踏み込んでバラエティ大豆の紹介をしちゃいます。

(ポン太郎)
 バラエティ大豆ってなんか楽しそうな豆でやんすね。一袋にイロイロ入ってるでやんすか?

(owner)
 そうそう。袋を開けるとコントとトークと音楽と・・・ちゃうわい!すぐ止めんか、ばか!

(ポン太郎)
 いやあ、さすが、一昨日、日○レの今夜も営○中を見ただけあってノルなあ・・・と。

(owner)
 うーん、やっぱり土曜日にキムタクのご尊顔を拝せるってのはいいやね。もう何週間スマスマを見てないやら・・・。

(ポン太郎)
 ま、親分、それも人生でやんすよ。ところでバラエティ大豆って何でやんすか。

(owner)
 ・・・急に引き戻すなよ。バラエティってのは、ホレ、辞書で引くと
【バラエティ】
@変化、変種「・・・に富む」
A歌・踊り・話・寸劇など、いろいろ組み合わせた演劇の形式。バラエティ・ショー。
(三○堂 国語辞典) 
スマスマは、云うまでもなくAだな。

(ポン太郎)
 じゃあ、バラエティ大豆ってのは@でやんすか?変種の大豆とか変化しちゃってる変な豆?

(owner)
 ・・・そんな豆、何に使うよ。実はこれも先週のアイデンティティと同じく、日本人の英語の知識が外来語があるばっかりに偏っていくという典型だよね。バラエティ大豆のバラエティは、英語の辞書を引くとすみーっこの方に出てくる「種類、品種」の意味なんだ。

(ポン太郎)
 おおっ!そういえば、今週のテーマも「ばらえてぃ(品種)」!

(owner)
 わざとらしいって。もう何週もこのお題なんだから・・・。

(ポン太郎)
 でも、バラエティ大豆=品種大豆って何のこっちゃでやんす。

(owner)
 そこが日本語の奥深いところだよ。この言葉はたぶん、普通の市民には関係のない、問屋さんとか商社さんの業界用語なんだよね。おそらく「バラエティを指定して輸入された大豆」っていうのをてっとりばやく略しただけなんじゃない?

(ポン太郎)
 ????

(owner)
 ほら、先々週、IOM大豆って云うのは、インディアナ・オハイオ・ミシガンで採れた豆だっていったじゃない。あれは「産地」を指定した大豆だよね。ひっくり返せば、産地さえIOM地域なら、品種はなんだっていいんだ。たぶん何百、何千品種が混ざっちゃってるわけ。
 それに対して、バラエティ大豆は、ちゃんとなんていう名前の品種なのかがはっきりしていていて、Aという品種ならA品種、BならB品種だけが、他のものとはまぜこぜにならずにきっちり区分して輸送されて、日本に入ってきているんだよ。

(ポン太郎)
 ・・・なんか、気のせいかデジャブでやんすよ。先週もIP大豆の説明で似たようなことをきいたような・・・。

(owner)
 そのとおり☆
 バラエティ大豆ってのはまさしくIP大豆の仲間なんだよ。氏素性が、品種名にいたるまできっちり指定されて流通している大豆で、そもそもが、こういう大豆を運ぶためにIPというシステムができたようなものなんだ。
IP
(ポン太郎)
 ふっえー。しかし、なんでまた、いちいち品種を指定しなきゃいけない んでやんすか?IOM大豆だってお豆腐は作れるでやんしょ。  

(owner)
 ちっちっち。そこが日本人のやかましいところなんじゃん。水晶米よりは魚沼のコシヒカリ、ただの輸入ワインってよりはボルドーの○○谷のカベルネソービニヨーンで作った△△シャトーのワインがいいわけで、つまり、ものごとは細かく指定すれば指定するほど高級なのだ。
 もっともバラエティ大豆が誕生したのは、そんなバブリーなブランド根性だけじゃなくて、旧来のアメリカ大豆の品質に問題があったからなんだよね。アメリカでは、大豆は油の原料だったって話をしたと思うけれど、それに対して豆腐、味噌、納豆といった「日本の食卓」は、日本の大豆を基本に発達した食品達なんだ。
 例えば、お味噌だったら色が綺麗で、しかも一般的には大豆の臍(目)の色が黄色い大豆(白目大豆)がいいとされている。これに対して、アメリカのIOM大豆は、臍の色が黒褐色(黒目大豆、褐目大豆)だから、味噌にしたときに、黒い部分がゴミか虫みたいに残っちゃって、見た感じが悪くなるんだよ。

(ポン太郎)
 ・・・そういう理由で、テーマイラストのヤンキー大豆には、焦げ茶色っぽいゴミみたいのが頭についてるでやんすね。  

(owner)
 そゆことだ。日本の大豆にも褐目大豆はあるし、それはそれでいいところのある大豆なんだけど、比率からいくと白目の品種がだんぜん多いよ。
 煮豆や納豆も、一般的には白目の方が綺麗に仕上がるので好まれている(ただし、ownerが世界一えこひいきしている納豆は北海道の褐目品種で作った奴なんどけど・・・)

(ポン太郎)
 大豆のヘソの色なんて気になると云えばなるし、ならないと云えばならないでやんすけど、他にIOMじゃ具合が悪いことはあったんでやんすか。

(owner)
 うーん。いっちゃんわかりやすいのは、大きさかな?IOM大豆は中途半端な中粒(100粒で18グラムぐらい)なんだけど、例えば国産の煮豆用の大豆だったら、100粒で30グラム以上はあるんだ。逆に、関東でよく食べられている小粒納豆用には、100粒で10グラム前後のすごく小さな大豆が必要になる。IOMじゃ帯に短くてたすきに長いんだよ。
 その他にも、国産大豆の方が糖分が高いとか、お豆腐に向いた蛋白質の高いものがあるとか、それなりに食品の歴史を反映した品種が揃ってたんだよ。
 なお悪いことには、日本には戦前、戦後とかなりの中国大豆(満州大豆)が輸入されていて、これがなかなかいい品質だったんだよね。どうしてもアメリカ大豆は見劣りしちゃって、それで、食品用に大豆を売りたければ、それなりの品質の品種を持ってこい!って展開になっちゃったわけだ。

(ポン太郎)
 なんだか、戦争に負けた割には日本人も強気でやんすね。

(owner)
 まあ、手前味噌って言葉があるぐらい大豆製品には愛着があったから、そんなに簡単に妥協したくなかったんじゃないの?
 アメリカ人だけじゃなくって、大豆の手当てにやっきになった日本の商社さんも頑張って、いい品種を探したあげく、昭和36年に豆腐向けのHawkeye(ホーカイ)、味噌向けのHorosoy(ホロソイ)というバラエティ大豆の輸入が始まった。また、甘露(カンロ)という品種とRichland種を掛け合わせたKanrich(カンリッチ)という白目大豆の品種が開発され、昭和39年にはM−1という名前で日本に輸出されるようになったそうだ。

(ポン太郎)
 ひえー、結構歴史が古いでやんすよ。IOM大豆の輸入が始まったのと殆ど変わらないじゃないでやんすか。

(owner)
 云われてみればそうだよね。その後も州立大学や民間会社で品種改良が進められて、さまざまなバラエティ大豆が開発されたんだ。今では納豆用の小ちゃい大豆もアメリカで生産できるし、豆腐用にも1981年にアイオワ州でVinton81っていう蛋白質含有量の高い品種が開発されて、今のバラエティ大豆の主流になってる。
 日本の大豆を持ち出して生産して(USタチナガハなど)日本に逆輸出してる人もいるよね。

(ポン太郎)
 え?そ、それは法律的には問題ないんでやんすか?と、特許とか・・・。

(owner)
 うーん、新しい種苗法では、育成者の権利が拡大されたから、問題になるんじゃないかなあ?(←あんまり詳しく知らないから違ってたらごめんね)
 種苗登録が有効な品種(大ざっぱに云うと最近20年間に日本で開発された品種)を、育成者の許可なく日本に「輸入する」のはダメだから、文句云われる前に気をつけた方がいいと思う。古い品種、例えば在来種なんかは大丈夫だけれど、スズマルとかトヨコマチとかは、日本の税金で開発された日本人の財産だから、アメリカ人を儲けさせるのには使わないように(←誰に云ってるってわけじゃないんだけど・・・)

(ポン太郎)
 ふむう。それにしても毛唐の分際で、日本向けの大豆を育てるとはあっぱれな連中でやんす。

(owner)
 アメリカって国は、日本人が思ってる以上に農業が基本の国だからねえ。田舎の大学だと、農学部なんて大学で一番いい場所にあるし、農家が品種の開発にお金を出したりもしてるんだって。
 10年ぐらい前に一時、国産大豆が減り始めて、それでバラエティ大豆は着々量がふえてきてるみたいだ(食品用100万トンのうちの20万トンぐらいとか云われているけれど、統計があるワケじゃないみたいだから、実際のところよくわかんない)。
 これからGMO問題もあるから、ますますIOM大豆のシェアが小さくなって、バラエティ大豆が増えてくるんじゃないのかなあ。結果的に高い大豆を売りつけてくるんだから、こうしてみるとアメリカ人も商売うまいよなあ。 

(ポン太郎)
 親分、感心してる場合じゃないんでやんすよ。そんなんで日本の大豆、大丈夫なんでやんすか?

(owner)
 うーん、国産大豆は「何故か」うまいぞっていう、その「何故かの秘密」が解き明かされないうちにガンガン頑張るしかないでしょ。人もお金も少ない日本の大豆研究だけど、たった二つだけ、日本の品種改良をしている人達が、アメリカ人に比べて断然有利ってことがあると思う。

(ポン太郎)
 ??もしや、日本人は納豆が食えることでやんすか?

(owner)
 半分当たり。納豆嫌いの育種屋さんもいるけど、基本的に、豆腐、味噌、納豆の味やそれを取り巻く文化を知っているっていうのは、凄い大事なことだよ。アメリカ人と味噌なんて、日本人にとっての火星人の食材みたいなもんだろうし・・・(ちょっとオーバーだけど)。
 それから、何と云っても日本人は日本語が喋れるのが一番だ。

(ポン太郎)
 親分、いきなり低レベルでやんすよ。

(owner)
 ちっちっち、甘いな。コミュニケーションというのはそれぐらい大事なんだ。だって、このホームページが英語だったらお前読んだか?

(ポン太郎)
 それ以前に、英語のホームページなんか親分書けないでやんしょ。

(owner)
 うるさいっ!いきなりだけど頭キタからSee You Next WEEK!

(ポン太郎)
 ・・・そこだけ英語にしなくても・・・
○今週のホームページ

豆腐用の大豆を探しているアメリカ版「読者の手紙(?)」
where to find tofu grade soybean
豆腐市場めがけて研究をしているノースダコタ州立大学のページ
Tofu Characteristics Influenced by Soybean Crop Year and Location
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