週間★自由研究[戻る]
日本の大豆☆アメリカの大豆 第8週

テーマイラスト
ばらえてぃ その2

VARIETY(品種)VOL.2

(owner)
 今週も引き続き品種の話です。
 日本には沢山の大豆品種が生産されているけれど、みんな日本に古くから伝わるものだったり国内の農業試験場で開発されたものなんだよ。気候条件の違う外国の品種をそのまま持ってきても、そのままじゃ馴染まないから、いわゆる「外人さん」がダイレクトに農家で生産されることはないんだって。

(ポン太郎)
 馴染まないってどういうことでやんすか?

(owner)
 例えば育ちすぎて「でろーん」とツタみたいになっちゃったり、逆に早く花が咲きすぎてチビチビになっちゃったりね。大豆は温度だけじゃなくて夜と昼の長さとかによっても成長が影響されるし、一つの品種の栽培に適した地域が凄く限られてるんだよ。
 お米だったら新潟でも宮崎でもコシヒカリ作ったりするけど、大豆だとそんなことはまずない。せいぜい、関東地方と北陸地方だけとか、北東北地方限定とか、すっごく限られている。栽培が1県だけ、なんて品種も沢山あるんだよ。

(ポン太郎)
 じゃあ、新しい品種を作るのも大変でやんす。日本では、どこで開発してるんでやんすか。 

(owner)
 国の機関では東北農試、九州農試、農業研究センター、それから国の指定試験地の北海道の中央農試、十勝農試と長野県の中信農試の6つだよね。県単独の試験場はそんなに多くないんだけど、秋田農試や佐賀農試が結構有名な品種を出しているかな?最近では、中国農試が始めたらしいんだけど。

(ポン太郎)
 いろいろなとこがやってるんでやんすね。じゃあ、毎年沢山品種ができて当然でやんす。 

(owner)
 え?そんなに沢山はできないよ。
(年間デビュー数は全国で1〜5品種)

(ポン太郎)
 な、なんででやんすか?いいお母さんといいお父さんがいれば、いい子がざくざく産まれるでやんす。

(owner)
 ・・・そういや、お前、ネズミだっけ・・・(ポン太郎はハム。でも子供の増え方はやっぱりネズミ算)
 そのいい子って奴ができるまでには10年ぐらいかかるんだってさ。

(ポン太郎)
 ええっっ10年!

(owner)
 そう10年。例えば最近の大型新人と云われる秋田県のリュウホウっていう品種の場合、お母さん(スズユタカ)とお父さん(タマヒカリ)を交配したのは昭和58年でしょ。それから数年はできる大豆もお父さんに似てる子がいたりお母さんに似てる子がいたりしてバラバラだから、何代も育てて落ち着かせながらいい子を選んでいく。病気に強くて、大粒で、豆の皮が破れにくいとかね。
 遺伝的にも安定して、本格的に性格を調べるために系統番号っていう仮の名前をもらったのが平成3年。
 これは性格が本当にいいから県の農業試験場にもお披露目しようってことになったのが平成4年。このころには地方番号(東北113号)っていう名前がつけられる。
 それで更に性格調査が続けられてようやく認められて名前がついたのが平成7年。数えてみるとえーと12年モノ?

(ポン太郎)
 じゅ、12年って云ったら、おいらのひーじーさんのひーじーさんのひーじーさんの・・・ああ”わからない”!

(owner)
 そうやって苦労した品種だから、ヒットしたときは嬉しかっただろうね。リュウホウくんは農林水産省が開発した100番目の品種(農林100号)に輝き、去年は全国9位の作付けをマークしたんだよ。

(ポン太郎)
 そ、その言い方は、まるでヒットし損ねた品種がいるみたいでやんす・・・。

(owner)
 ・・・ま、どの世界にもいろいろあるんだよ。でも、10年以上もかけて育てたら、子供と一緒じゃん。あんまり、無責任に悪口とか云っちゃいけない気がするんだよね。その品種がたまたま時代に合ってなかっただけとか、まだ十分宣伝されてないだけなのかな、とも思うし。とくに、この10年は、大豆があんまり注目されてない10年だったから、これから有望っていう子も沢山いるんだよ。

(ポン太郎)
 親分、やけに優しいけど、それなら我が子同然のおいらをバカバカ罵るのはなんで?

(owner)
 こんな毛むくじゃらの足の短い我が子を持った覚えはないよ。

(ポン太郎)
 ・・(がびーん)・・。 ポン太郎

(owner)
 あーごめん。こんな可愛い我が子でうれしいっす。まるで、育種家さんの目の前で品種の悪口を言った時みたいな悲しい目をするんじゃないの。
 自分も、なんで育種にそんなに時間がかかるのか今ひとつ合点がいかなかったんだけど、よく考えたらメンデルの法則って、確か豆(エンドウ)で実験してるんだよね。シワがある豆と丸い豆をかけあわせたら、その子供はみんな丸いのに、その次の子供は丸い豆が3に対して、しわの豆が1つという風に性格が分かれる。遺伝する形質が二つになれば、9:3:3:1で4種類の表現形質にわかれるんだったよね(ちょっと自信がない)。

(ポン太郎)
 ・・(もちろん自信ない)・・。

(owner)
 こうやって、いろんな子供を作っておいて、気に入った数株を選んでは一列ずつ植えて、そこからまた気に入った列の気に入った株を選んで種を取り、また植えてみるんだって。それを繰り返す。
 このどれを選ぶのかっていうのがブリーダー(育種家)の命だから、畑で考えをまとめるために煙草の本数が多くなるんだとかヘビースモーキングの言い訳をした人もいたよ(もちろん煙草を吸わないブリーダーさんも沢山いる)

(ポン太郎)
 な、なんだか難しいけど、今はやりの遺伝子組換えとかやっちゃえば一発なんじゃないすか?

(owner)
 エラい時事問題をとりあげるなー。でも、今は国産大豆=遺伝子組換えフリーで、品種開発にも全然使ってないんだって。意外に大豆で組換えやるのって難しいみたいだし、うまいこと目当ての遺伝子が入るとも限らないし・・・。

(ポン太郎)
 要するにそこまでのテクニックは日本にないと・・・。 

(owner)
 ヤなこというな。そうかも知れないけどさ。
 でも、大豆の新品種が「いい」っていうのはいろいろ複雑な性格が組合わさって「いい」っていうことなんだよね。たかだか遺伝子一つ弄ったからってどうなるものでもないから、交配育種の方がいい場合も多いんだって。
 例えばオリックスのイチローみたいに野球のうまい子供を遺伝子組換えで作ろうと思ったら、丈夫な筋肉の遺伝子とか、目のいい遺伝子とか、度胸の遺伝子とか、そんなもんあるのかわからないけどそういう遺伝子を見つけてきて全部ねらった正しい場所に入れないといけないでしょ。それぐらいなら、ソフトボールの得意な綺麗なお姉ちゃんをあてがってイチローの子供をダイレクトに作ってもらった方がずっと早道なわけよ。

(ポン太郎)
 ・・・で、でもナガシマ監督の息子は大したことなかったでやんす。

(owner)
 うーん、交配だけじゃなくて選抜も大事なんだろうなあ。お前みたいに可愛いハムスターも遺伝子組換えじゃあできないよ。

(ポン太郎)
 じゃ、じゃあおいらにもソフトボールの得意な綺麗なお姉ちゃんを・・・

(owner)
 (ゴン!)
 ともかく、日本のブリーダーのみなさんも頑張ってるから、これからの期待の星を一株紹介するね。
九州131号あ、期待のあまり輝いてしまった・・・

 これは、九州131号と云って、日本の作付けナンバー1品種フクユタカとナンバー2のエンレイを親に持つっていうサラブレッドなんだそうだ。フクユタカより早く熟するから、組み合わせて使えば、収穫期間が長くなって機械が効率的に利用できるし、品質はエリートの親に似てばっちりとかで、中国地方とか九州北部で注目されてるみたい。

(ポン太郎)
 早くデビューするといいでやんすね。

(owner)
 ホント、心から祈ってるよ。
 さて、品種の話はまだもうちょっと続けたいんだけど、オーナー夏休みにつき、来週はちょっと研究を休んで、予告していた「おから特集」をしようと思うんだ。

(ポン太郎)
 ええっ。じゃあ、おいらはどうなるでやんすか?

(owner)
 おからといっしょにハム・ハムバーグ?・・・・やめた、まずそうだ。
 ともかくそういうわけで、See You the WEEK after NEXT WEEK!

(ポン太郎)
 ・・・は、はむばーぐ・・・?
○今週のホームページ

品種改良をしている試験場の頁
北海道立十勝農業試験場豆類第1科
北海道立中央農業試験場畑作部畑作科
次週に進む
今週号への感想はこちら