週間★自由研究[戻る]
日本の大豆☆アメリカの大豆 第9週

テーマイラスト
ばらえてぃ その3

VARIETY(品種)VOL.3

(owner)
 予告もなく自由研究のアップが遅れました。このままじゃ「週間★」の看板を下ろして「月刊★自由研究」になっちゃうところだったよ。楽しみに待っていてくれた人(そんな人いない?)ごめんなさい。

(ポン太郎)
 怠け者の夏でやんす。ところで親分、今更だけどなんで「週刊★」じゃなくて「週間★」なんでやんすか?

(owner)
 ギク・・・。
 そういえば、最近は自由研究のネタを自然に探しちゃうので「習慣★自由研究」なあんちゃって。

(ポン太郎)
 ・・・そういうおバカを云っていると「収監」されちゃうでやんすよ。縁起悪く「終巻★自由研究」とかいう強制最終回攻撃もあるでやんす。
 ワープロ間違いに今まで気がつかなかったボンクラは放っておいて、今週も品種の話でやんすね。 

(owner)
 ネズミのくせに勝手に仕切るなよー。間違いには連載の3回目ぐらいに気がついてたけど、今更引き返せなかったんだい!
 ヨタ話はこれぐらいにして、前回までは日本の品種とか品種開発を怒濤のごとく紹介したので、今週は初心に戻って「アメリカの大豆」っていう奴を研究してみたいと思います。さて、ポン太郎、アメリカの大豆の品種で知ってるのがあったら云うてみなさい。

(ポン太郎)
 あ、おいら、それはこないだ新聞で読んだでやんすよ。GMOっていうのとIOMっていうのが載ってたでやんす。 

(owner)
 ふーん。じゃあ聞くけど、GMOって何の略?

(ポン太郎)
 グ、グレートなマメ・・・Oh my god?

(owner)
(ベシッ!)わからないならわからないと云いなさい!
 残念ながら、GMOもIOMもアメリカの大豆に関係のあるグループを指す言葉だけど品種の名前じゃないんだよ。GMOはGenetically modified Organismの略で、遺伝子組換え作物っていう意味だ。

(ポン太郎)
 おお、いま話題の。

(owner)
 そう。話題の。だから新聞とかで見たんじゃないの?(それにしてもハムスターの分際でいつ新聞を・・・)
 いまアメリカではモンサント社の「ラウンドアップレディ」とアグレボ社の「バスタ耐性大豆」、オプティマム社の「高オレイン酸大豆」の3種類の遺伝子組換え大豆が開発されているんだけど、これは、組換えた遺伝子という観点から見たときに3種類というだけであって、品種の数から云うと、もっと沢山あるんだって。一度GMOの食品としての安全性や環境に対する安全性が確認された品種は、他の品種と掛け合わせたりして品種改良しても、基本的には同じものだと見なされて改めて安全性確認をする必要がないから、無頓着に同じ名前で呼んでるみたいだね。
 例えばラウンドアップレディ大豆だったら、今では米国内で1000品種ぐらい開発されているんだそうだ。

(ポン太郎)
 1000品種!
 で、でも、このあいだ品種改良には10年かかるって云ったでやんす!の、延べ一万年かかるでやんす!

(owner)
 無理に延べなくてもいいよ。一人一品種しか作らなくても1000人雇えばいいんじゃん・・・すごいか(例えば日本の育種だったら、多いところでも一地域5人ぐらいしかいない)
 モンサント社自体がお金持ちの企業な上に、アメリカの品種改良では、冬に南半球のプエルト・リコとかで大豆を育てたりして、1年に3回ぐらい栽培しちゃうみたいだからねえ。

(ポン太郎)
 1000・・・(まだショックが抜けていない)。ア、アメリカには一体いくつ大豆の品種があるんでやんすか?

(owner)
 10年前の本とかを読むと、1万品種ともそれ以上とも・・・なんて書いてあるけれど、ラウンドアップ・レディだけで1000もあるんだったらもしかしたら一桁違うのかもね。凄い国だねえ、ははは。

(ポン太郎)
 親分、そんな、呑気な・・・。
 ま、まあ、気を取り直して話を戻すと、もう一個のIOMっていうのはどういう意味なんでやんすか。これもなんかorganismがmodifyされちゃってるでやんすか?

アメリカの地図  
(owner)
 あーごめん。これは、GMOとは関係ないんだよ。
 IOMのIはインディアナ州、Oはオハイオ州、Mはミシガン州の頭文字で、この三つの州で作られた大豆っていう意味なんだ。つまり、地域指定大豆だよね。昔はアムソイとかコルソイとかいう品種が多かったみたいだけど、どんどん様変わりしているみたいだし、きっと何百、何千品種とあるんだろうね。

(ポン太郎)
 なんで、その、イリノイ・オレゴン・ミネソタ大豆が・・・。

(owner)
 頼むからわざと間違えないでくれよー。ただでさえ、アイオワ・オクラホマ・ミシシッピーとか、アイダホ・オマハ・ミズーリーとか、紛らわしい州が沢山あるんだから!(自分でもわからなくなってきた、やばい・・・インディアナ、オハイオ、ミシガン・・・だったよね)
 この地域指定大豆の歴史を紐解くと、戦争に負けて満州からの大豆が手に入らなくなり、良質な大豆が足りなくなったという「日本の事情」と、1954年から大豆が余剰農作物になって外国に必死で売りまくらなければならなくなったという「アメリカの事情」が、見事に一致したことに端を発している。
 それまでのアメリカの大豆は、絞って植物油をとる「製油用」がメインで、豆腐や納豆、味噌といった食品用に仕向けるには品質が悪すぎたんだけれど、日本の商社が頑張っていい大豆を探した結果、昭和30年に初めてミネソタ産大豆を指定して買い付けをしたんだって。これが味噌用大豆として評判がよかったことから、取引に「産地指定大豆」と「米国大豆(現在のORD大豆)」という二つの区分が生まれたそうだ。


(ポン太郎)
 あれ、親分。IOMのMはミネソタじゃなくてミシガンだって自分で云ったくせに・・・

(owner)
 まあ、待ちなって。ここからもっとややこしくなるんだから。
 ミネソタ州との取引は最初はよかったんだけど、すごく寒い土地だから品質が結構不安定だし、輸出港のメキシコ湾に遠かったりしてだんだん具合が悪くなっちゃって、次にイリノイ州の大豆が注目を集めたそうだよ。イリノイって云うのはいわゆるコーンベルト地帯にあるんだけど、アメリカの南部の大豆に比べて大粒で蛋白質含有量が高くて食品用大豆に比較的向いてる大豆が取れたんだよね。これが、ミネソタ大豆に次第にとってかわって食品用大豆として人気を集めたわけ。でも、困ったことにイリノイ州っていうのは植物油の搾油産業もさかんで、自分のところで油を絞るのに大豆を沢山使っちゃうモノだから、だんだん大豆が足りなくなって昭和30年代後半には日本までうまく回ってこなくなってしまった。

(ポン太郎)
 そ、それは困るでやんす!

(owner)
 そう、すごく困った。ところがうまいことに昭和35年にアメリカの五大湖−St.ローレンス河−パナマ運河がつなげられて、日本からの船がダイレクトに五大湖まで行けるようになったんだ。そこで注目されたのがオハイオ州にあるトレド港(エリー湖の湖畔)で、オハイオ産のトレド積み大豆が地域指定されるようになった。そのうち、ここに隣のインディアナ州やミシガン州のものも集まってくるっていうんで、別にオハイオにこだわることもないから、正式にIOM(インディアナ・ミシガン・オハイオ州産)大豆が地域指定大豆として誕生したんだよ。昭和36年前後にスタートして、40年頃にはイリノイ大豆に変わって軌道にのるようになる。

(ポン太郎)
 え、えーと・・・つまりミネソタから始まってイリノイを経たけれど、最後にはミネソタのミ(M)もイリノイのイ(I)も関係なくなったってこと?

(owner)
 そのとおり。ミネソタもイリノイもIOM大豆と同じ品種を作ってるから別に品質的には変わらないんだろうけれども、やっぱり供給の安定性っていうことから信用なくしたんだろうねえ。こうして生まれたIOM大豆は、値段、量、品質が安定していたことから定着して、東京の穀物商品取引所の輸入大豆取引の標準銘柄になってるし、食品用大豆としてはダントツの輸入量で、豆腐用の半分以上がまだIOM大豆なんだ。

(ポン太郎)
 まだ・・・?

(owner)
 そう。「まだ」。
 昭和36年の日本と今の日本が全然違うように、40年近く人気者だったIOMも、永遠に強いワケじゃないんだよねー。
 ・・・ということで、アメリカの品種の話はまだもうちょっと続けたいんだけど、さすがに疲れてきたのでそろそろSee You NEXT WEEK!していい?

(ポン太郎)
 本当に「NEXT」なら許すでやんす。

(owner)
 ・・・そういう意地悪云うか(でも言い返せない・・・)。
○今週のホームページ

IOMの”O”、オハイオ州の大豆協議会の頁
The Ohio Soybean Council

次週に進む
今週号への感想はこちら