双眼鏡


安物ばかりながらもいくつか双眼鏡を持ってるんですが、他の人がレビュー してなさそうな物について書いてきます。
写真は右上から順に、jason10x50、kenko avantar10x50、ビクセンパノラマ7000改7x35、笠井super-view改4x27、kenko 7x18DHSGWP、 東洋光学8x30、OMEGA8x30、ビクセンVB12x80、ナシカ7x50残骸、笠井super-view残骸、パノラマ7000残骸。

●ケンコー 7x18DH SGWP

鉄道旅で途中下車して駅周辺をぶらぶら歩き回るとき、ポケットに入る小さ な双眼鏡があったら便利だなと思い購入。(遠目に食べ物屋だとおもって歩 いていったら違う店でくっそーって経験が何度かあったので)

小型、軽量(実測140g)、防水、見掛け視野が広い(65°)、そこそこ安い (ヤフオクで新品が3280円)。
スペックから見て恐らくコピターのCYP-718と同一と思われる。
ヤフオクの写真ではボディに「7x18 Fild9.3°」とあるが、ケンコーのサイ トの紹介ページでは「7x18 実視野7.5°」とある。最近になって発売された ばかりのようで、他に扱ってるサイトもない。どっちが正しいのか不安に思 いつつ落札。
安いダハプリズムだからと期待してなかったが、期待を裏切る良い双眼鏡 だった。

対物レンズが前後とも緑の反射面。1万円を越しても表面のみマルチコー ティングの双眼鏡が多いなか、三千円でこれは良い。
対物レンズから覗いてみると、プリズムの開口径が対物レンズとほぼ同じで 大きい。ただし反射光を見るとコートされてないようだ。
アイピースの反射光もいずれも色がついて抑えられたもの。
ボディは肉厚プラ。折りたたみ軸にガタはなく光軸ずれもない。

覗いてみると、しっとりした味付けで中心は悪くない。見掛け視野は他の双 眼鏡と比べたがちゃんと65度あった。
しかし像面湾曲がかなり強く、使えるのは中心3割くらいで外周3割くらい では7m先にピントがあうくらいにズレている。中心だけ注視していても外 周部がボケてるのがわかる。 でもこの手のミニ双眼鏡は見掛け視野が狭いものが多い。個人的に、狭くて 全面フラットより良像範囲が小さくても見掛け視野が広いほうが覗いていて 気持ちよく好みなので良し。
固定焦点であり、俺の目では気を抜いて眺めたときには20mほど先にピン トがあっている。視力1.5の左目では無限遠までピントがあうが、視力0.7の 右目では無限遠には合わない。近くは5mくらいから合う。もともと星を見 るために買ったのではないので問題なし。
アイレリーフは10mmほど、ゴム見口は折りたためるようになっていて畳めば メガネでもなんとか使えるかも?

・・と昼にはなかなか良かったが、夜になると印象は一変する。
瞳射出径が約2.6ミリと小さいから当然なんだが、暗い。星や暗い所を見る と肉眼と見える物が変わらないような気がする。また暗闇の中の明るい街灯 を見るとX字型に長い輝線が走り、ダハ稜線が見える。逆光に弱くゴースト が発生しやすい。
しかしもともと昼用に買ったものなので、まあいいか。

これまで使っていた双眼鏡と比べると異次元に軽く、親指と人差し指でつま むようにして持てる。畳めばズボンのポケットにすっぽり入る。
防水で軽量で安いのでラフに使え、普段はバイクのリヤボックスにほおりこ んでおき、旅行ではウエストポーチに入れて常に持ち歩く用途に最適。良い 買い物だった。

アバンターを買ったときにも思ったのだが、ケンコーは超高倍率の素人騙し 詐欺的双眼鏡があるため愛好家には評判最悪なものの、真面目に作られたま ともな双眼鏡を選べばコストパフォーマンスがかなり高く、お買い得ではな いかと思う。


●ケンコー avantar 10x50

防水、プリズム面までフルマルチコート、65°の広角というスペックながら ヤフオクでは新品が1万円で売られている。お気軽星見用に購入。
覗くと明 るく平坦で良像範囲もそこそこある。アイレリーフも十分ある。
持ってる双 眼鏡の中では、下のビクセンVB12x80を除けば最も見える星の数が多く、お 気軽星見用として稼働率が高い。


●ビクセン VB12x80改 (20x80 fild3.5°)

協栄のアウトレットセールで2万円と安かったので購入。ボディはボシュロ ム型の総金属製、各パーツも総金属製で重量感がある。
像は良く明るくて星もよく見えたのだが、見掛け視野が54°と狭くてストレス がたまり、購入して1ヶ月もしないうちにアイピースをHC-binoのものに交 換改造してしまった。接眼部はオリジナルのものがそのまま使用できたが、 目レンズとアイカップとの距離がどうしても開いてしまい、その分周辺視野がけられて 見掛け視野70°程度になっている。倍率は上がって約20倍となった。

ということで改造後のレビューになるが、これで天の川を見ると、砂をまい たように微光星が視界一杯にざーっと散らばりとてもすばらしい。「おお、 こんなところにこんなに星があったのか!」と・・・アンドロメダやオリオ ン星雲も良く見える。解像度が高く、20倍の倍率は昼間みても楽しい。
重そうだったのでカメラ三脚にとりつけるために自由雲台も購入したが、実 際にはもっぱら手持ちで使っている。アイカップを目に押しつけ、両手で鏡 筒の先端部をもてば3点支持となり、重いこともあって手ぶれはほとんど無 い。星をみるときはいつも地面に銀マットをしいて寝転がって見てるので、 直視でも問題ない。(というか直視のほうが都合がよい。)


●Jason 10x50 extra wide angle

ヤフオクを見てたら広角で質のよさそうな古い双眼鏡があったので入札した ら競争無しで落札できた。

届いて見てびっくり、ボディがマグネシウム製と書かれている!確かに叩い てみると金属っぽくない、でもプラでもない、コンコンと軽い音がする。か なりの高級機だったと想像される。
ボディデザインは丸味を帯びたボシュロム型、各パーツも金属製できれいに 仕上げられており、スタイルが良く美しい。製造者コードはJB22「Itabashi Kogaku Kikai Seisakujo Inc.,Tokyo」・・板橋光学器械(機械)製作所で 検索したがヒットしなかった。
対物レンズ、アイピースは最外面のみマルチコートされており、内部面は ノーコートのようだ。右側のアイピースの一部にカビの跡があり、ノーコー トなので思い切って溶剤をつけてゴシゴシこすったが取れなかった。光の加 減によっては時々きになる。

見掛け視野はスペック通りに77度あり、手持ちの双眼鏡ではパノラマ7000 に次いで見掛け視野が広くきもちいい。中心部ではまあまあの結像だが、外 周4割くらいは像面湾曲でボケ、外周にピントをあわせてもコマ収差がでて いてかっちり結像しない。光軸ズレはなし。
アイレリーフは短く、マツゲがくっつくぎりぎりまで目を近づけないと77° の視野は得られない。
逆光や昼間の使用でコントラストが低かったので、ボディ内部・アイピース 内部・プリズムカバー、プリズムステーに艶消し塗装をして、プリズムのコ バ面も塗ってやり、さらに対物鏡筒内に遮光環をひとつ入れてやったらまと もになった。
コートが最外面の2面のみのため光量損失が多いようで、同じ10x50である アバンターと比べると見える星の数が少なく出番がなく、手間暇かけて手入れしたわりに は使う機会がない。


●TOYO kogaku 8x30 pioneer

ヤフオクにて「TOKYO kogaku」と勘違いして入札してしまったもの。まあ 110円とタダみたいな値段だったからいいけど・・東京光学といえば太平洋 戦争中に陸軍の制式双眼鏡を作っていたNIKONと並ぶ歴史あるメーカー、掘 り出しものだと思って落札してから見間違いに気付いた。
検索してみると、東洋光学は現在の保谷硝子(ホヤガラス)の前身みたい。

双眼鏡は金属部分が多く(ピントリングとアイカップ以外はすべて金属 製)、小さいのに手に持つとずっしり重く密度が感じられ、最近のプラ製の 軽量双眼鏡とは違った魅力がある。
右対物レンズカバーの一部が曲がっているがレンズや機能には問題なかっ た。視界が白く曇っており分解したらプリズムやレンズにホコリ、汚れとカ ビがついていたので、拭きとってやったらきれいになった。
レンズはアイピースの数面と対物レンズの最外面がマルチコートされてるよ うだ。 他の双眼鏡と見比べると、見掛け視野はスペック上の60°よりも広く、倍率も 8倍より高い。感覚的には9x30、Fild7°って感じ。
プリズムはカシメで固定されていて時代を感じさせる。幸い光軸はズレてい なかった。 迷光対策が不十分だったので、ボディ内部を艶消し塗装して、プリズムのコ バ面を塗り、対物側プリズムに黒い紙で作った遮光カバーをつけてやった。
瞳径が小さいため夜は暗くて星見には使えないが、昼間や夜の町並みを見る のには適度な大きさと倍率で結構使えている。


●OMEGA 8x30

上のTOYO kogakuと同時にヤフオクで落札したもの。
OMEGAってのは、戦後に板橋に集まっていた零細光学屋が、税務署の課税から 逃れるためにでっちあげた架空のブランドらしい。上にある星の数が 少ないほど初期から算入していた光学屋によるもので質が高いとか・・・ オークションでは3つ星から5つ星にかけて見られる。
これは4つ星OMEGAであったことと、アイピースを支える羽が真っ直ぐな板 でなく優雅な曲線を持っていたので、もしかしたら品質が高いのかも、と期 待。
が、届いたものはTOYOkogakuのものより見掛け視野が狭くて窮屈。プリズム には遮光カバーがついてるし、光軸ズレもないし、最外面のみとはいえマル チコートされているのでそう悪くないとは思うんだけど、TOYOkogakuと用途 が被るので放置決定。