バイクのウィンカーブザー(一瞬だけ鳴る回路)を作る

2014/10/2

バイクのウィンカーリレーが無音で消し忘れが多いので、ウィンカーブザーを付けた。
ピーと音が長く鳴らずにピッと一瞬だけ鳴るようにワンショット回路を作った。


最初の案

カブ用のウィンカーオーディブルパイロット(ヤフオクで1000円)。ペッカンペッカンと鳴るタイプ。

内部は電磁石が入っており、テスタの10A測定モードで計ると通電時の消費電力は0.22Aだが、切断時に逆起電力で10A近く電流が発生する。
サージ対策のダイオードを付ければ解消するが、通常時220mA消費するわりに音が小さいのでやめ。


回路図<その1>


圧電ブザーを使う。秋月の定格12VブザーPKB24SPCH3601(1個150円)。
12Vだと音が大きすぎるので電流制限抵抗(750Ω2個並列=375Ω)をかまし、整流用ダイオード(40V150mA、20本で百円)二つ向かい合わせに付け左右の短絡を防ぐ。

音の出る穴から水が入るとサビるので、穴の上に長さ3cmほどのゴムチューブをシリコンボンドで付けて開口部を下向きに設置する。

ケーブルをハンダ付けしたあとシリコンボンドで覆って防水処理。
GN125-2Fに取付け。ヘッドライト裏にあるウィンカーコネクターにケーブルを割り込ませ、雨のかからないメーター下側にブザーを固定した。
ウィンカーランプ点灯と同時にピーピーピーと鳴る。


回路図<その2>


<その1>だとピー、ピー、ピーと音が長いので車のバック音みたい。ピッ、ピッ、ピッと一瞬だけ鳴らしたい。
電気が流れ続けても一瞬だけONになる回路、ワンショット回路を組む。


材料。小型リレー(秋月電子の946H-1C-12D)、抵抗(1/4Wカーボン100Ω)、コンデンサ(35V47μF)、圧電ブザー(定格12V)、ダイオード(ショットキー 30V1A)。

動作

 1・ウィンカー電球点灯と同時にコンデンサCが満充電になるまでリレーコイルに電気が流れリレー作動、ブザーON。
 2・0.3秒ほどでCが充電され流れる電流が減りリレーOFF、ブザーもOFF。(Bに流れるのは無駄電流。リレーコイルは700Ωほどの抵抗値があるので電流は流れない。)
 3・電球消灯と同時にCに貯まった電気が抵抗A、ダイオードD、抵抗Bを介して0.1秒ほどで放電。
・・・の繰り返し。

ダイオードDは、コイルOFF時の逆起電力を放電してサージを防ぐとともに、図1の状態でリレーコイルに電流が流れるよう迂回ルートを堰き止める。
抵抗Aはコイルからの逆起電力がコンデンサに直接かからないようにするためのまじない。(実際に効果があるかどうかは知らん)
Bの抵抗値とコンデンサの容量は実際に12Vで作動させながら修正した。(最初は100μFだったが音が長かった。容量が減るほど音が短くなる。)(抵抗Bは大きいほうが無駄消費電力が減るがCの放電時間が長くなる)

この回路のキモは、図1のコンデンサ充電時に抵抗Bを流れる電流がコイルを通らない点。(Dの寄生抵抗値により一番左のショートルートを通る)
ふつーは下図のようにコンデンサ直近でループさせるが、これだと充電時に抵抗aを介してコンデンサをスルーしてリレーコイルに電流が流れ、リレーをオフにするのが難しい。
今回の回路だと抵抗Bに流れる電流はコイルを通らずGNDに落ちるので、コンデンサが充電されるとコイル電流は流れなくなる。
<ボツ案>

ここで、リレーを使わずコンデンサの手前に直接ブザーを付けたらいいんじゃないかと思えるが、
コンデンサの充電というのは、二次関数のグラフのようにだんだん充電電流が少なくなるが、永久に100%充電になることはなく微細充電電流が流れ続ける・・・らしい。
圧電ブザーはかなり小さい電流でも鳴るため、リレーの位置にブザーを付けるとピィー・・・(だんだん小さくなる)ピィー・・・と鳴って、瞬動とはならない。(実際に試した)
ということで、リレーの機械接点によるON/OFF2値のデジタルな動作が必要となる。


ブザー裏側にリレーを接着し、コンパクトにするため空中配線でケーブルや各部品をハンダ付け。

通電させ動作確認したあと、シリコンボンドで覆って防水化。ブザーの穴から水が入らないようにペンのキャップを半分に削って覆いを付けた。

バイクのウィンカーコネクターから分岐させたケーブルに接続。
失敗。なぜかリレーが動作せず鳴らない。
12VのACアダプタにつなげばちゃんと動作する。何故???
たぶん、ケーブルやウィンカーリレー(バイメタル)で電圧降下してブザーに回り込む電圧が12V以下になってる?
テスターでウィンカーコネクターの電圧を測定するが、ウィンカー点滅速度にテスタの表示更新速度が追いつかず正確な電圧は不明。どうも10V近辺っぽい。ここから逆流防止ダイオードで1Vほど下がってるから9Vか。


回路図<その3>


リレーを12Vコイルではなく3Vコイルのものに変更。(手持ちで一番小さいリレーがこれだったので)
リレーのデータシートを見ると、
リレー種類コイル抵抗値ピックアップ電圧←"時電流←"電流の9V時抵抗値
3Vリレー91Ω2.4V26.4mA341Ω(コイル+250Ω)
12Vリレー720Ω9V12.5mA720Ω(+−0)

電源電圧9V時には3Vリレーコイルと直列に250Ωまでの抵抗を足しても問題ないことになる。コンデンサに流れ込む電流が二次関数的に減少することを考えれば、少し余裕を持たせて200Ω程度にしたほうがいいだろう。
<その2>では12Vコイルと直列に100Ω抵抗を足したのでリレーが動かなかったんだろう、たぶん。


材料。超小型リレーG6K-2F-3(だいぶ前に秋月で5個300円くらいで売ってた)、小型12Vブザー、200V1Aダイオード、40V1Aショットキーバリア チップダイオード×2、25V10μF積層セラミック チップコンデンサ×8、100Ω抵抗×2直列、240Ω抵抗。
小型化させるべくチップ部品を多用。
セラミックコンデンサだとアルミ電解コンデンサよりも充電時間が短いようで、より大容量が必要になった。(これでもまだ一瞬すぎて短いくらい)


ブザー裏面にリレーを接着し、空中配線で組み立て。下の10円玉はサイズ比較用。

 
GN125-2F用に、大きめブザーと5Vリレーを使ってもう一つ作成。
部品周りをシリコンボンドで覆い、ブザー穴の上にアルミ板とアルミパイプで雨よけカバーを付けて完成。

成功!今回は動作した。
フロントカウル内(メーターの裏側)に接着。
白バイみたいにウィンカー動作で「ピッピッピッ」と鳴るようになった。


実際に動作させた動画。