Cマウント/CSマウント(CCTV)レンズ24本 レビュー&実写サンプル

2009.6.27UP

ネットでCマウントレンズの同被写体撮り比べなんて見たことがないので、軽く紹介とレビューを。まずはお気に入りのレンズから初めて、残りはおいおいに。
サンプル画像は、各レンズを付けたDMX-HD1010改の1080Pで撮影した動画から一コマに切り出したもの。同じ被写体をほぼ同じ時間に撮影。
切り出したのみで色やシャープはそのまま。サムネイルクリックで1920×1080のフルサイズの画像に飛ぶ。

HD1010のHD動画撮影時はCMOSの1/3インチ相当範囲を使うので、35mm換算で実焦点距離×7.9倍相当になる。

もってるCCTVレンズ一覧
 


Panasonic WV-LA210C3 2.1mm F1


ヤフオクで新品を3,000円で購入。

換算16.7mm相当の超広角レンズ。標準小売価格は3万以上する。非球面レンズを使った高級品。

この画角なのに歪みがほとんどない。わずかに陣笠歪みが出るが、まあこの広角なら仕方ない。ザクティはこのレンズが想定してるイメージサークルよりも広い範囲を使ってるようで最周辺部がボケるが、中央9割までは解像度が高く優秀な描写。

絞り開放では解像度は高いが大きなコマフレアが出てコントラストが落ちるので、F2.8に絞った状態で固定して常用している。(DCアイリスなので気軽に絞り操作ができない。)

パナソニックのレンズはどれも各収差や歪曲が抑えられ解像度も高く良い描写をするが、ピント調節機構がないのと、ボディがデブくてかっこわるい(中はがらんどうなので軽量)、てのが玉に瑕。

車載動画は広角になるほど迫力が出るので、このレンズを常用している。

●このレンズで撮ったバイク車載動画   ・  ・ 


メーカー不詳 名称不詳 2.1mm F2


ebayで新品を送料込み10ドルで購入。ebayを見てたら安くて面白そうなレンズだったので試しに買ってみた。

非常に薄くて小型軽量、換算16.7mm相当の超広角レンズ。絞り羽はなくF2で固定。ピントは広範囲に調整できる。

上のパナソニック2.1mmと同じ焦点距離だが、歪みがほとんど補正されておらずセミフィッシュアイのように大きく歪み、それゆえ周辺部が圧縮されて少し広い範囲を写せる。1/3インチ対応のレンズでイメージサークルはギリギリ。サンプル画像で左上が少しケラれてしまっている。

中央部は解像度が高く色収差も出ていないが、周辺部ではおおきくボケている。実写サンプルは他のレンズと違う日に撮影したのでコントラストの比較はできないが、見た感じ悪くない。

この小ささでこの広角はかなり便利。



Computar HG2616FCS-3 2.6mm F1.6


ヤフオクで新品を2,800円で購入。

1/3インチ相当を使うHD1010改では換算7.9倍で20mm相当の広角となるが、このレンズ自体は1/2インチ対応のイメージサークルを持つので、 1/2インチ映像素子では換算15mm相当の対角魚眼レンズになる。

魚眼レンズなので歪曲が大きく、直線が丸く歪む。上の2.1mmと比べると一目瞭然。絞り開放から色収差は少ない。解像度はまあまあ。コントラストは絞り開放から高い。上の2.1mmと下2.8mmの中間くらいの画質。

もともとDCアイリスだったが、内蔵コイルを外してアルミ板で絞り駆動レバーを作りマニュアルアイリスに改造してある。

マウントのネジは所有レンズで唯一のプラ製。力強くネジ込むといくらでも回ってネジ山が潰れそうで怖い。そのかわりに軽量。

ピント調整範囲が広くレンズ表面に合焦するくらいで、超近接撮影が可能。

車載では上の2.1mm、手持ちでは下の2.8mmを使うことが多く、HD1010改でこのレンズの出番は少ない。
しかし上下のレンズは1/3インチ対応なので、DDV-1080HD改にて1/2.5インチCMOS全面を使う静止画撮影をするとケラレが出てしまう。

このレンズなら1/2インチ対応なのでケラレない。なのでもっぱらDDV1080HD改に付けて静止画撮影に使うことが多い。これでフィギュアに寄って撮ると、いわゆる「虫の目レンズ」になって鬼パースがついてカッコエロい。

●このレンズ+DDV-1080HD改で撮った写真


SPACECOM L28GCS 2.8mm F1.3


ヤフオクで新品を2,800円で購入。

換算22mm相当の広角レンズ。

もともとDCアイリスだったが、内蔵コイルを外してアルミ板で絞り駆動レバーを作りマニュアルアイリスに改造してある。

この広角と明るさにしては非常にコンパクトで軽量。親指サイズのレンズ。

歪曲は比較的抑えられており、コントラストも高いが、全体的に解像度が高くなくてシャキッとせず、周辺部ではかなり色収差が目立つ。絞り開放でもそんなに悪くないが、逆に絞ってもあまり向上しない。

2つ上のパナ2.1mmは、広くて明るくて解像度も高いがピント調整できず、鏡筒が大きくて目立つので、 手持ちのスナップ撮影に使うのにはピント調整ができ小さくて目立たないこちらのほうが便利。

手持ちでカメラを持ち出すときには下の16mmとこのレンズの2つを持っていくことが多い。


メーカー不詳 名称不詳 2.8mm F2


ebayで新品を送料込み10ドルで購入。ebayを見てたら安くて面白そうなレンズだったので試しに買ってみた。

非常に薄くて小型軽量、換算22mm相当の超広角レンズ。絞り羽はなくF2で固定。ピントは広範囲に調整できる。

上のSpacecom 2.8mと同じ焦点距離だが、歪みがほとんど補正されておらずセミフィッシュアイのように歪み、それゆえ周辺部が圧縮されて少し広い範囲を写せる。上のと比べると歪みがちょっとうっとおしい。

1/3インチ対応のレンズだがイメージサークルは余裕があり、1/2.5で少しケラれるくらい。

中央部は解像度が高く色収差も出ていないが、周辺部ではボケている。実写サンプルは他のレンズと違う日に撮影したのでコントラストの比較はできないが、見た感じ悪くない。

この小ささでこの広角はかなり便利。



学研電子工業 GXL-C1 16mm F1.4


ヤフオクで新品を2,000円で購入。

換算126mm相当の中望遠レンズ。

かなり小型軽量。絞り開放から色収差が出ず、解像度も非常に高くシャープな絵が得られ画質がとても良い。

ピントが30cmから合うので便利。CSマウントなのでC-CS変換リングが必要ないのも便利。

小物撮影にぴったりの焦点距離、良好なマニュアル操作感、歪曲の少なさ、良好 な描写、小ささと軽さで使いやすい掘り出し物。

特に撮るものが決まってないときには、とりあえずこのレンズをつけてることが多い。


Pentax B5018A-3 50mm F1.8


ヤフオクで新品を4,000円で購入。

換算400mm相当の望遠レンズ。

この焦点距離と明るさにしては小型軽量なのでカメラ側を持って運用できるが、しっかり持たないと手ぶれが目立って難しい。

絞り開放では色収差が出るが解像度は高い。絞るとかなり良い。


PENTAX TV ZOOM LENS H6Z810 8-48mm F1-1.2
ヤフオクで中古をCCTVカメラ付1,000円にて購入。

換算63〜380mm相当の望遠ズーム。

ズームして焦点距離を変えてもピントがずれない真のズームレンズ。このズームにして開放絞り値F1、望遠端でもF1.2と明るい。

ズーム倍率が6倍と低めなせいか絞り開放から描写がかなり良い。が、下のレンズとかぶる焦点距離域なのであまり使わない。
テレ端 48mm
ワイド端 8mm


Fujinon D14×7.5A−R11 7.5-105mm F1.4


●動画サンプル 1280x720、1MB、WMV
広角端7.5mmから望遠端105mmまで一気にズーム。
ヤフオクで中古を3,000円で購入。
おそらくかつては商業放送用テレビカメラのレンズとして使われてたものだと思われる。時代が時代なら何十万円したのかも・・・

換算60〜830mmの望遠ズーム。

このレンズがすごいのは、ズームレンズであるところ。「ズームの何がめずらしい?」と思われるかもしれないが、「バリフォーカルではなくズーム」てこと。つまり焦点距離を変えてもピントがずれない。

広角で全景から撮り始めて一気に14倍ズームさせ被写体のアップにするようなシーンでもピントが合ったまま。映画やテレビのような撮影ができる。すごく面白い。

14倍の高倍率ズームで全域F1.4という明るさはすごい。しかし高倍率のせいか、単焦点に比べると絞り開放では色収差が目立ち、絞ってもいまいちシャッキリしない。

ものすごくでかくて重く、カメラ側を持つとマウントがもげそうなのでレンズを持って撮影している。

もともとズームもピントも絞りも電動だったが、手動のほうが気軽に使えるので駆動ギヤボックスをばらして三脚座に改造した。
テレ端 105mm
ワイド端 7.5mm


Tokina AT-X400AF 400mm F5.6


ふたつのタンクの間の橋をアップ。
ニコン一眼レフ用のレンズだが、Fマウント-Cマウント変換アダプタ(kenko製2600円)を付けて動画の撮影にも使っている。

ヤフオクで中古を16,000円で購入。

換算焦点距離、実に3160mm相当!超々望遠レンズとなる。異次元の望遠撮影ができ、遠くの風景を撮るととても面白い。

絞り開放F5.6では解像度は高いものの色収差が出てコントラストもわずかに悪いが、F8まで絞るとグッと改善し、F11まで絞るとほぼ完璧となる。

単焦点なのでズームに比べて小型軽量なのもうれしい。

 
このレンズ+DDV-1080HD改で撮った月の写真。7/22の皆既日食でのコロナ動画撮影の予行演習。


kenko KCM-2


千円札の野口英世の左肩にある「野」を撮影
ヤフオクで新品を3000円で購入。標準小売価格は6万円ほどする。

工業検査用のマクロレンズ。

レンズの後ろに10mmのリングをはさむと、2×4mmほどの範囲を画面いっぱいに写せて顕微鏡に近い拡大率になる。リング無しにすると低倍率、長くすると高倍率になる。

普通のビデオカメラやデジカメでは不可能な超拡大撮影ができてとてもおもしろい。レンズ先端から被写体まで7cm離せるので便利。

昆虫とか撮ると面白そう。鼻を撮ると毛穴から見える脂で「げっ」となる・・

F値が暗いので、レンズまわりに巻いたアルミ板に白色LED6つをつけてリングライトを自作し、照明装置兼レンズフードとした。



Panasonic WV-LA908C3 9mm F0.75


DMX-CG6改で赤外線撮影。肉眼だと真っ暗。
ヤフオクで新品を1000円で購入。

換算71mm相当、開放絞り値F0.75の暗所撮影用のハイスピードレンズ。

ただし絞り開放でカラー撮影すると大きなコマフレアが出てコントラストが落ちる。F1.4くらいまで絞ると使い物になる。

レンズの周囲に秋月電子のIRLED28個をつけ、赤外線投光器としている。赤外線撮影なら絞り開放でも画質は落ちない。


Cマウントレンズの魅力



・小さく軽い
指先でつまめるくらい小さい。造りは金属製で重量感があり、小さな精密機械と いった感じ。写真は16mm F1.4。

・フルマニュアル
電子的な部品を一切つかっておらず、フォーカスも絞りもズームも手動。ゆえに 頑丈で長持ちしそう。(オートアイリスも改造して手動にしてるので)

・豊富なラインナップ
超広角レンズや魚眼レンズから望遠レンズ、F1を切る暗所用レンズ、顕微鏡並み に拡大できるマクロレンズなどなど・・・
下手なデジ1マウントシステムとは比べ物にならないくらい色んなレンズがある。

・明るい
開放絞り値F1.4やF1.8があたりまえ。F2でもう「暗い」といわれる。
暗所に強いのみならず、絞って使うことでよい画質を得ることができる。

・歴史に裏付けられた汎用性
デジタル1眼のマウントはメーカー1社が止めると新製品が出なくなり使い物に ならなくなるが、Cマウントは数十年前の16mmシネカメラから始まり、昔のテレ ビカメラ、現在でも監視カメラや産業用カメラで幅広く使われ続けている。
構造 も単純なのでC-CS変換リングさえあれば、最新のデジカメやビデオカメラを簡単 にCマウントに改造できる。いつまでも使い続けられそうな安心感。

・安い
やっぱりこれ。歴史があり現在でも監視カメラ用で大量に流通しているので、減 価償却を終えたカメラから外されたレンズや、デッドストックの新古品が安価で 流通している。(マイクロフォーサーズが出てから値上がったが、俺が集め始め たのはそれ以前なので)