100円ショップダイソーの携帯充電器でDC-DCコンバーターを作る


バイクの12Vバッテリーからデジカメの電源(3V)や携帯電話の電源(5.5V)を取り出せるよう、DCアダプターを作りました。

ダイソーで300円で売ってる携帯電話充電器にちょっと手を加えるだけで簡単に作れます。
俺自身が回路図を読めないし、読めない人でも作れるページにしたいので図は模式図です。

シガープラグにつなぐ車載充電器は何種類かあるが、一番基盤が小さいのはこのタイプ。(他のタイプは細長かったり、台形だったりでコンパクトでない)

残念ながら300円だが、中身を考えれば安いものだ。

中身はこんな。MC34063Aというスイッチングレギュレターチップが使われている。(電子工作には疎いので詳しく知らんけど・・)かなりコンパクトな基板。

回路やチップについては↓のサイトが詳しい。今回の製作にあたっては多いに参考にさせてもらいました。
http://www.hobby-elec.org/ckt23.htm#1

部品配置図。

R1とR2の抵抗値の比率で電圧が決まるので、R2の抵抗を付け替えると出力電圧を変えられる。
  出力電圧=1.25X(1+R2/R1)
で、この充電器の場合、R2が5.1KΩ、R1が1.5KΩなので、1.25X(1+5.1/1.5)=5.5Vになるわけです。
で、3Vが欲しければ、R1はそのままで、R2を2.1KΩのものに付け替えればいいわけです。
2.1Kなんて手元になかったので、1.8KΩと390Ωを直列につなげて使いました。
(約2.2KΩになるのでちょっと電圧が低くなるが大丈夫だろー)
抵抗は秋葉原の秋月電子の通販で買えます。100本入ってて100円です。(安っ)でも通販だと送料が1000円かかります。(高っ)ほかにもいろいろ便利なものを売ってるので、ついでに買っとくといいでしょう。(散財だぁ〜)

電圧を切り替られるようにするため、トグルスイッチで5.1Kと2.2Kの抵抗を切り替えるようにしました。(スイッチはヤフオクで10個300円で落札したもの。)

10KΩくらいの可変抵抗を使えば無段階に電圧を変えられるが、旅先にいちいちテスターを持っていくわけにもいかんので・・・
今回は5.5Vと3Vの2段階切り替えにしたが、ロータリースイッチを使って多段切り替えにすれば便利かもしれない。(そんなに電気製品もっていくかどうかは別として。)
ちなみに、別タイプの充電器では、R1、R2は違う抵抗値のものが付いてました。
抵抗にプリントされてる色帯で抵抗値が読めるので、自分で読み取って計算してください。

この充電器、携帯電話の充電池の保護のため、R3の抵抗値で出力電流を制限しています。
このせいでデジカメの電源として使おうとすると電流が足りなくてデジカメが起動しない。
抵抗値を下げるほど流せる電流が増えるので、3V出力のときにはR3を銅線で直結することにします。
つまり0Ω。こうすると、チップの最大許容量の1.5Aまで流せるようになるはず。(これ以上流すと熱で壊れる。)
でも、3V(デジカメの電源のとき)はこれでよくても、5.5V(携帯電話を充電するとき)は電流がダダ流れだと困るんですね。電圧が5.5Vの定格でも、電流がいっぱい流れると、携帯のリチウムイオン電池が爆発することもあるらしいので。なので、電流が制限されてないといけないのですね。
てことで、スイッチで0.55Ωと0Ωが切り替えられるようにします。


R2が5.1KΩ(5V・・携帯電話)のときはR3が0.55Ωに、R2が2.1KΩ(3V・・デジカメ)のときはR3が0Ωになるようにするわけです。
ちょうど手持ちのトグルスイッチが2回路3接点のものだったので、

一つのスイッチ切り替えでR2とR3が同時に切り替わるようにしました。
最終的にはこんな回路になりました。


入力にはDCジャックをつけ、出力もジャックにする。ただ両方ともDCジャックだと入出力を間違えそうなので、片方は別のプラグ・・・入手性を考えて、オーディオジャックにする。
で結局、DCジャック、オーディオジャック、スイッチの3つが付くわけです。



ダイソーで買った0.5ミリのカラーアルミ板をカッターで切り出しペンチで曲げて箱型にする・・・これなーんだ?


チップがわずかながら発熱するみたいなので、ヒートシンクを作っているのです。

固定はサイレックスというシリコンボンドで行います。ホームセンターで400円くらいで買えます。熱伝導性最高!強度も最高!一度ヒートシンクくっつけたら、もう剥がすのは不可能です。(無理に剥がそうとするとチップの表面が剥がれます。)

なるたけコンパクトにするため、3つをぴったりくっつける。使用中にスイッチが切り替わるのを防ぐため、スイッチは2つのジャックの間につける。
LEDは一度ぶったぎって、コードで伸ばしてスイッチの下にくっつける。
固定は、100円ショップCan doで買ったエポキシボンドで仮止めして、ダイソーのエポキシパテで本固定する。

こんなんなりました。スイッチを切り替えると、ちゃんと5.5Vと3Vが出ています。

携帯電話の充電用に、オーディオプラグと携帯コネクタを合体させたケーブルを作った。

またデジカメの電源用に、オーディオプラグと秋月で買った1.2ミリDCプラグを合体させたものも作りました。
携帯の充電もバッチリ。


ケースを作ります。ダイソーのアルミ板に現物あわせで線を引き、スイッチと入出力ジャックとLEDのための穴を開けます。


Pカッターで筋を入れて折れしろを作る。


箱の形にしたら、エポキシパテで内側を覆って補強します。基板を入れた上からもパテで四周を埋めます。
基盤を入れるとき、チップのヒートシンクとケースをくっつけてサイレックスボンドで固定することを忘れずに!(ヒートシンクが宙に浮いてると、熱がケース内部に籠ります。)


チップの熱は基板からも放熱されます。基板の熱がケースに伝わるように、基板とケースの間にシリコンコークを詰めます。


シリコンコークが固まるまで洗濯バサミで固定・・・完成!


消費電力データ

・機器無接続(DCコンバータのみの消費電流)
3V時・・・3mA
5V時・・・4.4mA

・デジカメ(fine pix4500)接続
デジカメ電源オフ時・・・3.2mA
撮影モード(液晶オフ)・・・140mA
撮影モード(液晶オン)・・・420mA
再生モード・・・240mA

・デジカメ(panasonic LC70)接続
デジカメ電源オフ時・・・3.2mA
撮影モード(液晶オフ)・・・160mA (AF時には420mA)
撮影モード(液晶オン)・・・670mA
撮影モード(液晶オン)(エコノミーモード)・・・600mA
動画撮影中(液晶オン)・・・850〜860mA 再生モード・・・320mA

・携帯電話接続
充電のみ(充電完了間近)・・・190mA〜140mA
操作・通話中・・・270mA



実際にロングツーリングで使ってみた

16日間にわたる北海道ツーリングで、これを持って行ってVTR1000Fのバッテリーから引き出したケーブルにつなげて使ってみました。
幸い、電源にはあまり不自由しなかったので携帯の充電には使わなかったのですが、
駅で寝る前、撮影した写真をデジカメのモニターで再生してその日の行動を振り返るときに
電池を使わず、3V出力にしたこのDCコンバーターを電源として使いました。
また、電池が切れてしまわないよう、バイクから離れずに写真撮影するときにも使いました。
全く問題はなく、電池の消耗を抑えるのに役立ちました。

発熱ですが、デジカメを液晶ONで撮影して使っているとアルミの筐体がほんのり暖かくなります。
ほとんど問題にならない発熱です。(実際にトラブルは起きていません。)


実際に地元でのショートツーリングで使ってみた

ニッケル水素充電池って、満充電しても、長らくほっとくと自然放電して空っぽになってしまうんですね。
かといって常に充電してても、寿命が縮まる。
そこで、急にツーリングに行きたくなり充電してるヒマなんかないってとき、
これを持ってって電源として使ってます。
コードの範囲以上にバイクから離れて撮影できないって欠点もありますが、全く撮影できないよりはいいやね。

ただ、走って発電してる時はノイズやサージ電流(瞬間的な数百ボルトの印圧)が怖いので使ってません。
それに、もう一台のバイク・・DR250Sはバッテリーレスでさらに電圧が一定してないはずなので、とてもじゃないけど使えませんね。
バイクの電源とは絶縁されたDCコンバータが必要でしょう。(絶縁タイプのスイッチングレギュレータは高い!)