バッテリレスバイク用のDCコンバータを作る



1GBのSDカードで連続1〜2時間の動画が撮影できるDMX-C1と、20GBのポータブルストレージHD-DPM20U2/CRを買って、一日中でも動画撮影ができるようになった。
バッテリーのないオートバイ(DR250S(SJ44A))で存分にバイク走行動画撮影をするため、バイクからDMX-C1の電源を取ることにした。

バッテリーレスバイクの電源はノイズが多く、電圧の変動も大きいため、前回作ったDCコンバータではDCコンバータやその先にある電子機器を痛めてしまう可能性がある。
そのため、バッテリレスバイクでも使えるようノイズ対策を施したDCコンバータを新たに作った。

回路説明



@ツェナーダイオード Aショットキバリアダイオード B電解コンデンサ
CDセラミックコンデンサ E絶縁型DCコンバータ


@ツェナーダイオード 6KA24・・・若松通商の通販で購入
 バイクや車の電源は、瞬間的に100Vに達する高電圧ノイズ(サージ)が発生することがある。電子機器を積んでいないバイクの場合、これに対する対策は全くされていないと思われる。(フューエルインジェクションや排気デバイスを積んだバイクなら対策はされてるかも。)
 これにDCコンバータや電子機器を繋ぐと、このサージノイズで壊れる恐れがあるので、サージノイズ対策としてツェナーダイオードを入力側につける。
 ツェナーダイオードは、ある電圧までは電気を流さないが、ある電圧以上になると電気を駄々漏れに流すようになり、その先の回路には高い電圧がかからないようにするもの。
 ここでは大電流を流すことができる自動車ノイズ対策用の6KA24を使った(電子回路用のものだと電流の流れすぎで壊れる恐れがある)。24V車用で30Vくらいから電流を流すようになるみたい。本当は12V車用のがよかったんだが、見つからなかったのでこれに。
 これ、今は秋月電子の通販ですごく安くで売ってる。

B電解コンデンサ 25V 2200μF ×6個・・・若松通商の通販で購入。
 バッテリーレスバイクでは、エンジンがアイドリングのときには発電量が少なくなり、エンジンの脈動にあわせて電圧も5V〜14Vくらいに脈動し、DCコンバータに供給される電流もそれに応じて少なくなってしまう。
(よく信号待ちの原付スクーターが、エンジンの音にあわせてヘッドライトの光をチラチラ点滅させてるのを見ることがあるでしょ?あの状態。)
これにそのままDCコンバータをはさんでデジカメをつけると、電流が足りずに電源が落ちてしまう。
 そこでアイドリング時でも電子機器を使い続けられるように、充電池の役割をする電解コンデンサを入力側につけた。
 コンデンサの容量は充電池よりはるかに小さいが、瞬間的に充電・放電ができる(一秒間に100回以上のサイクルで充放電を繰り返すことができる)ので、エンジンの鼓動にあわせて落ち込む電流を補うことができる。
 ここでは耐圧25V、容量2200μFの電解コンデンサを6つ並列に使った。合計13200μF。

Aショットキバリアダイオード ERC81-004・・・若松通商の通販で購入。
 上の「B電解コンデンサ」が放電したとき、電流がバイク側に流れていってしまうのを防ぐために付けた。
バイクからの電圧が低くなってBの電解コンデンサが放電したとき、これがないと電流がバイク側に逆流してしまい、DCコンバータに流れる電流が減るため、電解コンデンサが一部無駄になってしまう。
 一般的なダイオードは、順方向に電圧をかけると電流を素直に流し、逆方向に電圧をかけても電流を流さないので、それを利用する。
 ダイオードを介して順方向に電気を流すと電圧が下がってしまうのだが、ショットキーバリアダイオードはその電圧の低下する値が小さい。(逆方向のもれ電流が比較的大きいのだがこの回路では全く問題ない。)
 DCコンバータに流れる電流すべてがこのダイオードを介して流れるので、許容電力が大きめなものを使う必要がある。
 ここでは、2.6Aまで電流を流すことができるERC81-004を使った。

E絶縁型DCコンバータ COSEL ZUS151212・・・コスモテックの通販で購入
 バイクや車の発電装置は原始的なのでノイズが多い。バッテリーを積んだ車やバイクなら、バッテリーがノイズをある程度吸収してくれるのだが、バッテリレスバイクではノイズがそのまま回路に流れてしまう。
 通常のDCコンバータだと入力と出力はつながっているので、そのまま電子機器をつなぐと高周波ノイズで電子機器の回路がやられる心配がある。絶縁型のDCコンバータでは入力と出力は物理的に切り離されていてノイズが伝わる心配は少ない。
 ここでは、1.5Aまで出力することができ、9〜15V程度の入力から12Vを安定して出力することができるCOSELのZUS151212を使った。

Cセラミックコンデンサ 25V 47μF ×3
D       同上         ×2
・・・秋月電子の通販で購入
 バイクからの高周波ノイズからZUS151212を守るため入力側にCを、ZUS151212から発生する高周波ノイズから電子機器を守るため出力側にDをつけた。
 セラミックコンデンサは高周波特性に優れているとのことで付けたが、果たして実際にどれほどノイズ低減効果があるのか電気ド素人の俺にはわからない・・・まあ、おまじないのようなもの。余ってたものなので。

カセットテープの透明プラケースとアルミ板でケースを作った。


出力には2本のDCジャックを付けて、下の充電器改造DCコンバータと、ほかの12Vを使う電子機器を同時使用できるようにした。(DCコンバータの4.2VでDMX-C1を使って動画を撮影しながら、12Vでmy battery JETの充電をする、とか)


このDCコンバータはあくまで、バイクからのノイズを遮断するのと、バイクの不安定な電圧を12Vに安定させるためのもの。
電子機器を使うには、この12Vを3Vや4.2Vや5Vに落とす必要があるので、以前に紹介したダイソー充電器改造DCアダプタを組み合わせて使う。
前の記事では可変抵抗を使って無段階に電圧を変えられるようにしていたが、ここでは回転式の多段スイッチと抵抗を組み合わせて電圧を3V(LC70用)、4.2V(DMX-C1用)、5V(ポータブルストレージの充電用)から選択できるようにした。
ケース内部で入力を二つに分け、携帯充電器を改造して電圧を選択できるようにしたものと、携帯充電器をばらしただけの物二つを組み込み、電子機器を使いながら携帯電話の充電もできるようにした。

回路説明はボリュームが回転スイッチ+抵抗に変わっただけなので省略。

バイクからケーブルを引き出す
バッテリーのあるバイクなら、バッテリー端子に直接新しいコードを付ければ済むんですが、バッテリーレスバイクの場合どこにコードをつけるか迷います。
常に電気が流れていて、容易にアクセスできるところ・・・シートの下にあるメインヒューズボックスに接続するコネクタにコードを割り込ませて電源を取りました。
複数のケーブルがあるので、エンジンをかけた状態で各端子にテスタをあてて、どこに12Vが流れてるのか確認します・・テスタを持ってない人は、常時点灯のバイクならライト周りから、そうでないならホーンから電源を取ってもいいかと。
ケーブルを切るのは抵抗があったので、コネクタから端子とケーブルを抜いて、そこに新しいケーブルを半田付けしました。

写真左・手で持ってるのがヒューズボックスから伸びるコククタ
写真中・このコネクタからケーブルを抜いて、新しいケーブル(赤色)を付けたところ。この後コネクタに戻す。
写真右・赤い新しいケーブルを車体真ん中から車体後ろにまで伸ばす。(リアボックスの中に引き込むため) ケーブルの先にはカーショップで買った屋外配線用のコネクタをつけてある。

レビュー
2005年のGWと夏休みの野宿ツーリングで、このDCアダプターとmybatteryJETを自作二股ケーブルを使って併用して、ヘルメットにつけたDMX-C1でバイクの走行動画を撮影しました。
電池残量を気にすることなく、バイクのエンジンがかかってる間はDCコンバータから、エンジンを止めたりバイクから降りたときにはMybattryから電気を得て、メモリ残量の続くかぎりの連続撮影ができました。(メモリカードがいっぱいになったらポータブルストレージにデータを転送して、いくらでも撮影できた。)

このDCコンバータを使ってポータブルストレージ・mybattery・携帯電話を充電したので、電源に不自由する野宿ツーリングでも、全く電源を気にする必要がなくなりました。これはもう手放せません。