レトロフィルムカメラの中にデジタルビデオカメラ(デジカメ)を組込む

2009.9.1

 
デジタルなDEMIの1号機、ってことで「DeziDemi Mk.1」

canonのクラッシックレンジファインダーカメラ DEMIの中に、安価で小型軽量なデジタルビデオカメラ、ポケットムービーHDVを分解して組み込んだ。

MINOX DCC Leica M3やRollei Minidigiのようなクラッシックカメラを模したミニチュアトイデジと違って、800万画素の静止画と1920×1080のフルハイビジョン動画が撮れ、画質はそこそこ良く、様々なレンズを交換して マニュアルフォーカス・手動絞りで様々な描写を得られ、クラシカル風の大量生産品ではなく本物のクラッシックカメラの外見を持つ、世界に一台しかないカメラができた。

参考
バルナックライカにデジカメを組み込む
ポケットムービーHDVをCマウントに改造
Cマウントレンズ24本レビュー&実写サンプル
フルHDザクティHD1010をCマウントに改造
DDV-1080HDをCマウントに改造
DMX-HD1AをCマウントに改造
安物ビデオカメラをCマウントに改造
安物デジカメをCマウントに改造


ボディ側の改造


ケースにするカメラはキャノンDEMI EE28。ヤフオクでジャンクを1000円で落札。


外せるネジを全部外し、上部にある巻き上げレバーとクランクカップをカニ目で外して分解、レンズや中のメカを全部取り除いてガワだけにする。だいぶ軽くなる。


デジカメを入れるスペース確保のため、ボディ(フレーム)の不用な部分を切り取る。フレームはプラ製なので、ガスコンロで赤くなるまで熱したナイフで溶かし切り、切断面をデザインナイフやヤスリで整形する。
レンズが付いていた前面の鉄板はレンズ部の穴が小さかったので、ディスクグラインダーで削って穴を広げて整形した。

レンズはDEMIのもポケットムービーのも使わずに、レンズ交換式とする。デジカメとイメージサイズが似た監視カメラなどで使われていて、レンズが大量に安価で流通してるCマウント(よりフランジバックが5mm短いCSマウント)にする。
 
カメラ側マウントのパーツは、いつものC-CS変換リングだと直径が小さすぎて見栄えが悪いので、パナソニックの監視カメラ(ヤフオクで中古1000円で落札)のマウント部分を使った。
マウント側でピント調整ができるように2重リング構造になっている。外側のリングを外して、内側リングの根元をディスクグラインダーで削ってケースから分離させる。
リング内をつや消し黒で塗装して迷光対策する。
外側のリングの直径とDEMIの元レンズの直径がほとんど同じなので見ばえが良くなる。

 
外側リングとDEMIのフレームをエポキシパテで固定する。フレームの補強にもなるようにたっぷりパテを盛ってガッチリくっつける。

 
手元にNP-60やNP-120がたくさんあるので、サンヨーDMX-HD1010のジャンクから電池ボックスを切り出し、DEMIの右側に入れてエポキシパテで固定。
DEMIの下側にあったボタンとストラップ用金具は取り外し、アルミ板で穴を塞いだ。

 
ポケットムービーHDVの右側にある3つのボタンスイッチ(再生/撮影モード切替・静止画/動画モード切替・メニュー呼出)を操作できるように、ボディ下面にドリルで穴を開け、棒やすりで整形。元のボタンをはめ込む。


スペース確保のため、DEMIの上側はフィルム巻き戻しクランク(背面カバーを開閉するため必要)と光学ファインダー(これで撮ったほうがかっこいいので残しておきたい)以外の全てを撤去する。(ファインダーの中に2重像を作るためのハーフミラーがあるが、視野が暗くなるだけなので外した。)
巻き上げレバーとフィルム残量インジゲーターは見た目だけ残して内側は切りとって撤去し、パテで固定してダミーとする。
ISO感度指定ダイヤルはパネル部だけ切り取って電源スイッチとなるタクトスイッチの表面に接着した。(詳細は後述)


背面カバーはポケットムービーの液晶が見えるように四角く穴を開けた。ノコギリやニッパーで切ると歪みそうなのでPカッターで時間をかけてくりぬき、棒ヤスリで整形した。
その右側にはポケットムービーの十字ボタン操作用の穴を開けた。


中に入れるデジカメ側の改造

中に組み込むのは、ポケットムービーHDV(POMOHDV2)・・・と同じもので中国のブランドが売っているDOD F200HD。ヤフオクで13000円で落札。
選定のポイントとして、@フルHD動画が撮れる Aメカシャッターがなく電子シャッターのみで静止画撮影する(直焦点化するなら必須) BCMOSがメイン基板に固定されておらず、ケーブルで接続された別ユニットになっていて配置変えできる Cメイン基板が小さい の4つが重要。

現物あわせで組み込む配置を検討し、基板とCMOSをDEMIに横向きに入れることにした。(DEMIを縦位置にしたときに横長の写真・動画が撮れる)


ネジを全部外して分解。


背面液晶のバックライト電源ラインの途中を切断し、ケーブルをハンダ付けして小型スライドスイッチを割り込ませてON/OFFできるようにする。
スイッチはカメラ背面上部につけた。(後述)


元のマイクカプセルはメイン基板上に直付けされているのでニッパーでもぎとり、ケーブルをハンダ付けしてWM-61Aを前面に移設。DEMIボディ前面に1mmドリルでマイク穴を開けた。


CMOSにはレンズ後端から取り外した赤外線カットフィルタをシリコンボンドで接着し、周囲をつや消し黒で塗る。


CMOS基板をマウントリング後端にパテで固定。
DEMIのスペースの都合上、縦に付けざるを得ず、DEMIを横にして撮ると縦長の動画・静止画が撮れる形になった。まあ元がハーフカメラなのでちょうどいい?
1/3インチ対応のイメージサークルの小さいレンズを付け、ケラレ具合を見ながら中央あわせした。


メイン基板をエポキシパテでボディに固定。
上側に隠れることになる、ヘッドホン端子・USB端子・HDMI端子はあきらめる。(もともとそんなに使わないので)


液晶モニターをボディにパテとボンドで固定。


SDHCメモリカードを抜き差しするため、カメラボディ左側を少し切り取った。後蓋を開けて交換することになる。


スピーカーは元あった位置からケーブルを延ばして、ファインダー横に固定。
撮影ボタンは元のスイッチをはずしてケーブルを延ばして、DEMIのシャッターボタンの真下にタクトスイッチを固定し、シャッターボタンで撮影できるようにした。
電源ボタンは元のスイッチをはずしてケーブルを延ばして、大型タクトスイッチをパテで固定し、タクトスイッチの表にISO調整ダイヤルのパネル部を接着し、ISOパネルを押して電源ON/OFFをするようにした。
液晶モニターのケーブル途中から引き出したバックライトの電源スイッチは、小型スライドスイッチをフレーム上部に固定した。



完成

名付けてデジデミ。のべ4日、通算30時間ほどで完成。

   
左から2枚目の後面の写真にて、上部まんなかにある丸いダイヤル(回転せずダミー)が電源スイッチ。カチッと押すとON/OFF。
その右にある小さいスライドスイッチが液晶モニターのバックライトON/OFFスイッチ。

     
ついているレンズは、左から2.8mm F2(静止画撮影時は6倍で35mmカメラ換算になるので16.8mm相当)、8-48mm F1-1.2(48-288mm相当)、3.5-8mm F1.4(21-48mm相当)、16mm F1.4(96mm相当)、3.5mm F1.6(22mm相当)、4-8mm F1.4(24-48mm相当)。
各レンズの描写・レビューはCマウントレンズ24本レビュー&実写サンプルのページにて。
このカメラには円筒型の金属製レンズがよく似合う。

いつもの外見そのままでCマウントレンズ交換式にする改造と違って、新鮮で面白い作業だった。
古いフィルムカメラはスタイルの美しいものが多く、かつ中が壊れたジャンクは安価で流通してるので他にもやってみたい。


実写サンプル

写真

50mm F1.8にて撮影。縦横半分のサイズに縮小してある。色やシャープネスは一切いじらず縮小しただけ。ラチチュードはけっこう広い。AWBもよい。
exifでは日付がおかしいが、バッテリーを入れ替えるたびに内蔵時計がリセットされるので、もうめんどくさくて設定してないせい。

動画 


次回作@(奥の)


次回作A