クラシックレンジファインダーカメラleica IIIaをデジカメ化する

2009.10.6

 
デジタルなバルナックライカってことで「デジバルナ」

バルナックライカIIIaの中にデジタルカメラ(ポケットムービーHDV)を組み込み、デジタル化した。
800万画素の静止画と1920×1080のフルハイビジョン動画が撮れ、画質はそこそこ良く、様々なレンズを交換してマニュアルフォーカス・手動絞りで様々な描写を得られ、本物のバルナックライカの外見を持つ、世界に一台しかないカメラができた。


動画(youtube)での各部動作紹介

参考
フィルムカメラdemiをデジカメ化&Cマウントレンズ交換式に
ポケットムービーHDVをCマウントに改造
Cマウントレンズ24本レビュー&実写サンプル
フルHDザクティHD1010をCマウントに改造
DDV-1080HDをCマウントに改造
DMX-HD1AをCマウントに改造
安物ビデオカメラをCマウントに改造
安物デジカメをCマウントに改造


ボディ側の改造


外側の殻としたのは、1935〜1948年の間に作られたライカIIIa。ヤフオクでシャッターが切れない不動品を2万円で落札。
軍艦部の造形が非常に美しい。一部シルバーメッキが薄くなって真鍮の地肌が出てるところがあるが、時代を感じさせてこれもまた良し。
ドイツ軍が制式に採用したのはこれの後継のIIIcだが、ミリタリーモデル(刻印が違う)は高くて手が出ない。軍人個人で購入して使ったものという設定でサバゲなんかの撮影に使うことにする。


全部バラして内部構造をすべて撤去する。時代ものの使えるカメラを壊すのは気がひけるが、不動のジャンク品だったので少しは気が楽。

レンズマウントは、焦点距離がデジカメと近い防犯カメラ等に使われているCマウントにする。
 
直径が大きく見栄えがいいパナソニックの防犯カメラのマウントを流用する。2重のリングになっており、内側のリングの根元をディスクグラインダーで削ってケースから分離させる。


ライカのLマウント径よりもCマウントリングの外径が大きく入らないので、PカッターでLマウント開口部を少し切り取って径を広げた。


Cマウントリングをはめて、エポキシパテでがっちり固定。


ケースに、SDメモリカードを出し入れするスロットの口、十字キーと静止画/動画モード切替えスイッチの穴、液晶モニターの穴を開ける。Pカッターとドリルでちまちま開けた。
ケース表面に張られているのは皮ではなく硬質なグッタペルカ。曲げるとパキッと割れて扱いづらい。


軍艦部下のでっぱりをディスクグラインダーで削りとったときに金属粉がファインダーの中に入り込んでしまったので、分解して掃除した。このレンジファインダーユニットが金属の塊でかなり重い。
シャッタースピード設定ダイヤルは内部構造を撤去したらぐらぐらするようになったので、パテで固定した。軍艦上にある部品で唯一これだけが固定となった。


デジカメを分解してライカの中に入れる

中に入れるのはポケットムービーHDV・・・と同じもので中国で売られているHDDV-MF504。ヤフオクで10000円で購入。
1920x1080pのフルハイビジョン動画と800万画素の静止画が録れ、画質もまあまあ良く、CMOSが本体基板と分離しているので配置換えして組み込みやすい。
改造してる最中に基板とCMOSをつなぐフラットケーブルを2回切ってしまい、2つがゴミになった。とほほ・・


分解してライカのケースに入れて現物あわせで配置を決める。
どうやっても縦には入らないのであきらめて、横に入れることにした。ライカを横に撮影すると縦長の写真・動画が撮れることになる。


もとのレンズを外してCMOSをむき出しにして、別のジャンクデジカメから外した赤外線カットフィルタをシリコンボンドで付ける。


ポケットムービーのもともとのバッテリーは容量が少ないし手持ちもあまりないので、たくさん持ってるNP-120に変更。ジャンクなザクティから電池ボックスを切り出して流用。
バルナックライカは背面に開閉するカバーがなく底蓋が開くようになっているので、電池ボックスを本体に固定して電池を出し入れするのは無理。(電池ボックスを縦に置けば可能だが、長すぎて入らない。)
なので電池ボックスと本体基板を長いケーブルでつなぎ、電池ボックスを固定せずにケースから出して電池を着脱するようにした。
電池ボックスが中で動かないように硬質スポンジをボディに張って挟み込む。


電源スイッチ、ムービー/写真モード切替スイッチ、撮影ボタン、マイク、スピーカー、液晶モニタバックライトの電源ラインそれぞれの端子にケーブルをハンダ付けしたところ。

液晶モニターバックライトスイッチ

液晶モニターバックライトの電源ラインの途中を切断し、ケーブルをハンダ付けして小型スライドスイッチを付けた。
ライカ前面にあるスローシャッタースピード設定ダイヤルの裏側部品をダイヤモンドヤスリで削ってスイッチにひっかけるようにして、ダイヤルを回してON/OFFするようにした。

ムービー/写真 切替えスイッチ

ムービー/写真モード切替スイッチとして、十字キーの下にタクトスイッチをつけた。
ボタンの頭はボディ表面と同じ高さにしてあり、指の腹で強く押すと押せる。

電源スイッチ
 
軍艦上にある巻き戻しリリースレバーを電源スイッチとした。
レバーの裏側についているパーツにピンバイスで穴を開けて長いネジを挿し、内部に固定したタクトスイッチを押すようにした。レバーを手前に押しこんだときにスイッチが電通し電源ON/OFFとなる。
内部につけたバネにより、指を離すと写真右の位置に戻る。

撮影ボタン
 
撮影ボタンとして、ライカのレリーズボタンの下にタクトスイッチを固定した。
レリーズボタンからは長い棒が延びているので適当に切断し、抜けないように穴をあけた鉄板をはめてストッパーにしてある。
ボタンとボタン受けの間にちょうどいいサイズのバネをはめて、ボタンが上に上がった状態にテンションをかけてある。


上の電源スイッチと撮影ボタンは軍艦部に固定したので、中をいじるときにボディと分離できるようにケーブルの途中に小型の4Pコネクタをはさんである。


マイクは基板上に直付けされているのでニッパーでもぎりとり、ケーブルをハンダ付けしてWM-61Aを付け、ライカボディ前面に1mmピンバイスでマイク穴をあけてその裏にシリコンボンドでつけた。

 
長時間連続撮影時に発熱するエンコードチップの放熱のため、0.5mm厚の銅板(ダイソーで購入)を、片側はチップに、片側はライカボディの内側にシリコンボンドで貼り付け、チップの熱をボディに逃がすようにした。


本体基板と液晶モニターをボディに、CMOS基板をCマウントリング後端にエポキシパテで固定。Cマウントリングに1/3インチ対応のイメージサークルの小さなレンズをつけ、電源を入れて液晶でケラレ具合をみながら中心をあわせた。

そのままだと電池交換で蓋を開けたときにあまりに見栄えが悪いので黒で塗装。


完成

デジタルなバルナックライカということで、DigiBarnaと名づけた。デジライカのほうが語呂がいいんだけど、デジタルなライカは既製品があるので・・・
ボディが小さくて配置に苦労して、さらに裏蓋が開かないので加工も手間がかかり、40時間くらいかかった。
      
レンズは3.5mm F1.6と、最後のルガーP08と一緒に写ってるのが50mm F1.8。
前から見ると、レンズが違う以外はライカそのものでとてもハイビジョン動画が録れるデジカメには見えない。後ろはモニタとボタンがあるのでデジタルっぽいな。
フィルム巻上げダイヤルは回転するので、一枚撮るごとに指でくるくる回してフィルムを巻き上げてるように見せることもできる。気分はUボートのヴェルナー少尉。

映像を見ると軍艦部とボディが一体のように見えるので、これはダイキャスト製のライカIIIcかな。


前回作dezidemiと。ハーフカメラと同じサイズなんだからライカって小さいんだな。


実写サンプル

写真

部屋の窓から撮影。
一番サイズが小さくなる5Mピクセル、最大圧縮(圧縮度・普通)にて撮影した生ファイル。WBオート。
レンズは16mm F1.4をF10程度に絞り込んだのでほとんどパンフォーカスになっている。

動画 業物さんのアップローダーを拝借しました。リンク先のdcim0785.movをダウンロードして見てください。

1920×1080で撮影したままの生ファイル。WBオート。
部屋の窓から写真と同じ位置を撮影。上にパンしたあとフォーカスを近距離にズラしてぼやかした。
雨粒を映すため、レンズは16mm F1.4を絞り開放で撮影。



 
改造ベースにこんなに買っちゃった。
中央の今回作ったもの以外は、全てロシア製のニセライカ。(ロシアのゾルキーやFEDといったコピーライカの刻印を削って、ライカの刻印を打ち直したもの)
e-bayから購入代行サイトに依頼して購入。即決価格は一つ14000円くらいだが、代行手数料や米国内送料、日米間送料をあわせたら一つ2万くらいかかってる。e-bayで買うときは複数商品を同梱して日米間送料を節約したいので、ついつい必要以上に買ってしまう・・・
一つ2万円だとジャンクの本物バルナックライカと大して値段が変わらないが、でも軍管理シリアルナンバー「Fl.No」、そして背面の「luftwaffen Eigentum」の刻印が欲しかったので。小さなパーツまで含めて全部真っ黒というのもカッコイイ(でも白文字は安っぽい・・)
次回はこれを同じように改造する予定。(下のFilmoと同時並行で)


次回予定作、bell&howell Filmo 70HR。サンヨーDMX-HD1010を組み込む予定。もちろんターレットにつける3本のCマウントレンズはライブで。