ターレット式のクラシック16mm動画撮影機Filmoをデジタルビデオカメラ化する

2010/3/7


Digimo1080HD

1930年代製の古いターレット式シネカメラ、フィルモの中に、1920x1080の60Pフルハイビジョンムービーが撮れるXacti DMX-HD2000を組み込んだ。
もちろんターレットのレンズはライブ。おそらく世界初にして世界唯一のターレット式デジタルビデオカメラ。
換算17mm相当の超広角レンズ(実焦点距離2.1mm F1)から400mm相当の望遠レンズ(50mm F1.8)に一瞬で切り替えられる、ズームレンズカメラでは実現できない超便利なビデオカメラになった。

1.Filmoの紹介
2.分解、準備
3.ザクティ組み込み
4.完成外観
5.実写動画サンプル(撮影しながらターレット回転)


参考
フルHDザクティHD1010をCマウントに改造
Cマウントレンズ24本レビュー&実写サンプル




ボディになるカメラは、Bell&Howell社製の16mmフィルムシネカメラ、Filmo 70DL。比較的良く見る70DR(上の写真)より前の機種。
ebayで不動の部品取り用の水没品を35ドル(+米国内送料12ドル、代行手数料1500円、日本への送料3000円)と、部品欠落品を60ドル(+米国内送料12ドル、代行手数料1500円、日本への送料3000円)で落札購入。

写真で想像してたのより小さい。ボディは総金属製で軍隊が前線で使ってたほど頑丈だが、とても重い。3Kg以上ある。ダンベルを持ってるみたい。
部品の一部(シャッターボタン等)が欠落していて、ゼンマイの巻上げはできるがシャッターボタンでゼンマイに歯止めがされず、そのまま巻き戻ってしまう。ターレット部はしっかりしていた。
水没品のほうは部品は全てそろっているが、内部まで腐食しているようでゼンマイ巻上げはできるがシャッターボタンを押しても動かない。またボディも各部が腐食し塗装がはげて汚い。部品取り&予備機にする。

正面左側の大きなターレットに撮影用のCマウントレンズ、右側の小さなターレットにビューファインダー用のレンズをつける。
70DLモデルでは撮影用ターレットとファインダー用ターレットは連動しない。(写真のDRモデルはギアで噛み合って連動する。)両ターレットにはクリックがありちょうどいい位置でしっかり止まるようになっている。
ターレットが回転するので、オリジナル状態ではネジ終端より後ろが突き出したレンズ(実焦点距離4mm以下の広角レンズに多い)は使用できない。
ターレットが小さくてレンズ間の間隔が狭く、極端に太いレンズは付けられない。

このバージョンは1930年代発売で、ミリタリーバージョンを第二次世界大戦で米軍が大量に使っていた。(ドイツ軍は自国メーカーのアーノルド&リヒター社製arriflexを使っていたが、高すぎて手が出ない。ジャンクで安いのがあったら改造したいんだが。)

一見すると丸っこくてエルゴノミクスっぽいボディだが、実際には手の置き場所が決まらず持ちづらい。同じベルハウエル製の箱型カメラAuto Loderのほうがずっと持ちやすく、小さく、軽い。(実際に戦場の映像記録を見てると、auto loderを持ってる兵士もいる。)
wikipedeaのロバートキャパの項目で一つ前のバージョン70DAを持ってる写真があるが、ボディを持たずに底部にある三脚穴に付けたストラップかグリップを持っているみたい。・・・本体付属のベルトは運搬用?



分解、前準備


 2
分解して内部のメカをすべて撤去する。30分ほどで全て分解完了。

歯車やシャッターといった内部機構はすべて金属製で、特にゼンマイバネは長くて重い。ゼンマイバネだけで自重の半分近くある。
外装も全て金属製で一切プラスチックは使われていない。一見プラ製に見える外部のダイヤルも金属製。金属の歯車を見てると、故障知らずとの評判もうなづける。
ボディをがらんどうにしたらだいぶ軽くなって、1Kgくらいになった。最初の1/3。これなら片手で持てる。


ゼンマイ室内部には潤滑用に鉛が張ってあるのか、指でこすっただけで金属が指について黒くなる。紙やすりをかけて削り落として、クリヤー塗料を吹いて表面処理した。

 
ザクティを分解し、部品単位にまでばらす。
赤外線カットフィルタはゴムブッシュを介してCMOSに載っているが、ゴムブッシュから剥がして裏返してCMOS上にシリコンボンドで接着。(元の状態ではデリケートな赤外線カットコーティングが上側についてるので、下側にする。このコーティングは非常に弱く、麺棒で軽く拭いただけで傷つき、ぺったん棒で掃除しようとするとペリッと剥がれてしまう。)

レンズに内蔵されているメカニカルシャッターが無くなり、普通に写真撮影すると露出過多になりまともに写らなくなるが、
連射モードにすれば電子シャッターのみになるので問題なく撮影できる。連射モードでもシャッターボタンを瞬間だけ押せば単写になる。



組み込み


現物あわせで中に入れるザクティの配置を決める。
CMOS基板はターレット直後の最前面に固定し、本体基板は横にして斜め上に固定することにした。




なるべくフランジバックを長く確保するためにザクティのCMOSを最前面に寄せるので、ターレットベースの後ろにあるシャッター幕基礎構造(ベースと一体成型)をハンドソーで切り落としてヤスリで後処理。
今の機械ならコスト面で絶対にやらないような、古い機械ならではの手の込んだ丁寧な造りで撤去してしまうのは不動のジャンクとはいえ心が痛むが、仕方ない。

 
レンズからの光束を通すためにターレットには丸穴が開いているが、ここにCMOSをはめ込むためドリルと金やすりで四角く拡大する。
CMOS基板の右端がボディに当たるので、一部を削る。


ターレットに1/3インチ対応のイメージサークルの小さなレンズをつけ、ザクティをフォトビューモードにしてケラレが4隅に均等に出るようにして中心を合わせ、瞬着で仮止め、エポキシパテでガッチリ固定した。
フランジバックの平行出しは、ターレットベースの裏面がフランジ面と平行になっているとの前提(期待)で、ぴったり押し付けて固定して出した。
CMOSの裏に銅箔を接着し、反対の端をターレットベースに接着して、熱を金属ボディに逃がして放熱させるようにした。


CMOSをターレットベースの直後に置いたことによりフランジバックが短くなったので、ターレットの前に5mmリングをつけた。これでもCSマウントのフランジバックより少し高さが足りないので、サークルカッターで各種厚さの紙をリング状に切り出して微調整 。俺はピント調整機構がないパナソニックのレンズを多用するので、フランジバックは厳密に出す必要がある。
紙リングを増減させてレンズ(パナソニックのWV-LA210C3)を付け写りを確認し、ピントが合いくっきりな写りになったところで瞬着を流し込んで固定した。3つのターレットで微妙にフランジバックが異なるようで、3つとも異なる調整になった。

ターレットの前に5mmリングが付いたことにより、マウント後端よりもレンズが後ろに飛び出したCSマウントレンズも使えるようになった。(ターレットは回転するので、マウント後端よりも後ろが飛び出したレンズをつけると破損してしまう。)実焦点距離3mm以下の広角レンズはほとんど飛び出したものばかりなので、実用的になった。




操作パネルはボディ内部に入り込んでしまう。全てのスイッチにケーブルをハンダ付けして外に引き出そうとしたが、ボタン基部は薄いフィルムケーブルになっていてハンダ付けできなかった(チャレンジしたがケーブルが溶けた)。
リモコンをボディに固定して操作することにする。

   
ボディにハンドドリルでボタン穴を開け、ヤスリで窪みをつけ、タクトスイッチをばらして取り出したボタン部を穴にはめ、裏にリモコンをエポキシパテで固定して完成。


リモコンの電池端子にケーブルを付け、ザクティ本体用の電池ケーブルに付けて電源を引っ張ってきた。リチウムイオンの4.2Vではボタン電池の3Vに対して電圧が高いので、赤外線LEDが20mA流すとして途中に75Ωの抵抗を付けた。
リモコンの赤外線LEDは一度切り離してケーブルで延長し、赤外線受光部のまんまえに置いた。


電源On/Offはリモコンで操作できないので、本体基板の電源スイッチにケーブルを半田付けして延長し、リモコンの下にタクトスイッチをつけた。
間違って押さないように、あえて離れた位置にした。


そのままではボタンが低く押しづらかったので、ボタンの頭に丸くくりぬいた革を付けて嵩上げした。


電源スイッチ、録画スイッチ、写真撮影スイッチ、ズームスイッチ(Cマウントレンズをマニュアルフォーカスさせるとき、デジタルズームで拡大するとやりやすいので必要)は右手でボディを持ったまま親指で押すことができ、操作性が非常に良い。
メニュースイッチと十字スイッチは親指が届かず左手でないと押せないが、操作頻度は低いので問題ない。

内蔵レンズを取り外したことで、アドバンスドズームの挙動がはっきり確認できた。 単焦点レンズをつけた状態で光学ズームの範囲内でズームさせてみると、HD1010では全く画角が変わらなかったが、HD2000では広角端から望遠端までわずかに画角が変わり続け少しだけ望遠になる。
光学ズームとアドバンスドズームが同時に動いてるようだ。
デジタルズームと違ってピクセルの拡大処理はしていないので画質の劣化はほとんど起こらない。
イメージサークルの小さなレンズをつけてケラレが出たときに使えそうだ。




本体基板をボディに固定する前に、エンコードチップの放熱のため銅板(もともとザクティ内部に放熱用に付いてたもの)をチップと70DLのボディにシリコンボンドで貼り付け、チップの熱を金属ボディに渡して放熱するようにした。
銅版のシリコンボンドが固まったら、本体基板をエポキシパテで固定。
放熱効果は大きく、1080の60pで長時間連続撮影していると、銅板を貼り付けた部分がほんのり暖かくなってくる。

内蔵マイクは液晶モニターの裏についているがモニタはボディ内部に置くので、外部マイク端子につけたマイクを使用する。
マイクは秋月電子で買ったWM-E13UYを使用して自作。(WM-61Aも持ってるが、外で使うことが多いので携帯電話の電磁波ノイズ対策がされているE13UYにした。)
Filmoボディの前面下部の左右(上部だと雨が降ったときに入ってしまうのでやめた)に1.5mmドリルでマイク穴を開けた。
スポンジゴムを丸めてマイクカプセルを作り、風吹かれ音対策として100円ショップの髪留についてるボンボンからファーを切り出してカプセルの中に詰めウィンドスクリーンにした。
カプセルの中にマイクを入れ、カプセルを瞬着でボディ内部に仮止めし、内部の音が入らないようシリコンボンドで全体を覆って固定。

 
ヘッドホン端子に延長ケーブルを刺し、メス部は元ゼンマイ収納部の下部に穴をあけて固定した。

ゼンマイ巻上げノブは内部に突き出した軸を切り取り、スナップリングをつけてパテで固定した。


肩や首から下げられるように本革のロングストラップをつけた。ハンドストラップの取りつけ部分に共締めしてある。


このボディサイズで小さなバッテリーを使うのは馬鹿みたいなので、電池端子にケーブルを半田付けし、標準プラグを付けて自作の大容量電池を使えるようにした。
ミラー上の空きスペースにアルミ板で電池ボックスを作り収納。
電池はHD1010改用に作ってあったDB-L50を3本並列にして標準ジャックをつけたもので5700mAh。この電池では1セルあたりの放電電流は元の1/3となり、電池は時間あたり放電量が減ると放電容量が増えるので、元の3倍より多い5時間くらい撮影できる。2つもってるので一日中録り続けても平気。



ファインダーをどうするか、2つの案。
@元の光学ファインダーをそのまま残し、液晶モニタはボディ後部に穴をあけてそこから覗くようにする。構図を決めるときは光学ファインダーを使い、ピント合わせは別の穴から液晶モニタを覗いて行う、ダブル方式。
A光学ファインダー対物レンズは見かけだけのダミーにして、ファインダーの接眼部から液晶モニタを覗くようにする。対物レンズは見かけだけの飾りになるが、実用的。

実用性のあるAにすることにした。
液晶モニターはボディ内部に置くが、液晶モニタの横幅よりもFilmoのボディの横幅のほうが小さいので後ろ向きには置けない。
後ろから見えるように横向きに置こうとしたら、ボディに穴をあけてモニタを飛び出させるか、斜めに置いて後ろから斜め前を覗くようにするかしかない。


ファインダーの接眼レンズ部分から前を覗いて撮影するスタイルにしたかったので、上の2つの方法はやめて別の方法・・・モニタは縦に上向きに置いて、
2枚のミラーを使って反射させファインダー接眼部からモニタを見る方法を考えた。
ミラーに反射させるのが1回だと裏から見た像(上下はそのままで左右が逆)になるが、この方法だと2回反射させるので裏像にはならない。


ビューファインダー部分を分解し、内部のレンズ機構を撤去。

 
覗き口からボディ内部へ光路を通すため、蓋に穴を開けた。ドリルで穴をいくつか開け、ニッパーで穴をつなぎ、そこにハンドソーを入れて切った。
迷光対策のため内部はつや消し黒(黒板用塗料)で塗装。

 
鏡を貼り付けるベースとしてアルミ板をエポキシパテで固定した。


覗き口は元から付いてたレンズ(アイピース)を取り除き、パララックス補正用の円盤だけにして、ヤスリで覗き口の穴の内部を削って径を広げた。ボディにタップでM2.6のネジ穴を切り、マイナスネジで固定。

  
覗き穴から液晶モニタまでの距離(光路長)は12〜14cmほどしかない。
思い切り目を凝らさないとくっきり見えず目が疲れるので、視度補正のため覗き穴の内部に凸レンズをつけることにした。
ダイソーで度数3.5の老眼鏡を買い、左右のレンズから必要な大きさを切り出し、2枚重ねにして7ディオプターのレンズとして使ったら、無限遠を見る状態でくっきり見えるようになった。
 
しかしノーコーティングのレンズ2枚重ねで反射が多くて像が悪く、アクリルレンズで傷つきやすいので汚れたときのメンテも難しく、気に入らなかったのでケンコー光学ショップから光学レンズを購入して付けた。
D=25.5mm、f=135mmの接合(アクロマート)レンズ。両面マルチコートがされている。2000円。
老眼鏡レンズ2枚重ねよりも反射が減り像が良くなりメンテも楽にできるようになった。
副次的な効果として、凸レンズなのでモニタが1.8倍ほどに拡大され大きく見えるようになった。目の10cm前にモニタがあって、それがくっきりピントが合ってみえる状態。まるでEVFのよう。
レンズは覗き穴から中にホコリが入るのを防ぎミラーを守るプロテクタ代わりにもなった。

 
アイカップとして、3mm厚の牛革ハギレをラッパ型にして貼り付けた。目をしっかり押し付けて見ることができ、外光が接眼レンズに反射しなくなって見やすくなった。

普通の鏡ではガラス表面の反射像と底反射面での反射像がだぶってゴーストが出てしまうし、像も暗い。
通販でガラスの表面側にアルミ膜が張られている表面反射鏡(スッパタリングミラー)を購入。ただしこのミラーは汚れに弱いので、まずは配置を決めるために100円ショップの鏡でシミュレーションする。

ダイソーの鏡をダイヤモンドカッターで切断し、角材で仮ベースを造り、両面テープで仮止めして位置を検討。
シミュレーションで得られた結果から配置と鏡の大きさ・形状を最適化した。


ミラーの土台は、脚を木材、テーブル部分をアルミ板で作成。
アルミ表面反射鏡の表面は非常に弱く、軽く拭いただけで傷がついてしまうのでブロア掃除しかできない。汚れたり腐食したときに簡単に交換できるように、ベースに直接鏡を固定はせず、まず1mm厚のアルミ板でテーブルを作り、そこに鏡を両面テープで貼り付けることにした。


ガラスの切断は初体験。ダイヤモンドカッターでスッパタリングミラーに筋を入れ、裏から叩いてパキッと切断。高いし通販でしか買えないものなので失敗しないように慎重に・・・この改造中、一番緊張した作業だった。上手くいって綺麗に切断できた。

両面テープで貼り付けて固定。表面に張られている保護シートは最後に完全に完成した時に剥がす。

 
液晶モニターをボディ内部にエポキシパテで固定。
モニタの横に水準器をつけ、覗き口から同時に見えるようにした。モニタのバックライトでは明るさが足りなかったので、真横にLEDを付けて照らすようにした。
LEDの電源はモニターのバックライトの電源ケーブルからひっぱってあるので、モニターの明るさ・電源ON/OFFに連動する。バックライトの電源ラインをテスタで計るとDCの19.15Vだったので、電流制限のため10KΩの半固定抵抗を挟んだ。ドライバーで回して明るさを調節できる。(LEDを明るくするとモニタが暗くなる。)
LEDは暗所撮影のときに暗所順応した目の瞳孔が閉じないように赤色LED。周りに光が散らないようにアルミホイルでLEDを包み、黒の紙で筒をつくってその中に入れ、水準器内だけを照らすようにした。水準器の反対側の端にはシワをつけたアルミホイルを貼ったので、水準器を通り抜けてきた光が反対側で乱反射して全体が均一に光る。
ミラーでモニタの縦横を変換しているので、横方向の水準器だが見た目は縦方向になる。水準器に矢印を書いて、水泡の位置に応じたカメラを傾ける方向をわかりやすくしてある。

  
左は少し離れて撮影。右は覗き口にカメラを押しつけて撮影。実際に覗くと右みたいに見える。
2時間くらいかけて鏡の位置・向きを微調整して上手く配置したので、右目でモニター・左目で裸眼で景色を覗いたときに、左目で見てる景色の中央とモニターの中央に映ってる場所がほぼ一致するようにできた。
8mmのレンズを使うとほぼ左右の像が同じになって重なる。



<消えない音声ノイズの怪>

ほとんど完成させたところでためしに動画撮影してみると、音声に「ピー」という甲高い高周波ノイズ音が入っている。
ザクティってこんな音が悪かったっけ?とWM-61A外付けマイクを付けたHD1010改で撮影してみると、全くノイズは無い。つまりこのfilmoだけの症状。
たぶん液晶のバックライト(冷陰極管)のインバータからのノイズだろうなと想定し、電源を入れたfilmoのモニタにHD1010改を近づけて撮影してみたら、HD1010でも同じピー音が入った。やはりモニタ由来のノイズだ。

  
モニタのすぐ近くにマイクを設置しているのが悪いのだろうから、ボディ下部にあったマイクをニッパーでもぎ取り、新しく本体上部に設置しなおすことにした。
元のマイク穴はパテで塞いで塗装。元のマイク位置ではステレオ感が無く風吹かれにも弱かったので、ボディ上部の左右に6mmドリルでマイク穴を開け、100円ショップのボンボンからファーを切り出してマイク穴に風防として付けた。
スポンジゴムで円筒を作り、左右マイクを中ほどに入れ、エポキシパテで円筒をボディに固定。


これでノイズはだいぶ減ったが、まだかすかに聞こえる。どうにかして消せないか試行錯誤していたら、偶然、ミラーベースの1mm厚アルミ板に手を触れるとノイズが消えることに気づいた。(人体アース?)
どうやら、このアルミ板がノイズを増幅するアンテナになっていて、大きな導電体が触れると増幅しなくなるみたいだ。
そこでアルミ板とfilmoの金属ボディをケーブルで接続してショートさせシャーシアースをとったら、ノイズは完全に消えた。
やれやれ・・・

マイク穴を左右に開けたことでステレオ感が強まり、ファーを外に出したことで風吹かれにも強くなった。



 
完成した内部の状況。
うむむ・・空きスペースが多くてもったいない。特にモニタの下、何か置けないかな。予備用のSDカードケースでも付けるか?



 
愛用レンズWV-LA210C3 (2.1mm F1、換算17mm相当)はDCアイリスなので、ボディの絞り駆動コイルが入ってる部分が出っ張っている。ターレットに付け外しするときは別の2本のレンズを外さないとぶつかってしまう。不便なのでレンズボディをスレンダーに作り変えた。
レンズを完全にばらして、底の金属部分をディスクグラインダーで削って丸く整形、塩ビパイプがちょうどいい太さだったので切ってストーン調スプレーで塗装してネジ穴を開け、ボディにした。
絞りは、開放F1だとコマフレアが大きすぎてどうせ使わないので、コマフレアが消えるところまで絞った状態(たぶんF2〜F2.8くらい)で固定した。ザクティはCMOSなので光量過多でもスミアが出ず、明るい分には問題ない。
円形鏡筒になり他の2本と干渉しなくなり、色も黒くなってfilmoにつけても違和感がなくなった。


完成

フルハイビジョンが撮れるデジタルなフィルモ、ってことでデジモ 1080HDと名付けた。んー、かっこいいーー!
重量は電池・レンズ抜きで1.6Kg。電池と写真のレンズ3本込みで2Kg。重いがなんとか片手で持てる。

 
 


ついてるレンズは広角を中心に3本。
2.1mm F1(換算17mm相当)、6mm F1.4(換算50mm相当)、16mm F1.4(換算125mm相当)。
この3本セットは実用性が高い。祭り会場で2.1mmで会場全体を俯瞰し、6mmで近くの人物を撮影し、16mmで舞台上の人物を撮影、といった感じでオールマイティに使える。
3本とも単焦点なので明るく歪曲や収差が抑えられ、F1.8くらいから非常に良い描写をするので暗所にも強い。
絞り羽根も、ビデオカメラによくある2枚のひし形絞りではなく3枚、6枚羽根の虹彩絞りなので絞った状態のボケも綺麗。

2.1mmF1は換算17mm相当の超広角だが、レンズの長さは3本ともほぼ同じなので他のレンズは画面に入りこまない。
17mm相当の超広角で(魚眼ではなく歪曲が抑えられた広角レンズ。他のビデオカメラでこんなレンズはないだろう)、しかも開放F1という明るさはズームレンズでは絶対に実現できないスペックで、レンズ交換式ならでは。ターレットだからレンズ交換は一瞬、ということでまさにこのデジモの威力を生かした撮影ができる。

 
望遠レンズ3本。
50mm F1.4(換算400mm相当)、35mmF1.4(換算280mm相当)、16mm F1.4(換算125mm相当)。
50mmと35mmはCマウントなので変換リング2本重ねになっている。16mmはCSマウント。見た目はいいが、俺は広角好きなのでこの組み合わせはあまり使わない。


米軍で使ってたのでM1911A1コルトガバメントと一緒に。手前はデジタルバルナックライカ(ドイツ海軍仕様)とルガーP-08マリーネ。
ヒストリカルゲームで使ったら雰囲気が出て面白そう。


filmoについてきた専用ケース。本革張りの木製と凝った作りで、ダイヤル式のロックまで付いていて、現役時は高価な貴重品だったことがわかる。



実写サンプル、動画での各部動作の紹介


写真のサンプルは3月中旬ごろアップ予定


動画(youtube)での各部動作紹介と動画サンプル。最初と最後ではこのデジモで撮影しながらターレットを回して、超広角から望遠まで3本のレンズを一瞬で交換するのがどんな感じか紹介。
1920x1080でアップロード。
明るい単焦点レンズや超広角レンズの威力がよくわかる夜の車両(モノレールのホームからとか)を撮ろうと思ったけど、ヒマがないのでとりあえず家の中で撮影したものから。ヒマができたら色々撮って追加したい。


GXL-C1(16mm F1.4)レンズでの静止画サンプル。8Mのスタンダートで撮影したままの生ファイル。
連射モードでも一瞬だけシャッターボタンを押すと1枚撮影できる。
CMOS基板をfilmoボディに固定する際に、フランジ面とターレット後部面の平行が出ているか不安になりつつ固定したが、きっちり平行になってたようで片ボケもなく全体がくっきり撮れてる。よかった・・


HG2616FCS-3(2.6mm F1.6)レンズで撮影。1/2インチで対角魚眼だがザクティは1/2.5なので少しもったいない。




真ん中が今回改造のデジモ。他にFilmo70DL、Filmo70DH(改造ベースにするつもりで買った動作品だが、構造がメカニカルで空動作させるのが面白いのでやめた。)、bell&howell AutoLoder magagine camera×2、bolex H16。
いずれもCマウントターレット式。全部改造ベースとして買った。ebayの買い物では日米間送料が高いのでついまとめ買いしてしまう・・・
次はコンパクトでターレットが大きなAuto LoderにカシオのEX-FC150でも組み込もうかな。