アジア製CMOS動画デジカメをレンズ交換式に改造する



参考
フルHDザクティHD1010をCマウントに改造
Cマウントレンズ24本レビュー&実写サンプル
安物フルHDビデオカメラをCマウントに改造
DMX-HD1AをCマウントに改造
安物デジカメをCマウントに改造

HDC303Xは動画がしょぼいので、VGA動画が撮れるCMOSデジカメを同じように改造することにした。
選んだのはKFEのexemode DV308。ヤフオクで新古品を8000円で落札。
ビデオカメラとして売られているが、サンヨーのxactiシリーズと同じように動画が撮れるデジカメといった性質のもの。640x480、30fpsの動画をAVI(Xvidコーデック)で撮影できる。movのMPEG4でなくAVIのMPEG4で撮れ、電源が単三電池2本というのが気に入って購入。
ただしメカシャッターがついてるのか電子シャッターのみなのか、メーカーサイトを見ても詳しい情報が一切なく、なかば賭けだった。

届いたカメラをみると、外観は本体上部にアルミカバーがついていてなかなか綺麗。起動や操作のレスポンスが良く、サンヨーのxactiのようにモニタの開閉で電源をON/OFFできる。
動画はこの手のCMOSカメラにありがちな偽色やシャギーが見られずなかなか画質が良い。静止画もノイズが少なく解像感が高く、HDC303Xよりも良い。またHDC303Xに比べると彩度が高く、黒潰れが少なくてダイナミックレンジが広いようだ。(もちろんCCDの日本製デジカメよりはずっと狭いけど・・)
2GBまでのSDカードは使えたが、FAT32でフォーマットした4GBは認識しなかった。当然SDHCも使えないだろう。
動画の音声はMPEG1-LayerUの64kbpsモノラル。低音がなく軽い音でしかもチュルチュルといったノイズも入って良くない。
本体サイズはHDC303Xに比べて大きく、特に厚みがあってデブい。その割に重さはなく安っぽい感じ。
MP3再生機能があるが、イコライザはなくただ再生できるだけ。本体スピーカーの音はまあまあ、イヤホンで聴いてみると低音が全くなく安っぽい音で使えない。
まあ肝心の静止画と動画は悪くないので不満はない。

液晶モニタは大きく表示もそこそこ綺麗でイヤホンも付けられるので、ポータブル動画プレイヤーとして使うべく、パソコンでXvidのAVIファイルを作り、リネームしてSDカードにコピーしてDV308で再生させようとしたが、当該動画を選択するとしばらくフリーズしたのちに勝手に電源が落ちてしまった。どうもXvidの細かいパラメーターが異なっているせいみたい。
KFEのサポートにメールを送ってどのような設定でエンコードすればいいか問い合わせたが、「本体で撮影したファイルのみの再生を想定しており、PCで作成した動画は設定が多岐にわたるため不明」との答え。
その後、本体で撮影した動画でもPC上でAVIutlでmuxすると再生できず電源が落ちたためヘッダが悪さをしてると判明し、mencorderというソフトでヘッダの無駄な部分を削ったら再生はできるようになった。だが映像だけ早送りになったり、ノイズ(デコードに失敗して出てるノイズ)だらけだったり・・・Xvidの設定でBフレーム無し、動き検索無しにしたら相変わらずノイズは出るが少しはマシになった。引き続き調査・・・
動画の音声は試しにMP2のステレオ160Kbpsでエンコードしてみたら再生できた。いいイヤホンを使えばそこそこの音質で聞けるので、動画さえ綺麗にデコードできれば完璧なんだが・・

動作確認のために静止画1枚、動画を5秒ほど撮ったのち、すぐに分解。ぴかぴか新品なのに可哀想な奴よ。
電池蓋の中にある4つのネジの他に、本体上部のアルミカバーの下に2つのネジがあるので、アルミカバーは剥がさないとばらせない。剥がすと元のように綺麗に戻すのは困難だが仕方ない。
6つのネジを外せばボディがモナカのように左右に開く。


内部は一層のみの基板でシンプルな構成。可動式のモニターと単三電池のせいで厚みが増えて着ぶくれしているが無駄な空間が多い印象。構成を変えればだいぶ薄型コンパクトにできそうだ・・2層基板でチップがぎちぎちに載っているサンヨーHD1と比べると無駄が多い印象。このへん日本メーカーと海外メーカーの差かな。
外部にはリモコン受光部を示す記号がありボディにも穴が空いているのだが、基板には赤外線センサーはついておらず空ランドとなっている。
基板上部にちっさいマイクがついているが、いかにも質が悪そう。DMX-HD1Aから外したのマイクセル(たぶんパナのWVシリーズ?)につけかえたら、だいぶ音が良くなった


レンズユニットを外してみると、やった!メカシャッターはついておらず電子シャッターのみだ!(メカシャッター式のカメラからシャッター機構を外すと露出がうまくいかなくなる・・前ページのDZ-555参照)
CMOSユニットはザクティのように別体になっていて本体基板とコネクタで接続されている。ザクティのようにケーブルで接続されていれば方向を変えることもできたのだが、これでは無理だ、残念。


レンズユニットの一番後ろに赤外線カットフィルタ(IRカットフィルタ)がはめ込まれているので、レンズユニットをニッパーでバラして赤外線カットフィルタのみ取り出しCMOSの表面に乗せ、シリコンボンドを四辺につけて固定する。指紋や皮脂がつかないように慎重に・・・
CMOSユニット基板上にはマクロモードを検出するスイッチや抵抗チップが載っており、Cマウントリングを付ける際に干渉するので、リングの干渉する部分をヤスリで削ってやる。リングの外周が基板と干渉するのでそっちも削ってやる。

リングをCMOS基板に乗せたら内側にエポキシパテを詰め、硬化するまでの間にリングの中心にCMOSが来るように位置決めする。ここで失敗するとケラレが出たりするので慎重に・・なるべく硬化の遅いパテを使ったほうがいい。今回は実用硬度になるまで6時間ほどかかるダイソーのエポキシパテを使用。
硬化したら基板をボディに組み付け、Cマウントリングと干渉するボディの部分を切り取る。CSマウントの高さで、ちょうどリング前面とボディ前面がツライチになった。(だたしボディ前面にはフラッシュカバーのでっぱりがありレンズ付け外しの際に干渉してしまうため、外した。)


完成。これまでの数台の改造で慣れていたためか、作業時間4時間ほどでできた。簡単だった。
HDC303Xで使っていたHG2Z0414FC-MPを付けて撮影。F1.4となったので暗所で明るく撮れるようになった。(元レンズはF3なので、F1.4だと5倍くらい明るい)
焦点距離は広角21mm〜望遠42mm相当ととても使いやすい動画デジカメとなった。また広角端から望遠端まで、レンズ前面2cmくらいからピントがあうのでマクロも強力になった。
サイズがでかめな上に外付けレンズでさらに嵩張るようになり常日頃から持ち歩くには向かないが、土日に持ち歩いてバイクの走行動画を撮るにはいいんでないかな。(DMX-HD1は高いからラフな扱いはできんからね)


実写サンプル・・・改造前のものは、カメラが夕方に届いてその晩で改造してしまったのでありまへん。
画像・動画は土日にツーリングに行ったときに撮影してアップする予定。4月中くらいをめどに。

すべて改造後にCCTVレンズを付けたものになります。
  
動画

2007.4.4