ハイブリッド自動車(プリウス)のLEDヘッドライトを流用してバイク用LEDヘッドライトを作る

2014/2/23



通勤用のセカンドバイク(GN125-2F)の純正ヘッドライトがH4BSで入手製が悪く暗いので、1年前に秋月電子の汎用10W白色LEDでヘッドライトを作った
しかしロービームのカットラインが不明瞭で光軸を水平にすると対向車にグレア(迷惑光)が当たるため、下向きで10m先までしか照らせてなかった。
プリウスのLEDヘッドライトユニットを入手し改造して作り直した。


ロービーム

プリウスのLEDヘッドライトユニットの破損中古をヤフオクで3000円で落札。

事故車から外したようでカバー(筐体)が割れてたが、中身しか使わないので問題ない。駆動コンピュータ(昇圧ドライブユニット)が付いてないが、使わないので問題ない。
カバーをハンドソーとマイナスドライバを使って分解(破壊)し、中のヒートシンクベースを取り出した。

素性の知れないLEDなので、とりあえず15VのACアダプタと10Ωのセメント抵抗に繋いで電流を測定・・・300mA流れたので、順方向電圧(Vf)は12V。
電流はどれだけ流せばいいか。10WのLEDと仮定して(あてずっぽ)833mA。長寿命化のため600mAに抑えたく、電源電圧13.8Vで3Ωの電流制限抵抗をかませる。(1Ωのセメント抵抗3つ直列)
これを2つ並列なので1.2A、消費電力16.56W。


ヒートシンク背後のネジを外してプロジェクターを分離し、留め金具を外してLEDも取り外す。(シリコングリスで熱伝導させるようになっている)
元のユニットにはプロジェクター大・プロジェクター小・リフレクター(パラボラ)の3つのLEDが直列で付いてるが、カットラインのはっきりしたプロジェクター大小のみ並列で使う。(順方向電圧が1つ10Vくらいあるようで2つ直列だとバイクの14Vでは点灯しないので並列で)
リフレクター用のLEDは予備にとっておく。


ヒートシンクはそのままだと大きすぎバイクのヘッドライトケースに入らないので、ディスクグラインダーでカットし、ちょうどいい大きさに削る。
元に比べるとだいぶ表面積が小さくなるので、自然空冷だけじゃなくファンも付ける。(これでも市販されてるH4型のLEDバルブよりは放熱面積は大きい)


ヘッドライトケースの中に入れて現物合わせで位置決めし、ヒートシンクの裏面が水平が出てると信じて、鏡の上に2つを置いてエポキシパテで固定。


LED裏面にシリコングリスを薄く塗り取付け、プロジェクターユニットも元に戻す。
プロジェクターユニット内部にチリが入り込まないように、大きな開口部をアルミテープで覆い、小さな隙間はシリコンゴムシートを挟んで塞ぐ。


放熱のため、25mm角の12Vファンを2個直列(定格だと回転が早すぎる)で付けた。


ハイビーム


汎用の3W白色ハイパワーLEDを4つ+同形状の6Wハイパワー白色LED(たぶん中で3Wが2つ直列になってる)を2つ、計6つ。それぞれに半減角5度の狭角リフレクター(タオバオで10個で約500円)を付け、プロジェクター形式で照らす。
ヒートシンクをカットして中央正面向き3W×2個+横少し上むき3W+6W×左右にする。
LED底面、ベース基板底面、ヒートシンク上面を800+1500番ヤスリで平面出ししてシリコンボンドで接着。
実際に点灯させてヒートシンクの角度決めしてエポキシパテ+瞬着で固定。

3個直列の2並列になるが、うち6Wは内部で3Wが2直列されているので、3Wを4個直列接続してることになる。
定格のVfは3Wが3.3V・6Wが6〜7Vとなっているが、実際に2Ωをつないで15Vの電圧をかけると610mA流れたので、Vf13.6V。(1セルあたり3.4V)
定格電流700mAだが少し落として600mA流す。電源電圧13.8Vなので電流制限抵抗0.333Ω。(1Ωのセメント抵抗3個並列)→14Vで0.333Ωをつなぐとなぜか900mAほど流れたので、テスタで電流量を測りながら500mAとなる2Ω(1Ω抵抗2個直列)とした。
13.8Vの1Aなので消費電力13.8W。

これだけだと遠方の照射力が足りないので、3W白LED×4のスポットライトユニットを追加。(aliexpressで4つセット4000円)
 
オリジナルのヒートシンクはLED基板との接触面積が少なく熱伝導に不安があるので、分解してヤスリで平面出しして別のヒートシンクとシリコンボンドで接着。
これは12〜24V用ドライバユニット(定電流回路)が付いてて15Vかけたら610mA流れたので9.15W。13.8+9.15=23W。


放熱のため25mm角の5Vファンを3個直列(横長の左右とスポットライト)に付けた。


ポジション&換気ファン


フォグも兼ねて3W黄色LEDを3つ直列で。小型ヒートシンクに直接シリコンボンドではりつけ、半減角10度と60度のリフレクターを付けて、手前10mほどを照らすように下向きに付ける。
電流制限抵抗のかわりに5V 0.22AのDCファン2つと直列につなぐ。(もともとはヘッドライトケース内換気用の5Vファンが13.8Vだと3つになるが2つしか必要なく、でも抵抗はさむのは電力がもったいない、LEDで順方向電圧を落とせばいいんじゃね?というのが発端。ただしファンが2つとも何かにひっかかって止まると電流だだ流れになるのでLEDが壊れる)
電源電圧13.8VからLED3つで6.8V電圧降下するのでファンに7V(1つあたり3.5V)かかり154mAで駆動することになる。当然LEDにも154mA流れて弱めに光る。ファンと合わせて消費電力2.1W。





汎用ヘッドライトユニットのリフレクターを外して組み込み。
ヘッドライトケースそのままだとプロジェクターが入りきらないので、後部を切り取って開放。
ハイローのヒートシンクをエポキシパテ+瞬着でライトケース内側に固定。


ヘッドライト前面のクリア板が柔らかく傷が付きやすそうなので、表面硬化アクリル板(アクリサンデーMR)2mm厚で作り直し、シリコンボンドで接着。
ノーマルの透明プラに比べて非常に透明度が高いので光量損失がほぼなくなり、乱反射も減る。

アルミ板で開口部の覆いを作り、取り外しできるようネジで固定。


ライトケース内部を強制的に換気するため、ポジションランプと直列接続の5cmファン2つをケース上部に設置して吸気させる。
背面下部から吸気し、ロービームLEDヒートシンクの裏側を通ってファンに吸われ、ファンの風がハイビームLEDヒートシンクに当たり、 ケース内下部にあるポジションLEDヒートシンクや電流制限抵抗のそばを通って下部排気口から排気されるようなエアフローとした。


完成

クラシカルなGN125には似合わない異型ヘッドライト。1つのケースに収めたので横から見たらわからないが正面から見ると違和感あるな。

ポジション
 
5mほど先を照らす。
ロービーム

カットラインがくっきりしてるので、ギリギリまで光軸を上げられるようになった。
ハイビーム

強力な照射力。遠くまで照らすので、全く明かりのない山道でも不安なくとばせるようになった。

前回、前々回作成のLEDライトと同条件撮影で比較。






メモ
 ハロゲン
長所・安い。軽量コンパクト。
短所・エネルギー効率(消費電力あたりの可視光量)が悪い。寿命になると突然切れる。
 HID
長所・エネルギー効率がもっとも良い。絶対光量が大きい。
短所・昇圧ユニットやハイロー切替コイル等が必要でかさばる。点灯直後バルブが暖まるまで大電流を食う。(=バッテリーが弱かったりハーネスが細いバイクだと大電流で電圧低下し点灯しないことがある。)点灯から光量が安定するまで5秒ほどかかる。(=こまめな点灯/消灯には向かない。)ON/OFFを頻繁に行うと寿命低下。
→ロングツーリングに使う大型バイク向き
 LED
長所・点灯した瞬間から最大光量。ON/OFFによる寿命低下が無い。突入電流が無い。放熱をしっかりやれば長寿命。エネルギー効率はハロゲンより高くHIDより低い。
短所・1つのセルあたりの絶対光量が少ない(3Wを超えるハイパワーLEDは1つのチップに複数セルが入ってる)。放熱不十分で高熱になると極端に寿命が短くなる。放熱のために大きなヒートシンクやファンが必要で重くかさばる。ヒートシンク等含めたユニット全体では比較的高価。
→短距離を毎日乗る足バイク向き