バイク用の高解像度PCナビを作る その2

2013/4/10



ツーリングで知らない土地の細い道を探索するのが好き。ポータブルナビやカーナビ搭載の地図だと情報量が足りない。
ツーリングしながら国土地理院のウォッちず(基盤地図情報。地形や田舎の建物や登山道・遊歩道レベルまで表示)をカシミール3Dで閲覧したい。
幹線道路を走ってるときも、スーパーマップルデジタル(SMD)だと町の様子まで分かる。
そこで、小型軽量のwindowsタブレットパソコンにカシミール3DとSMDをインストールし、USBのGPSレシーバーを付けて、バイク用パソコンナビを作った。
以前に防水ではないwindows7タブレットPCを使ってバイク用パソコンナビを作ったが(PCナビその1)、防水のwindows8タブレットPCが発売されたので作り直した。


ハード

インストールするソフト


動作の軽快化・安定化のため、プリインストールされているいらないアプリは削除する。基本的にネット接続はしないので、ウイルス対策ソフト等は削除。その他の不要なwindowsサービスも停止。


一つのGPSレシーバーで2つの地図ソフトを動かしたいが、一つの仮想シリアルポートには一つのアプリしか接続できない。なのでGPSからの信号を複数の仮想シリアルポートに分配しないといけない。
これまでwindowsXPやwindows7ではシェアウェアの「仮想分配器つき通信ポートx8」を使っていた。今回も使おうとしたが、ドライバのデジタル署名が無いためインストールできない。テストモードにしてデジタル署名を無効化しようとしたら、Arrows tabのBIOSはセキュアブートをオフにできない(状態の表示だけで設定項目がない)ので不可能。(どちらにしろwin8はブート方法変更によりready driver plusが使えなくなってるので、起動するたび手作業でデジタル署名無効モードを指定いないといけず現実的ではないが)
なら他のソフトや方法で。

ソフトを使わずに、USBケーブルのPC側コネクタを2又に分岐させて同じPCの2つのポートに刺したらどうだろう?デバイスIDが同じでもポートが違うから2つの機器として認識しないかな?パソコンからデバイスへのデータ送信は無く、デバイスから一方的に受信するだけだから大丈夫じゃないかな?
と思い検索したが同じ事例はなく、そんなケーブルも売ってない(電源供給用ならあるがデータ用のは無い)ので、自作してやってみた。
ケーブルを途中で切断してフルピッチのオスコネクタを2つハンダ付け。

デバイスマネージャーを開きながら1つ刺して・・・普通に認識。2つめ刺して・・・消えた。
2つ認識されるどころか、全く認識されなくなってしまった。ダメか・・・(これが可能ならそういうケーブルも売ってるわな)

ならソフトで。
curioustech xport、GpsGate Clientというフリーソフト。受信と分配機能は動くが、出口側の仮想シリアルポートが作れない。
他にはシェアウェアしかない。
もうセキュアブートを殺せるようになるまで待ってwindows7をインストールするか、M241を2つ付けるしかないか。
と悩んでたが、Eltima Serial Splitter 5.0の試用版(14日間限定)を入れたら動いた。99ドル・・・高い。
試用期間中はソフトを起動すると確認画面が出てうっとおしいが、一度ポートの設定をしたらあとはソフトを起動しなくてもドライバレベルで分配機能が働く。
やらないけど悪巧みとして・・・14日間の試用期間はwindowsの時刻設定を遡ればいつまでも有効になる。(ただし起動・終了したときの日付を記録してるみたいで、日付が若返ると警告が出て動かない。)
windowsはコマンドで日付や時間を指定して設定できるので、テキストファイルに「date 2013-04-01」「time 00:00:01.0」と書いて拡張子を.batにして保存、スタートアップフォルダに入れると起動するたびに4/1の0時0分1秒になる。
これで24時間以上連続稼動させなければ日付が変わらないので警告も出ない。・・・やらないけど。




プラスチック製の汎用タブレットステー(レバー1本で簡単にタブレットを取り外せる)と純正クレードルを組み合わせる。
クレードルは防水ではないので、端子部分から水が入らないように上下逆、クレードルを上側に付けることにする。(PCの画面は上下反転させる)
クレードルは奥行きがジャマになるので、分解して端子部分とUSBハブ部分を分離。USBハブ部分を90度折り曲げて下向きに付ける。
  
汎用のタブレット用ステーの下側の爪を削って、分解したクレードルをエポキシボンドで接着。

その後ろ側にUSBハブ部分を接着固定、プラ板を曲げて作ったカバーを取り付け。シリコンボンドで継ぎ目をコーキング。
雨しぶきがかからないようにアルミ板とプラ板でひさしを付けた。

汎用ステーにもともと付いてる車載用固定具は一箇所のみの固定で、バイクの振動ですぐ壊れそうなので使わない。
1.5mm厚アルミ板を曲げて汎用ステーの支柱裏側全体を覆って固定する形に。
 
L字型のアルミアングル材と4本のボルト&エポキシボンドでガッチリ固定。

これと汎用ステーをヤスリとドリルで荒らし、エポキシボンドで固定。これならまず壊れないだろう。

 
バイクのダッシュボードからM4ボルトを飛び出させ、ここにステーをはめ込んで、上から蝶ネジで固定する。
蝶ネジ2本を外せば簡単にステーを取り外せる。
ツーリング中にバイクを離れるときはステー付けっぱなしPCのみ取り外してリヤボックスに入れ鍵をかけておき、ツーリングが終わればステーごと取り外して家の中で保管。

クレードルのUSB端子4つにM-241・テンキー・延長ケーブル・キャップを刺す。USBコネクタそのままだと邪魔になるので、一度バラして横向けにケーブルをつけてシリコンボンドで覆ってコンパクト化。刺し口にシリコンボンドをぬったくって防水処理。
 
延長のケーブルの先はキャップをかぶせてシリコンボンドで防水化(ケーブル側にグリスを塗ってからボンドをつけたので固着せず取り外せる)。メモリカードリーダーやキーボードや携帯電話をモデムとして刺して使うことがあるかもしれないので使いやすいように。
DCジャックを刺したところと本体の合わせ目部分もシリコンボンドで防水処理。


電源ケーブルとテンキーへのUSBケーブルは付け外しができるように、途中で切断して耐水コネクタを付けた。
電源2本、USB5本で計7端子が必要だが7端子コネクタは無いので、4端子と3端子のものを合体させた。
主電源スイッチとしてトグルスイッチをリヤカウル横に付けた。


M241は非防水なので、ブリスターパッケージの透明板と双眼鏡のキャップとペットボトルのキャップとシリコンゴムで防水ケースを自作。
上空の見通しがよくパソコン(ノイズ源)から離れた場所・・バックミラーのステーに取り外し可能なタイラップで固定。


リモコンテンキーをブラインドで操作できるように、主要なキー6つ (地図の縮小・拡大、地図の切替え、GPS測定の開始・中止、モニターバックライトOFF)にシリコンゴムを切り抜いて作った出っ張りを接着した。
テンキーはシリコン製で接着剤も両面テープも効かないので、アルミ板でケースを作ってそれをカウルに貼り付けた。


グローブをはめた手でタッチパネルを操作できるように、タブレットの横にカールコードでスタイラスペンを付けた。


完成

目の位置から撮影。前回作よりも小さくなり視界が広くなった。