ポケットムービーHDV(POMOHDV2)レビュー&Cマウント化改造
2009/8/18
小型軽量かつ安価で1920×1080のフルHD動画が撮れるH.264ビデオカメラ、ポケットムービーHDVを買って玉抜きして直焦点化した。マウントはいつものごとくCSマウント。
ヤフオクにて中国から直送のものを新品7000円と13000円で落札。サンコーが輸入販売してるものは13000〜16000円ほどで売られている。
サンコーは「POMOHDV2」の名前で売っているが、JPEG写真のexifでは「DeSheng AMHD501」との機種名。
安くて改造しやすい構造なので、2つ買った。中国から直送されてきた箱には左は「HDDV-MF504」右は「DOD F200HD」との型番が書かれていた。
2つは起動・終了画面が異なるだけであとは全く同じ。付属品はF200HDにACアダプタがついてて説明書が細かいだけで、あとは全く同じ。
たぶん他にも色んなメーカーがいろんな名前を付けて売ってるんだろう。
参考
ポケットムービーの中身をフィルムカメラの中に組み込み
DDV-1080HDをCマウントに改造
Cマウントレンズ24本レビュー&実写サンプル
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レビュー
似たスペックのDDV-1080HD(Cマウント化改造済み)との外観比較。
左POMO、右DDV。POMOは縦横とも一回り小さく厚みも薄い。
右のDDVは液晶モニターが大きく見やすくてしかもバリアングルなのに対して、左のPOMOは小さいものが背面に固定されている。
接写するときにはDDVのほうがずっと使いやすい。
電池は900mAh。ノキアの携帯電話のバッテリーと互換品らしい。デジカメによく使われているNP-60と縦はほとんど同じ。横幅と厚みは少し小さい。
たくさん持ってるNP-60&NP-120が使えるように改造した。(後述)
左・HDMI端子でテレビに接続してファイルを再生してるところ。右・設定画面を呼び出し。
このサイズで本体にHDMI端子があるのは素晴らしい。ハイビジョンテレビにつなげば本体だけで大画面で動画が楽しめる。HDMIケーブルも付属している。
ちゃんとテレビのスピーカーから音も出る。メニューを出しての各種設定も可能。接続中は本体の液晶は消える。ようするに本体の液晶がテレビに変わっただけの状態になる。
テレビをモニターにして撮影もできる。大画面にリアルタイムで1920×1080 30fpsのフルハイビジョンが映し出され、エンコードによる劣化が発生してないのでとても綺麗な画面になる。
10mくらいのHDMIケーブルや、40mまで延ばせるHDMI延長アダプタを使えば、安価で小型なフルHD監視カメラにもなる。
機能や使い勝手・・・基本的にはDDV-1080HDとほとんど同じ。
- 撮影モード。
DDVでは最高解像度が1440×1080なのに対して、POMOは1920×1080(30p・約1.1MB/s)が追加されている。
他には1440×1080(30p・約0.8MB/s)、1280×720(30p・約0.6MB/s)、 848×480(60p・約0.5MB/s)がある。
- 各モードの画質。
動画・静止画ともDDV-1080HDと同じような画質なので実写サンプルはあっちを参照してほしい。
1920×1080は精細感があり、画面を激しく動かしてもノイズがあまり出ず良い。
1440×1080は動きが少ない画面では精細感があるが、激しく動く画面ではDDV1080HDよりもノイズが目立ち、あまり良くない。
1280×720はDDVと同じく精細感がなく良くない。
848×480は60fpsなので滑らかに動くが、いかんせん解像度が低すぎる。
写真は5Mと8Mから選べる。画質はなかなか良い。
- 画角はDDVと同じく、静止画は1/2.5型CMOSの全面が使われ最も広い。720Pは横幅は静止画と同じで上下はカットされ、動画で一番画角が広い。1080Pは720Pに比べて縦横とも狭くなっている。480Pは1080Pと同じ。
DDVと同じく1080Pでは500万画素CMOSの中央部が等倍で使われ、720Pでは全面から読み出して縮小処理(この処理がよくないせいで精細感がないんだろう)しているようだ。
- DDVに比べて明らかにコンニャク現象(動体歪み)が目立つ。CMOSのグレードが低いのかもしれない。
- DDVでは動画撮影ボタンと静止画撮影ボタンが独立して別にありボタン一発で両方が撮れたが、POMOでは撮影ボタンは一つしかなく、モードボタンで動画モードと静止画モードを切り替えてから撮影するようになっている。
動画と写真を交互に撮る場合には一動作増えて手間がかかる。もっともVado HDなどこの手の安価なシリコンムービーでは動画しか撮れず写真が撮れないものも多いので写真モードがあるだけマシか。電源を入れてすぐは動画モードになっている。
- ISO感度は最低100〜最高400。シャッタースピードは最低1/2〜最高1/1000。電子シャッターのみ。DDVにあったナイトモード(=スローシャッターモード)は無い。
- ホワイトバランスはオートと太陽・曇り・蛍光灯・白熱灯が選べる。オートはおおむね正確。
- 撮影ファイルが4GBを超えると自動で分割してシームレスに連続撮影する。
- 付属ソフトがまったく無い。(付属CDそのものが無い。)DDVには編集ソフトが付いてたんだが・・安価にするために省いてるんだろう。
- 電池を抜くと内蔵時計がリセットされてしまう。電池を入れ替えるたびに月日時刻をセットしろと?
- レンズ部分はヒンジで20度ほどの仰角がとれるようになっている。ちょっと手を加えれば仰角30度、俯角も10度程度とれるようになる。(改造内容は後述)
- DDVに比べて録音レベルがだいぶ小さい。車載時には音割れがなく良いが、
静かな室内で撮る時には困る。
- DDVで撮影した動画はPOMOでも再生できる。POMOで撮影した動画はどのモードでもDDVでは再生できなかった。
- DDVでは独立した電子ズームボタンがあったが、POMOでは十字キーの上下で電子ズームを操作する。ズーム速度は早くて使いやすい。左に倒すとレンズの左右にある4つの高輝度白色LEDの点灯モード(点灯禁止、オート、常時点灯)の切り替え、右に倒すとプレビューモード。
- 縦型フリップ形状は手で持つには使いづらい。胸ポケットに入れたり腰ベルトにクリップで付けて使う前提なんだろうけど。腰ベルト装着用の後付クリップが付属している。
撮影ボタンが背面にあるのは使いづらいので、上面にも追加した(改造内容は後述)。
- USBケーブルを刺すと電池の充電が開始される。PCカメラとしては使えないみたい?
分解、改造
外に見えるネジを全部外せば簡単に分解できる。
内部部品は、小さなメイン基板1枚と、フラットケーブルでつながったCMOS基板と液晶モニターのみ。とても単純な構造。
マイクは本体基板上に直付けされ、本体内部にあり外側に面していない。(ボディにはマイク穴が開いてない!よくこれで音が録れるな・・)
エンコードチップはAmbarella A2S-A1-RH。DDV-1080HDはA2-A1-RHなので、「S」が増えている。横1920ピクセルモードが追加されたスペシャルのS?
写真中央・エンコードチップは長時間撮影してると発熱する。DDVではチップがボディ殻に面していたが、POMOでは固定モニターの裏側に位置しており、ヒートシンクを取り付けることができない。少しでも放熱効率を上げるために、放熱フィルム(クールスタッフ)を貼った。
写真右下・撮影ボタン根元にケーブルを半田付けして、本体上面にタクトスイッチをつけて撮影ボタンを増設した。
写真左・液晶モニターのバックライトをON/OFFできるように、バックライトの電源ライン途中にケーブルを割り込ませ、本体上面にスライドスイッチを付けた。
・もとのレンズを取り外し、C→CSマウント変換リングをエポキシパテでつけてCCTVレンズ交換式にした。赤外線カットフィルタはレンズの後ろから外してシリコンボンドで接着。CMOSの左右にある照明用LEDは邪魔なので外した。
・たくさん持ってるNP60やNP120が使えるように、電池ボックスの端子を付け替えて横幅を広げた。元のバッテリーより厚いので蓋は閉められなくなった。
・もとのマイクカプセルを撤去し、ケーブルをハンダ付けして音を拾いやすい位置(CMOSの横)にWM-62PCをつけた。
・CMOSとボディの回転接続部にあるストッパーを削り落として可動範囲を広げた。
完成
休日1日でできた。構造が単純だし改造も慣れたので簡単だった。
写真はバッテリーはNP120をつけている状態。だいぶ出っ張るが、元のバッテリーの倍の容量があるので長持ち。
ついてるレンズは2.8mm F2。本体が小型なので薄型のレンズが似合う。
仰角と俯角はこれくらい。
元のレンズは画角が狭くて暗いので、レンズ交換式にして明るい広角レンズで撮れるようになって使いやすくなった。
写真も動画も画質はDDV-1080HDとほぼ同じなので、色んなレンズをつけての実写画像はそっちを見てほしい。
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