テレコンバージョンレンズで双眼鏡を造る


宮古島に引っ越してきたら、ベランダから天の川が見える。
「どうせなら離島の地理を生かした趣味をもとう」ということで星見にはまった。
倍率が低く視野の広い双眼鏡としてガリレオ式の笠井トレーディング・ワイドビノがあるが、既に生産中止、笠井に在庫もなく、ヤフオクにも出物がない。
そこでコンデジ用のテレコン二つをくっつけて、ワイドビノもどきを造った。



最初は使うテレコンとして安さからケンコーのテレコンを考えたが、サンプル画像を見ると視野周辺で像が流れ色収差も出てたのでやめ。
キャノンやニコン、オリンパスのテレコンのサンプルを見ると、どれも周辺まで収差のない良画質。
視野を広くとるために、倍率が低く、対物レンズが大きく、対物レンズと接眼レンズの距離が短いものを選ぶ。
倍率が2倍とちょうど良く、入手性に優れ、接眼側がすぼまっていて目のくぼみに入れられ、対物レンズが目幅(私は約6.5cm)以内の物ということで、ニコンのTC-E2を使うことにした。ヤフオクでひとつ約4000円で落札。(新品だと1万円くらい)
2×60、見掛け視野75°以上の超広角・超低倍率双眼鏡になった。



固定方法はテレコン二つを平面(ガラス)の上においた状態でパテで固定しただけ。これでちゃんと光軸が出てる。
パテはダイソーの金属用エポキシパテ。 水でぬらした指で表面を均して、油性マジックで塗装(しょぼ・・)
鏡筒にはダイソーの靴底用滑り止めゴムを貼り付けて持ちやすくしている。



レンズは全ての面に上質のマルチコーティングが施されている。ただ左右で反射の色が異なるのが気になる・・
ロットの違いか、劣化によるものか・・・?



手持ちの双眼鏡と大きさ比較。
左からビクセン開発のパノラマ7000、ケンコーのアバンター10x50、自作ワイドビノ、ビクセンのVB11x80、笠井のスーパービュー4x22、製作途中のRFT。


● 実際に使ってみて・・・

視界の広さから流星群の観察に最適で、06/10/21、22のオリオン流星群の観察では大活躍してくれた。

もともとカメラ用のレンズだから、周辺まで点像。
プリズムのない、3郡4枚のレンズだけなんですっごくクリアな像。 (長時間覗いてると双眼鏡ごしだってことを忘れる・・)
単位面積あたりの星の量は倍以上になってると思う。
さらに体験したことのない超広角、オリオン座と冬の大三角形が一度に視野にすっぽり入る。

ただし、ピント調整ができないので目の悪い人だと無限遠に焦点が合わないかも。
近くは5mから目のピント調整機能で焦点が合うが、無限遠は1.0の左目でギリギリ、0.5の右目では苦労しないと合わない。 (気をぬくとぼやける・・)
2つのワイコンはパテで固定したので目幅調整もできない。完全に自分専用。
アイレリーフが短く、まつげがくっつくくらい目を接眼レンズに近づけないと75°の視野は味わえない。
おまけに質の良いテレコンを選んだので、2つで9000円とワイドビノと大してコストが変わらなかった。

きわめて癖の強い双眼鏡になったが、いまのところ稼働率は一番高い。
なんせ軽くて小さく実視野が極端に広いので、風呂上りや寝る前におきがるに星を眺めるには最適。

一番の欠点?これを覗いてる人を前から見ると、60mmレンズいっぱいに目が拡大されて写り目玉のおばけのような見た目になる。
これを覗きながら鏡を見たときは、自分の姿なのに「化け物!こわっ!きもちわるぅ!」と思ってしまった。
夜にこの姿を見られたら見た人は腰ぬかすだろうな・・・


● 製作途中・・・



ナシカのナイトビジョンとゆう7x50の双眼鏡が安かったので興味本位で買ってみたら、予想外に質が良い。対物レンズはちゃんとしたマルチコートが施されてる。
しかし見かけ視野が狭いのが我慢できず、結局ケンコーのアバンターを買って用済みになった。
どうせ売っても二束三文にしかならんので、対物レンズ鏡筒と50mm塩ビパイプを組み合わせて、2インチアイピースが使える双眼望遠鏡を造っているところ。
内面には全ての面に植毛紙を張り込み、コンパスカッターで植毛紙を張った遮光環をいくつもつけ、とんでもなくコントラストの高い双眼鏡に・・なる予定。
星を見るにはプリズムは像を悪化させるだけ、いらない!というのが製作動機。アイピースがひとつしかないのでもう一つが届いたら完成させる予定。