テレコンでワイドビノを作るA

   

以前にニコンのデジカメ用テレコンバーターTC-E2で双眼鏡を作ったが、大きく重く旅行には もってけそうにもないので、もっと小さく軽いテレコンで作ることにした。

使ったテレコンはケンコーのCD-20T。ケンコーアウトレットで一つ2000円。
3群3枚レンズ。(TC-E2は対物レンズがアクロマートなので3群4枚。)
反射像は薄い青や茶色で、レンズ全面にマルチコート、モノ(マゼンタ) コートがされているようだ。左右で反射色が異なるのはロットの違いか?ま あアウトレット品だからこんなもんか。ボディは1.5mm厚のアルミ製でそこ そこ軽い。

片目にあてて遠くの鉄塔を見ると倍率は約1.8倍。見掛け視野は約67°でTC-E2より少し狭い。全体的に歪曲はなく中心3割までは点像だが、そこから徐々に色収差がではじめ、最周辺部の1割ではギューッと 外周に向けて像が引き延ばされる。(でも中心部を見てる限りは 気にならない。)
接眼レンズの直径は2cmあり、TC-E2よりも大きくて覗きやすい。


無限遠にピントが合わなかったので、鏡筒を切り詰めてピント調整する。
接眼レンズと中間レンズの間をノコギリで切ったあと、覗いて確かめながら 星が点像になるまでヤスリでゴシゴシ削って詰めていき(削りすぎると大変なので 慎重に)、瞬着で固定。視力1.5の左で1.5mm、0.5の右で2mmほど切り詰 めた。
目から力を抜いた状態で無限遠、目のピント調節で頑張れば10mくら いまで合うようになった。


内部の黒塗装が薄く一部銀色が見えてたので(まあアウトレットだか ら・・)、レンズを外して艶消し塗装してやった。


目幅64mmでは左右の鏡筒の間が空くので、100円ショップの食器(肉厚ABS 製)からプラ板を2枚切り出し、現物あわせで整形してステーにする。自分 専用ってことで目幅は固定。


光軸を出すため平面(ガラス)に伏せて置いた状態でステーを瞬着で固定。


念のため、ピント合わせ加工した部分とステーの根本部分をエポキシパテで 補強。ストラップをつけるための環を付けた。

 
塗装し、レンズ前に植毛紙を張り、1mm厚のゴム板で目あてゴムを作り、完成。重量は200gぴったしになった。
メガネのように鼻に当たる部分にクッションをつけたので、何も考えずに目にあてれば最適なアイポントになる。
片手の親指と人差し指でつまむようにして持って使う。

見かけ視野は約67°。オリオン座全体とシリウスがギリギリ一度に見える。
視力を補正する役目もあるので、単位面積あたり肉眼の倍以上に星が見えるようになっ た。
旅で、昼間は8x18、夜はこれの2台体制になりそうだ。

休日の夜に宮古島内をぶらぶらツーリングするときにポケットに入れてもってってるんですが、 これで天の川・・特にオリオン座から昴のあたりをざーっと流すと、視野いっぱいに微光星がまたたいて、もうもう官能的とすら言えるすばらしさです。
歪曲はほとんどないし、周辺7割くらいまでは像を結んでる(3割目くらいから色収差が出るけど星なら気にならない)ので見えもいい。
とにかく視野が明るくて星がいっぱい見えます。
欠点としては、見かけ視野が67°と広くないこと(92°のパノラマ7000改を見慣れると75°以上ないと窮屈・・)、視野を確保しようとして接眼レンズに目をくっつけるとすぐに曇ってしまうこと。
ガリレオ式は対物レンズの大きさが視野の広さに比例するので、小型化すれば狭くなるし広くすると大きく重くなるしで難しいところ。

1.5倍テレコンで作った双眼鏡


使ったテレコンはケンコーKOT15。ケンコーアウトレットで1890円。
KOT15は2群2枚レンズ、反射像はすべて茶色に映っており全面マゼンタ コートのようだ。ボディはプラ製でとても軽く薄い。
公称倍率1.5倍だが、片目だけにこれを当てて遠くの鉄塔を見ると、いいと こ1.2倍程度。ほとんど裸眼と変わらない。
見掛け視野は110°くらいあり超広角。倍率が低いこともあって像も8割目く らいまで星は点像。
無限遠ではピントが合わなかったので、接眼レンズを一 度取り外し、レンズストッパーを削り落として前にずらす。1.5の左目側は 1mmほど、0.5の左目は2mmほど前に移動させたらカッチリ結像した。ボディ がプラ製なので加工はとても容易だった。
倍率は低いものの薄く軽く視野が広く、ちょっと拡大できるメガネ代わりに なりそうだと思っていたのだが・・・


最後の塗装にてボディの隙間から対物レンズ・接眼レンズ間に塗料が入り込 み、レンズを外して掃除しようとしたがどうしても外れず無理にやって破壊してしまった。
もういちど同じテレコンを注文して作り直そうかとも思ったが、倍率が物足 りなかったので上のCD-20Tに変更した。

手軽に使えて星見に最適なもんで、4つもつくっちゃった。
材料のテレコンは上からKOT15(630円×2、実測1.2倍、見かけ視野100度以上!)、MD15T(798円×2、実測1.5倍、見掛け視野90度程度)、CD-20T(1029円×2、実測2倍、見掛視野65度程度)、LD-20T(2940円×2、実測2倍、見掛視野80度程度)。いずれもケンコー光学ショップのアウトレットコーナーで購入。
近場のツーリングではLD-20T、旅先にはCD-20Tを持ってく事が多い。KOT15とMD15Tは視野の広さはすばらしく気持ちいいのだが、倍率が低くて微光星があんまし見えないんだよなー・・・