ツーリング8日目


photo 142

カプセルホテルは良い寝心地だった。
夜中に寒くて一度目が覚めたので、下に敷いてたシュラフの中に入ったら
ちょうどよく快適に寝られた。
昨日はちょっと薄気味悪いとも思ったけど、
一晩すごしたらそんな気持ちは完全になくなっていた。

朝に全部屋を探索してみたら、設備や備品がえらく綺麗に残ってるので、
ほとんど利用されないか全く利用されずに廃墟になってしまったんじゃなかろうか?

今日は土曜日なのでスーパー林道はいっぱい走ってるだろうな・・
俺はひとけがないのが好きなので昨日のうちに走っとけばよかったな。
photo 143


5時半に走り出し、旭丸峠の手前まで来たら展望台があった。眺めがいい。
ここで寝たら最高の朝焼けが見られたかもしれん・・ちょっと後悔した。

photo 145
photo 144
  剣山スーパー林道に入り、順調に走ってファガスの森。
   メッセージカードを買って少しはお金を落とそうと思ってたけど、朝早いのでまだ閉まってる。
    持ってたマジックで直接書いた。(写真左下)
     9年前はここで凍結してて引き返したので、ここから先は初走行ゾーン。
photo 146
photo 147
  徳島のヘソ。眺めが良くて爽快。
   ヘルメットとブーツを脱いで、草の斜面にねっころがった。気持ちいい。
    予想に反して車もバイクも一台も通らず静か。目をつぶってうとうと・・

  「ブーン」
   5分くらいしたらハチが集まってきてバイクの周りを飛び回りはじめた。
    早く離脱しようと、あわててヘルメットをかぶったら ズキッ
  「痛え!!!」
   ヘルメットの中、おでこの所でハチが潰れてた。頭に潰される寸前に反撃してきたみたい。
    ハチに刺されたのは生まれて初めて。アナフィラキシーショックで死ななくてよかった。
photo 148
photo 149
  バンビの親子に遭遇。コーナーを抜けたら道路の真ん中にいた。
   親鹿はあわてて斜面を登って逃げてったが、ついてこうとした小鹿はうまく登れず
    濡れた足場を滑り落ち、登っては滑り落ち・・・
     しばらく眺めてたが、あまりの焦りっぷりに3回目くらいで気の毒になって去った。
photo 150


なかなか眺めがいい・・けど昨日の南山林道のインパクトが強すぎて、
長いという印象しか残らなかったスーパー林道でした。

朝早かったせいか、山の家 奥槍戸までの間、他の車に一度も会わなかった。
バイクはスーパー林道の出口まで一度も出会わなかった。寂しい。

photo 151

国道195号線を西に走り、北にある国道439号線に抜けるため韮生川橋を渡って猪佐古川沿いに北上。
楮左古小檜曽林道というのかな?

初めて走る道なので、本当にこの先R439に抜けられるのかわからん。
鬱蒼とした森の中を走ってて猟銃をもった狩人のおっちゃんがいたので聞いたら
「行けるけど、荒れてるよ」って。

さらに登っていったら、クレーンが転落したバイクを引き上げてた。
手前にいるのがライダーさん。幸いケガはなかったみたい。「写真撮っていいですか?」と聞いて撮った。
この先の状況を聞くと「峠を越えたらガレてるけど、そのバイクなら大丈夫ですよ」。

俺は生活物資一式をバイクに積んでるので、落ちたら死ぬ。
気をつけないと、と気を引き締めた。
photo 152
photo 153
  峠の手前に広場と林業作業小屋があったのでバイクを止めて昼食。
   大栃の奥ものべふるさと市で買った田舎寿司。
    魚じゃなくて、タケノコとか山菜の握り寿司。初めて喰ったけど美味い。
photo 154


喰ってたら急に空に雲が広がって雨が降ってきた。
カッパ着るのは嫌なので、作業小屋の軒下に銀マットをしいて雨宿り。

1時間昼寝して起きたらすっかり晴れていた。
photo 155
photo 156
photo 157
  峠直前。
   あたりは草原で眺めがいい。

photo 158


うおー!峠を越えて下りになったとたんに道が荒れてるー!
さっきまでのフラットダートが嘘のように、路面一面に握りこぶし大の岩がゴロゴロ。

まともに走ってたらコケる。
後ろに箱があるのでコケたくない(割れる可能性が高い)
photo 159

両足をついて2輪2足で下った。

R439に出るまでこの状態が続いたら死ねるなぁ、と思ったが
100mほどでちょいガレぎみのダートになった。
ふぅ、汗びっしょりになった。


沖縄に帰ってから地図で林道名を知り、ぐぐってみたら
岡山ライダーのブログ
「特に豊見峠手前の上りのガレ場は相当ガレており、初心者が一人で行くような場所では決してありません」
て書いてある・・

へたっぴ林道初心者が、オンロードタイヤGP-210を履いて20kgの箱を積んだバイクで、
よくコケずに下りきれたなと自分を褒めてやりたい。


photo 160


R439に出る直前の集落の中
いかにも「日本の田舎」という風な里山風景。
いいなー
photo 161
photo 162
  狭く曲がりくねった国道ヨサクを登ってきて、京柱峠。
   猪佐古小檜曽林道のガレ場でへとへとだったので、峠の茶屋の隣にある岩のベンチに寝転がり、雄大な景色を見ながら昼寝。
photo 163
昼寝してたら、テレビの収録が来た。
寝てる岩のすぐとなりでチェックシャツを着たふつうの兄ちゃんがしゃべってるのを
(俺が入らないようにあおりで)撮ってて、落ち着かないので起きて峠の景色をぼーと見ながら聞いてた。

「439(ヨサク)の魅力は?」 「沿線にある、四国らしい山あいに点々とある集落ですね。
我々から見れば不便な場所でどう生活しているのか・・・そして主が離れて廃屋になった家々・・・」
「来週は?」 「439の全走破でもしましょうか(笑」 とかそんな感じ。
四国の魅力紹介、もしくは廃屋、酷道・険道探訪みたいな番組かな?

撮り終わったあと、一番若いADらしい兄ちゃんが「お休みのところお騒がせしてすいません」
と笑顔で謝ってきた。いやぁ、面白い話を聞けましたよ。
その後に峠の茶屋に食事と収録の交渉もしてて、ADってのは大変だね。

一同が峠の茶屋でごはんを食べてる間に車の中をみたら、ダッシュボードに車内撮影用と
前面展望撮影用の2台の民生用ビデオカメラがセットしてあってさすがだと思った。



その後、NHKでこの収録の番組(たぶん)が放送された。

NHK高知製作 ドキュメント20min “酷道”439号(ヨサク)

NHKの番組サイトは過去1ヶ月の放送分しか保存されてないので(なんでや・・)
twitterの実況ツイートまとめページにリンク。

内容は国道439の紹介というよりも、439沿線に住む人々と兄ちゃんのふれあい・その暮らしの紹介がメインで、 残念ながら京柱峠での語りシーンは使われてなかった。
峠から撮った展望(右上の写真とほぼ同じ構図)だけは439紹介の背景映像として使われてた。


photo 164


四国にきた3番目の目的、奥祖谷観光周遊モノレールに夕方6時に来たら、
3時50分が最終ってことで乗れなかった。

明日朝一番でモノレールに乗りたいし、
フェリーでもらった虫(南京虫?)を落とすため風呂に入りたいし、
風邪気味で具合が悪いので、
モノレールのすぐ隣にある宿(奥祖谷いやしの温泉郷)に泊まることにした。
photo 165


受付で聞くと満室で、身障者用の特別広い部屋しか空いておらず、朝食付きで13,800円だって。
ちょっと(いや俺的にはかなり)高いが、これまでずっと野宿できたし、まあいいか。

服の虫を落としたいのに洗濯施設がないとゆーので、
風呂おけにメッシュパンツ・ジャケットから溜まった下着まで全部放り込んで、
ボディソープつけて足踏みして洗って、部屋に干した。
明日の朝までに乾くだろうか?
photo 166

気分が悪くて晩飯食う気もおきず、温泉に入って夜9時に寝たら夜中の2時に目が覚めた。
テラスに出たら星がきれいに見えた。


ホテルは空調が利いてて蚊に悩まされないし、ベットと布団が柔らかくて快適だけど・・・
これだけで1万いくら払うのは、やっぱりもったいないなぁ。
無人地帯の廃屋泊やテント泊なら、夜中に周りを気にせず音をたてられるからむしろ気楽だし。

なにより、寝るために用意された場所で寝るってのはわくわくどきどきが無い。
寝られて当たり前、快適で当たり前、記憶に残らない一晩。
せっかく旅をしてるのに、そんなのもったいないべ?
不安と孤独でドキドキしながら寝てこそ、記憶に残る旅の一晩だべ。
野宿はエンターテイメントだ。

↑TOP  1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 9日目 10日目 11日目 12日目 13日目 14日目 15日目

8日目の旅程

写真
 一覧



←7日目に戻る ↑TOPへ 9日目へ進む→