7日目 (2010/12/31 金)

 幌延駅6:21→宗谷本線→6:28下沼駅

  始発で出発。乗客は俺一人。
  下沼駅で下車。夜明け前の薄暮時、汽車が去るとしんと静まり返って何の音も聞こえない。
   
  駅近くに民家はない。少し離れたところに数軒点在するのみ。






駅前にある下沼湧水。
氷点下でも水が豊かに流れ出していた。

 下沼駅 7:17→7:51 糠南駅






糠南駅で下車。
宗谷本線で一番好きな駅。

この駅に来るのは何度目だろう。
ツーリングで3回、鉄道旅で1回、計4回・・・今回で5回目。
これまでの4回は春夏だったので、雪の糠南駅を見るのは初めて。


この小さな小さな駅の何がそんなに俺を惹きつけるのか。

周りが草原で明るく爽快な雰囲気、
カーブを描いたレールの途中にちょこんとへばりつくような小さな木造プラットホーム、
そして物置のような小さくこじんまりとした待合室。

あるサイトで糠南駅の光景を「愛らしい」「いじらしい」と評していたが、実に的確だと思う。

俺は好きな駅を「堪能した」と思えるのは、その駅で一晩寝て、その駅のイラストを描いたとき。
ここは既にどちらも果たしているが、北海道から離れるとまた
「糠南に行きたいなぁ」と思ってしまう。
何度来ても飽きない魅力がある。
  駅の周りをうろうろ・・ホームの上をうろうろ・・どこから見ても爽快な駅だ




待合室内。
小さくてもドアで締め切りができて、旅人を拒まず中に受け入れて風雨から守ってくれる。

 糠南駅→徒歩→問寒別駅

  糠南で1時間半をすごし、隣の駅に向かって歩き始めた。
   普通列車でも糠南を通過するものがあるので、次の停車を待ってたら夕方になってしまう。
    振り返って駅を見る。また来るね・・





途中、小さな峠越えがある。
  歩いて30分で問寒別駅に到着。除雪してる人、散歩してる人、車も走ってて生活を感じる。

 問寒別駅 10:06→11:36 抜海駅

  途中、幌延で運転停車。列車を降りて散策。手押しのロータリー除雪車は初めて見た。

  抜海駅で降りて、抜海集落に向けて歩く。 目的はもちろん・・・アレ。



歩いて40分、抜海港に着いた。
港で暮らす野生のゴマフアザラシがめあて。
休憩所と売店がある。

車が1台、家族連れの4人がいた。
入れ替わり立ち替わりで人が来たが、みんな車やバスで
駅から歩きで来てたのは俺だけだった。







あらら、休憩所は閉鎖されてる。年末年始は休館だって。
売店も当然閉まってた。
まあいいや。






おおおー!すごいすごい、いっぱいいる!
慌ててザックから三脚と望遠レンズを出して、岸壁にセット。
焦るな焦るな
  子供が一匹いてね、こっちを気にしてしょっちゅうこっち見ててね、こいつの仕草がすっげーかわいいの。
   わざと可愛くやってんのかこの野郎!ってくらいに。




アクビするとこを連続写真で。


口を手で押さえて、顔を上に向けて大アクビして、
そのまま脱力して目をつぶったままコテーンとすんの。
かっわいいでしょ!
こいつはもう萌えを意識してやってんな!

動画も撮ったけど、岸壁は最初から最後まで物凄い強風が吹き続けてて
レンズがブレブレでまともな動画が撮れなかった。







丸く切り抜いてポートレート風にしたりして。
写ってる奴みんな目をつぶってて、なんか微笑んでるみたい。
  泳いでる連中。シルエットでなんか寂しげ。





海鳥を追い回してるのがいた。
別に取って食おうってわけじゃなく、ただ遊びで追っかけてるようだったが
鳥のほうは本気で焦って全力で逃げてた。

日が沈んで暗くなってきた。そろそろ終わるか。

港に12:20に着いてから日没までの4時間半、ずーっと岸壁でアザラシ撮ってた。
暗くならなかったらまだ撮り続けてたかもしれん。
夕方以降は誰も来ず俺一人だけで、気を使うこともなかったし。

休憩所が閉まってるのでずっと岸壁で強風に吹かれ続けてたが、
夢中になってたせいか寒さは感じなかった。
昼過ぎに観光バスで来た観光客達は「寒い寒い」と言ってすぐに車内に戻ってったが。

薄暮の青と街灯の赤のコントラストが綺麗だった。

  帰り道では、道幅を示す境界線標識の矢印がはるか先まで同時に点滅しててイルミネーションのようで、見とれてしまった。

 抜海駅 18:31→18:49 稚内駅

  抜海駅では待合室の隣にある保線室から声が聞こえ、除雪の人が詰めてたようだ。






稚内で楽しみにしてたラーメン屋、たからや。
18:50に駅に着いて、19時で閉まるので走ってきたら中から声が聞こえる。
ああよかった、まだ開いてたと入ったら「すいません、今日は貸切なんですよ」
そっか・・・大晦日だもんね。ガックシ。







稚内サンホテル泊(素泊まり3600円)
  部屋の窓からは稚内市街が一望できた。
   ・・・明日の朝はアレがあるから早く寝なくちゃ。


8日目 (2011/1/1 日)

 稚内駅前バスターミナル 6:10→宗谷バス→6:55 宗谷岬





まだ真っ暗な朝6時に駅前からバスに。
宗谷岬に向けて出発。

めあては最北から見る初日の出。
バスは満員だった。





宗谷岬到着。

うわっ!すごいバスいっぱい。人もいっぱい。
雑踏整理のパトカーが3台も来てた。
  バスを降りて真っ先に来たのは最北端碑・・・ではなくバス停。ここはライダーたちが年越しの宴会をする場所。
   前にはバイクがいっぱいいた。すごいなすごいなー
    市主催の年越しイベントは彼らが主役。もともと宗谷岬で初日の出ってのも好き者ライダー達が始めたことだしね。



裏の丘を登ったら崖っぷちにもテントがあった。
強風に吹かれて寒くないんかな。

バイクはカバーがかけられてるけど、リアホイールのハブ形状(シャフトドライブやね)と
高いフロント周りからして、BMWのアルプスローダーかな。
孤独を好む年季の入ったツアラーっぽい。
群れずにあえて一人離れたところにテントを張るその性質、嫌いじゃないぜ。





7時すぎ、空が赤くなった。
地平線付近は雲がかかってて水平線から登る太陽は見えなかった。
ざーんねーん
  7時半、雲の隙間からちらっと太陽が見えた。
   残念ながら初日の出は見られなかったが、日本最北の地で正月を迎えたってことで満足した。

 稚内駅 10:51→13:46 智恵文駅

  宗谷岬からバスでノシャップ岬を経由して稚内駅まで。そこから普通電車で南下。
   車内は超満員で通路まで立ち客でギュウギュウ詰め。こんなキハ54を見るのは初めて。
    (写真は幌延を過ぎて余裕が出た後で撮った)

 智恵文駅→徒歩→北星駅

  智恵文で下車。乗ってきた列車は北星を通過するので、ここから歩てく。
  歩いて30分で到着。
   手前の踏切から駅を見ると、小さな木のホームは線路の添え物のようだ。棒線駅はいいなぁ
  北星駅は糠南駅に次いで好きな駅。この駅の魅力はこの待合室の「毛織の北紡」看板!
   木の小さな小屋にこの毛筆体の真っ赤なホーロー看板、他の駅にはない独特な雰囲気を放っている。





触ってみたりして
  待合室の中は総木造で暖かい雰囲気。
   コンクリートの床と壁の間に隙間があって少し雪が吹き込んでるが、これもまた風情があって良し。
             
  中で昼ごはん食べて、駅ノートに絵を描いた。好きな駅にいるとあっという間に2時間3時間が過ぎる。
   数年前に北星に来たときには、名寄の駅弁屋「角舘商会」で買ったみそ豚丼を食べたが、2009年に廃業してしまった。非常に美味だったので残念だ。





真っ暗な雪原を列車のヘッドライトが近づいてくる。

 北星駅 16:53→17:15 紋穂内駅

  紋穂内で下車。
  待合室の塗装はひび割れてガビガビ





駅周辺に民家は皆無で、だいぶ歩いた先に数軒あるのみ。
  待合室の内壁は黄色く塗られてて他と車掌車改造駅とは少し雰囲気が違う。

 紋穂内駅 17:47→19:45 北比布駅





塩狩駅で運転停車。
外に出て汽車を見たら、雪っつらになってた。
北国ならではでとってもいい。

  北比布で下車。宗谷本線の名寄以南はおおむね国道40号線に沿って走るが、
   ここ北比布のあたりで国道は大きく迂回し、駅周辺は田園地帯が広がりとても静か。
    しばらく利用客がいなかったようで、待合室と道路の間に雪が深く積もってたので掻き分けて入った。(足跡は俺の)
  待合室内は物凄い状態。ブロック造りなのが冷たい荒廃感を醸し出してる。(木造なら荒れてても暖かいんだけどね)

 北比布駅 21:01→21:22 塩狩駅

  蘭留で運転停車。真っ白なホームに足跡つけまくった。

  塩狩で下車。峠にあるせいか積雪が深く、いい雰囲気。




待合室は広い。
隣の保線室に2人の作業員がいて、待合室で休んでたら線路の雪かきをはじめた。
休憩に戻ってくるところで話しかけて、いろいろ聞いた。
やっぱりこの駅周辺は雪が多い、でも今日は大したことないんだって。
俺の感覚では大雪だったが。
  駅周辺に民家は無い。しばらく歩いて国道に出ると一軒だけ小さな商店があるが
   閉まってたので、雪をかきわけ自販機まで行って暖かい飲み物を買った。

 塩狩駅 22:51→23:27 旭川駅

  旭川サンホテル泊(素泊まり2800円)


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