手帳に印象深い出来事とか出会いの記録とかを綴ってたのでせっかくだから。



8/12
北海道に来た目的のひとつ、STB(駅泊)友の会の集会に参加すべく
札幌は北海道大学にきた。
GWに福島の無人駅で出会ってこの世界を教えてくれた(そして今回の集会に
誘ってくれた)人と北海道でまた出会うというのは不思議なもんだ。
思ったより少ない人数でキャンパスの芝生にブルーシートを敷いて酒盛り。
そのままシュラフをしいて寝る。
広いキャンパスの広場で並んで寝る変な集団。
近くを通った3人組の外人が寝てる俺達を見てミステリアスとかなんとか言ってるのを聞いて、
ドキドキしながら寝たふりをしてた。
クレージーと言われなかったのは幸い。


8/14
日が暮れかけて、そろそろ眠くなったんだが近くに鉄道もバス停もないんで
ライダーハウスに泊まることにした。
鉄道の廃線跡に客車を置いてそこに泊まれるようにした町営の施設。
俺の他に一人、SR400に乗った先客が一人いた。たった二人だけの客。
STB集会で余ったビールを2本もらってたんでおすそわけ。
二人で飲みながら話してると、なんと埼大生とのこと!なんたる偶然!!
こんな北の地の小さな町で二人っきりで出会うとは。工学部の院生とのこと。
普段の通学にも同じバイクを使ってるから、お互いこのバイクを構内で見つけたらまた合おうと。
いい酒でした。
その小さな集落でちょうど今日、お祭りがやってるとのことを管理人から聞き、
二人でバイクで出かけて出店をひやかしてきた。
(ちなみに2002年2月現在、未だに再会は果たしていません・・・)

8/15-16
朝、テントの撤収のかたずけをしてたら、CB1300に乗ったライダーが俺のバイクのナンバーを見て、
「私も埼玉の川口から来たんですよ」と話しかけてきた。
キャンプ場の近くに地図に乗ってない秘湯があるとのことで、場所を教えてもらい、
昨晩寝る前に入った温泉で知り合った、4輪で一人旅をしてるおじさんと一緒に行ってみることにした。
森の中のジャリ道をしばらく走って、バイクを降りて草を掻き分けて獣道を歩いて川原に出ると、
川原を掘って回りに石を積んだだけのワイルドな温泉の湯船があった。
回りは一面木々に囲まれ、すぐ隣に川が流れる、そのあまりのワイルドさに感動。
おじさんと二人で素っ裸になって温まる。
おじさんに「これから知床の方の川北温泉に行くから、よかったらまたそこで会わないか」
と言われたが、俺はもっとゆっくり走りたいんでたぶん会えないだろうと言ったらえらく残念そうだった。
ちょうど親父くらいの年だったので、息子に似てるとかだったんだろうか?
(息子がいるかどうかさえ知らんけど)

8/16-17
オンネトーの温泉につかりながら他のライダーらしき人達と話して、温泉を出て、
出発すべくバイクの荷物の整理をしてたら、
さっき温泉で話した3人がちょうど隣にバイクを停めてたんで色々話した。
したら、今日はここでテントを張って4人で飲まないかということになった。
俺はまだ時間も早いからもっと走るつもりと言ったんだが、まあまあとさそわれて、
結局近くのキャンプ場に4人で固まってテントを張った。
俺だけ125ccだったんで、1300ccに乗ってる人の後ろに乗っけてもらって、
4人で阿寒湖近くのコンビニまで行って酒と食糧の買いだし。
テントの前で調理。自炊道具を持ってる二人が米を炊き、肉を焼いて、もう一人はランタンを出して・・・
って俺だけなんもしてねーじゃん!役立たず!
あ、いや、STBの集会で余りもののウイスキーを貰ってて、それを提供したからちょっとは貢献。
(って自分で買ったもんじゃねーじゃん)
二人が作ってくれた飯をただ食らうのみでした。
ジンギスカンと炊きたてご飯うまかったです。酒もうまかったです。
地図でこれまで走ってきた道でおすすめなとこの情報を交換しあった。
(実際あとで行ったらすげーよかったよ。ありがとー。)
4人とも今日出会ったばかりの旅人同士だったんで、メアドと住所を交換しあい、翌日朝、
テントを撤収して別れた。

8/17
北海道の湖のほどんどが観光地化されてるのにガッカリ。
で、秘境を求めて40Kmのジャリ道の真ん中にある「神秘の湖」
というシュンケシュカラ湖に行ってみることに。

これがもーひどい目にあって、
ガレガレの深ジャリに前輪取られて大こけしてクラッチレバーが折れるわ
全然他の車も人も走ってないもんだから誰にも助けてもらえないわ
シカと5回も遭遇したのはいいとして、一度シカが俺の直前に飛び出して来て
あやうく衝突するくらいにニアミスしてお互いびっくりするわ、
野ネズミかリスかがちょうどタイミング悪く飛び出して来て道を横断してる
ところを轢いて踏み潰しちゃうわ(ごめんよーあんな路面で急ブレーキ急ハンドルしたらこけちゃうんだよー)
狐が道をふさいでてホーン鳴らしてもどかないわ(びびってただけかもしれんけど)
タヌキが俺の進行方向に逃げるもんだからおいぬいちゃうわ
走ってるうちに日が沈んじゃって真っ暗になるわ
(深い山林の中だから当然周囲数十キロに人家どころか灯りすらないし)
なんかえらく明るいオレンジ色の星があって気持ち悪いわ(金星だったのかな?)
道標もなんもない地図にも載ってないY字の分岐がいくつもあってどっちにいったらいいのかわからんわ
真っ暗で湖の存在がわからず通りすぎたみたいで結局見られずじまいだったわ
走っても走っても舗装路に出ないで遭難したのかとすげー不安になるわ。

5時半にジャリ道に入って、舗装路に出たのは8時半。3時間ずっとジャリジャリ走りっぱなしだった。
もー死ぬかと思った。怖かった。このスリルがイイ。やっぱ林道はやめられない。
そしてオマケ、ジャリ道の最後の方。道のまわりに木がないひらけた所に出た。
ハッと思ってエンジン止めてライト消してメット脱いで上を見る。
すげー星。あ〜っと広大な宇宙に思いをはせる。ぼ〜っと上を見上げつづけた。

8/?
林道の途中でバイクを止め、北海道のコンビニで買ったエロマンガ雑誌を取り出してもにょもにょ。
林道で・・・するのが実は好きなんです。大自然の中での開放感と背徳感が・・・
北海道の林道なんて当然誰も通らないだろうと思ってたら、複数台のバイクの排気音が近づいてきた。途中だったんであわてて片付ける。
したら、荷物山積みの4台ほどのオフロードバイクが俺の前で停まった。
(な、何!?まさかバレるはずないし・・)
冷や汗かいてると、地図を出して、「これ、落ちてたんですけど、あなたのものですか?」
あぁ、違います〜。しばらくここにいましたけど誰も通ってないんで、
落とした人はもうだいぶ遠くに行っちゃってるんじゃないですかね?
その人達、どうしようかなぁとか言いながら走ってった。
懲りずに再開して最後まですませました。

8/22
台風刻一刻と近づく。
知床のキャンプ場を雨が降り出す間一髪で撤収し、あてもなく南へと向かう。
風雨がきつくなってきたんで今日は宿に泊まるかと摩周湖のライダーハウスに電話してみたら
もうすでに一杯とのこと。考えることは皆一緒か。
いや、やっぱ、旅の醍醐味は野宿でしょ!タダだしね!
で、無人駅に泊まることに決定。浮いた宿泊費(500円)分で今日の晩飯は豪華に回転寿司!
腹いっぱい1200円分食べて大満足。
まあ、野宿は終電・終バスまでは寝られないとか、始発までに撤収しなきゃいかんとか不便はあるけど。
ライダーハウスとかキャンプ場でのテント泊って、楽だし安心感はあるけど
なんか物足りないっつーか、トキメキがないっつーか、ドキドキがないっつーか。
と思う一方で「取れないブドウはすっぱいブドウ・・・」とも思ったり。
いや、その分うまい飯が食えたんだし!

8/23
台風の風雨の中、横風でコケそうになりながら根室めざして南下する。
あまりの風にたまらなくなって無人駅を探して避難する。
それが根室本線の初田牛駅。
霧と雑草の草原のなか、ぽつんと立つホームと小さな駅舎。
まわりには民家は一軒もなく人一人いない。
ただ開拓当時の町並みをしのばせる碁盤目状に引かれた狭い道があるのみ。
その道もアスファルトは荒れ果て、ジャリ道のようになっている。
そして道に挟まれて碁盤目状に仕切られた土地には1mはある雑草がおいしげり
ところどころにボロボロに朽ち果てた廃屋。
今も生きているのは駅舎と、傾いた木の電柱に張られた電線だけ・・・
各駅停車の列車でさえ、いくつかは停まらず通りすぎて行く。
周囲のあまりの荒涼とした雰囲気。そしてなんで廃駅にならないのか不思議な忘れ去られたような駅。
ここで秘境駅にハマッた。

2時間ほど初田牛駅で休んだ後出発し、根室に到着。
根室市内の公園でバイクを止めて、地図を見てこれからのルートと今夜の寝床を考えていると、
自転車に乗った白人の若い男から話しかけられた。
おそらくロシア人。向こうは日本語知らん、こっちはロシア語知らん、で、
お互いにたどたどしい英語。
「hello, Is this one two five(125)?」「Yes.125.」
「Do you like offroad?」「(おう!林道大好きだ!)Yes!I like offroad!」
「I like too. I have a Honda XR450.」「Oh,XR.」
「Do you come from?」「Saitama.」「in Hokkaido?」「No,no. North Tokyo.」
ってなカンジで。中学校の教科書かっつーの。
最後はお互い笑顔で親指立てて「Good luck!」「サンキュゥー!!」
おもろかった!

8/24
夕日と星空が綺麗という開陽台でキャンプしようとめざして走っていたら、
上り坂をカートを曳いて歩いて登ってる人がいた。
おお、徒歩ダーかぁー大変だなぁがんばれよーと手を振って応援する。
開陽台に着いてテントを張ってたら、さっきの徒歩ダーが来た。
いろいろ話した。徒歩で北海道を横断してるとのこと。
野宿話になったんで、STBの集会で余分にもらった「STBのすすめ」(駅泊の情報誌)をあげたら喜んでた。
よかった。
夕日と星空は期待通りに綺麗だった。

8/28-29
おこっぺの道の駅の無料宿泊所で旅人10数人で大宴会。
タダ酒飲んでタダ飯くらってバカ話してウマー

ヒゲヅラだったせいか、たけのうちゆたか(漢字知らん)に似てるって
言われて、女の話になって彼女いないっていったら驚かれたんだけど
ホンマかいな。
そんなこと言われたの生まれて初めてだぜ?
みんな酔ってたから変なフィルターでもかかってたのか。

8/29-30
天塩の無料ライダーハウスに泊まりに行ったら、
昨日泊まったおこっぺで一緒に飲んだ、ハーレー乗りの自衛隊員がいた。
昨日はこの人がいろいろ飯を作ってくれてご馳走になったんだが
ガタイがでかくてちょっととっつきにくいカンジがするんだよなー。
いい人っぽいんだけど、怒らすと怖そうというか。
挨拶して、部屋の中に入って寝る準備してたら
缶ビールと調理してた焼肉をもらった。ご馳走になってばっかりですんませんなー。
翌朝、出発しようとしたら、俺のヘルメット見て、「その、フリクリって、何?」と聞かれ、
「いやぁー、アニメなんですよ。自分で塗ったんです。好きでして・・・」と照れながら答えると
「ああ、あの変わった絵の。」「え?知ってるんですか!?」
「いやぁ、俺もそういうの好きで。昔コミケとかも行ってたし。」
なななんだなんだ、同類さんか!見た目からは全然わからんかったよ!
そーいや昨日の宴会でもブルマ好きとか言ってたっけ!(そこで気付け)
ライダーハウスに備え付けの旅ノートの書きこみ見てみたらえらく同人ノリな文書いてるし。
もっとヲタ話したかったけど、俺はもう出発しかけだったんでそれだけで別れた。

8/30 正午
走行距離11350Km。
家を出発して5000Km走った!

8/31
神威岬で岬公園の管理人のおじさんと話してて、埼玉から走ってきたと言ったら
「そりゃゆるいなぁ」と。
多分「大変」とかそういう意味だとは思いつつ、「ゆるいってこっちの言葉なんですか?」って聞いたら
「ああ、キツイって意味だよ」と。
なんにゃら反義語のような気がするが。おもろいね。
一つ、マメ知識。
国立公園内では法律で自販機に色をつけちゃいけないんだと。
真っ白な自販機が並んでたので聞いてみたらそういうことでした。

9/3 
青森に着いて、テールランプとブレーキランプが点かないのに気付いた。
もう夜だしこりゃあぶないなと思い、小さなバイク屋に駆け込んで、
初老のオヤジさんに症状を話しランプを交換してもらう。が、点かない。
ええ〜配線切れか〜!?
エンジンオイルが減るわ、バッテリー液を全部蒸発させちゃってセルがまわんなくなるわ
チェーンとスプロケは限界以上に磨耗するわ、今回のツーリングはトラブル続きだなぁ。
1時間近くかけて配線を引きなおす応急処置をしてもらい、
ついでにヘッドライトの電球ももロー側が切れてたんで交換してもらって、
んで修理代5000円。いろいろやってもらったからまぁ妥当なとこだけど、痛いにゃー。

その後、北に向かい津軽の小さな集落の中のラーメン屋でラーメン大盛りを食う。550円。
客は俺だけ。
「ごちそうさま」とレジの前で財布を出す。
ハッと思い出す。
バイクの修理代で有り金使っちゃって金ないんだったー!忘れてたー!
財布の中を確認すると、お札は・・・無し。コインは・・・100円玉3枚と10円玉6枚。
財布を開けた状態で2、3秒固まる。
「どうしようどうしようあ〜どうしよう」
頭ん中真っ白のまま、有り金全部と免許証を出して
「すいません、金ないの忘れてました・・・明日の朝、郵便局で
金下ろして持ってきます。保証に免許証あずけますんで・・・」
となんとか声をしぼりだしたら、免許証の住所を見たオヤジ、
「何、どっからきたの?」「埼玉です」「一人でバイクで?」「ハイ」
「じゃ〜明日もまた走ってどっか行くんだろ?いいよ今ある分だけで。」
「え、でも大盛りまで頼んで・・・明日持ってきますから」
「いやいいって」
結局、好意に甘えて三百いくらだけ払って店を出た。ありがとうでした。

9/?
東北の・・・何県だったかな?忘れたけど、日本海沿いの国道を気持ちよく走ってたら、
背中に「徒歩日本一周挑戦中」と書かれたTシャツを着て歩いてる旅人がいた。
曳いてるカートには荷物山積み。
うおおっ。すげえっ。
追い抜きざまに振り向いて、がんばれよーと手をぶんぶん振った。

9/7
新潟県のさびれた山村のバス停で雨宿り&昼寝。
バスも来そうになかったんで正午から2時間ぐっすり寝て、荷物片付けてさあ行くかと思ってたら
トラックが近くに止まってドライバーのおじさんが下りてきて隣に座った。
「北海道行ってきたんでしょ?いや、すごい荷物だからさ」
色々話した。
昔ライダーで北海道も何度も行ったとのこと。
俺が今回の旅の話をしたら、しきりに「いいなぁ、くぅ〜いいなぁ〜」
といっていた。
最後に別れ際に「あ、そうそう差し入れがあるんだ」と、でかい袋に
いっぱい入った醤油せんべいをもらう。「ビンボー旅みたいだから。これ
モチ米だから腹持ちいいよ」と。うれしい。

9/9
1ヶ月ぶりに家に帰って・・・
いつでも安心して布団で寝れていつでも休めていつでも食べて飲むことができて
いつでも風呂に入って体を洗うことができる。
それがこんなにありがたいこととはおもわなんだ。


 <こまい記録>

寝たところ
8/8 23:00ごろ出発 \
9          >この3日間は走りながら約5時間おきにバス停などで細切れに睡眠を取ってた。
10         /
11 テント(函館・上磯ダム公園キャンプ場)
12 野宿(札幌・北大キャンパスの芝生の上)
13 ライダーハウスひぐま(富良野)
14 ライダーハウス鉄道記念館
15 テント(然別国設野営場)
16 テント(オンネトー国設野営場)
17 野宿(山花バス停)
18 野宿(釧路線・美留和駅)
19 テント(網走・呼人浦キャンプ場)
20 野宿(知床自然センターの軒下)
21 テント(羅臼野営場)
22 野宿(別海町平糸バス停)
23 野宿(根室線・別当賀駅)
24 テント(開陽台キャンプ場)
25 テント(網走・呼人浦キャンプ場)
26 野宿(石北線・東雲駅)
27 野宿(道の駅滝の上)
28 ツーリングトレイン・道の駅おこっぺ
29 ライダーハウス(天塩鏡沼海浜公園)
30 野宿(留萌線・信砂駅)
31 野宿(函館線・銀山駅)
9/1 野宿(室蘭線・有珠駅)
2 野宿(江差線・中須田駅)
3 野宿(津軽線・郷沢駅)
4 野宿(五能線・艫作駅)
5 野宿(羽越線・折渡駅)
6 野宿(羽越線・勝木駅)
7 野宿(飯山線・土市駅)
8 野宿(吾妻線・川原湯温泉駅)
9 11:30帰宅。

総走行距離 7385Km
(バイクの距離計・出発時6350Km、到着時13735km)

ガソリン総給油量
125.2リットル・13599円

他バイク関係費(修理代、エアポンプ、オイル等)
7198円

食費(食事、缶ジュース・栄養ドリンク等の飲み物、菓子、酒盛り代等、総て含む)
45527円

宿泊費(ライダーハウス2泊、有料キャンプ場1泊)
1330円

フェリー代 行・青森大間港→函館 帰・函館→青森港
4730円

温泉代(温泉センター×2回)
600円

衣類(長靴、ゴム手袋、スニーカー)
3423円

親へのおみやげ(メロン2玉+送料)
2780円

コインランドリー
1405円

総費用・計8万円