EXCEED-02
「小さな来訪者」
「んー、今日は朝からのんびりできてサイコーだなぁ・・・・ふぁ〜あぁ・・・・。」
月一でバルガンが街へ買出しに行く日は上機嫌なグリッドであった。
うるさいバルガンがいないこの時はここぞとばかりにぐうたらする。
これがグリッドの月一の楽しみでもあるのだ。
窓から入る暖かいひなたの中で、ゴロゴロしながらサーモンの薫製をほおばる。当然
食料が底につく頃に買出しに行くわけなので最後の食べ物はいつも
グリッドがたいらげてしまって何も残らない。
「早く帰ってこないかなぁ・・・。もうサーモンも残り一枚になっちまった。あ、
こんなこと言うとまたバルガンに"食いすぎだー!!"って怒られちまうな・・・へへへっ」
そんな事を言いながらニヤニヤしていたグリッドはドアを叩く音を耳にする。
「あれ!?誰だろう?こんなとこに人が来るのは久しぶりだなぁ・・・よっこいしょっと。」
ガチャッ!!
ドアを開けて、驚いたのはその小さな客人の方だった。
「わあぁっ!!!!」
怯える子供に微笑みながらバルガンが言う。
「ハッハッハッ!!大丈夫だディード。こいつはグリッド。ま、オレの召使いみたいなもんさ。
見た目は怖いが以外と臆病者なんだぜ♪」
「んー!!!誰が召使いだー!!それと臆病者もよけいだぁー!!・・・でも
なんなんだよその子は・・・。ま、まさかバルガン、隠し子ぉ!?」
「バーカ!!そんなわけねーだろ!!よくわからんがこの人っけのない森の中で倒れて
たんだよ!!それをこのオレが助けてやったっつーわけ!!」
横目でニヤニヤしながらグリッドが言う。
「んー、どうだか・・・。バルガンは女にみさかいがないからなぁ。」
「う・・・・。と、とにかくだ!!この子は体調が悪い。ベッドを用意してやれ。それから
粥でも作ってやってくれ。」
「んー・・、あいかわらず人づかいが荒いんだなぁ・・もぅ・・・。」
バルガンは奥の部屋に入ると子供に水を与えていた。その間にグリッドは二階に上がると
早速子供用のベッドをこしらえる。
(んー、でもこの子は一人でどうしたんだろう・・。迷子かなぁ。いや、こんな森の奥深くに
あんな格好で?)
色々と考えているグリッドにバルガンが呼びかける。
「用意できたか?グリッド。」
「んー、できた♪」
ディードをベッドに横たわらせゆっくりとシーツを掛けてやると、バルガンとグリッドは
部屋を出ようとした。
「バルガン・・・・。」
「ん?どうした、ディード。」
「あ、ありがとう・・・・。」
「いいってことよ。とりあえず今はぐっすり寝ることだ。」
「うん・・・。」
静かにドアを閉めて、二人はゆっくりと一階に降りて行く。
「どうやらあの子は記憶を失ってるらしい・・・。」
「え?記憶!?」
「記憶を無くして森でさまよってたんだ。だったらこういう場合、どう接するかわかるな?」
「んー、すぐに過去の事を思い出させようとするな・・・・か?」
「そうだ。やはりしばらくはそっとしておいてやる方が一番だと俺は思う。なにより
あの子はまだ幼い。ここは俺達で見守ってやろうじゃねーか。」
「んー?バルガンにしてはイイ事言うねぇ・・。ホントに隠し子じゃねーの?」
「あのなぁ・・・。」
「わははは!!冗談だって!!・・・それより食い物は??もうサーモンも底ついちゃって俺もう限界!!」
「あ、悪い。ディード見つけたの行きがけだったんだ。帰ってくるの、早かっただろ?」
「・・・・・・・・・・。」