飛 鳥
いにしへびと あるは来逢はむ。
神南備の萩散る風に、山下ゆけば
海やまのあひだ 「飛鳥の村」
私の祖父は、大和飛鳥の『元伊勢』と謂われた神主の家から、迎えられた人である。
「古代研究」追い書き
永遠の旅人・折口にとって、旅のはじまりは大和であった。
そこは彼が幼少にして諳んじていたという万葉の多くの歌が生まれた地であり、
唯一あこがれてやまない父祖の地、そして古代精神が息づく聖地でもある。
甘樫の丘から眺望する風景。
画面奥の山は二上山、
手前は畝傍(うねび)山。
飛鳥歴史公園のこの丘からは
天の香具、畝傍、耳成の大和三山、
青垣の山々が遠望できる。
折口信夫はこの甘樫の丘をこそ、
万葉集に詠まれ天皇が廬したという
雷(いかずち)ノ丘とさだめた。
大洋を航して南から来た人々が幾代かの間に終に、
九州の南端に達したものと見る外ないと考えて居る。
此人々は、至る処に<やまと>をもとめて進んだ。
・・・・かうした憧憬は、遥かに更に遥かに、
光る国原をもとめて東へ向はしめたのである。
私どもの考へでは、此わが祖先の過ぎた後には、
<やまと>と言ふ地名が多く残つて居る。
さうして最後に、国をさためた処が、亦<やまと>
即大倭(オホヤマト)であつたことになるのである
「古典に現れた日本民族」(昭和13年)
折口は<やまと>の語源を「日本文学の発生序説」(昭和22年)で
「山のかヽり口だから、山門(ヤマト)と言ふ」
と推論している。

亀石
長さ4m、幅2m、高さ2mの巨岩。
このほか飛鳥には猿石、酒船石、
鬼の雪隠、鬼の俎など、
不思議な石造物が散在する。
明日香風 きのふや千年(ちとせ)。
やぶ原も 青菅山もひるがへし吹く
上記の折口が詠んだ歌は、万葉集・志貴皇子作
「妥女の袖吹きかへす 明日香風・・・」を踏まえる。