インターネット文学館ホーム
輸出規制
はじめに規制内容の変更規制の概要輸出法規管理の基本輸出に際しての留意点
(参考資料) 松下電工 松下制御機器(株)カタログ『制御』3版、4版より「輸出規制について」


                            文字サイズの変更: | | |


      はじめに

  ココム(Coordinating Committee for Export Controls)とは、冷戦時代の対共産圏輸出統制委員会(ココム)に代わり、通常兵器関連の輸出を国際的に管理する協定(新ココム)に移行、今はすなわちワッセナー協約(Wassenaar Arrangement)と呼ぶものに変化。

『知恵蔵』(朝日新聞社、1999年版)から引用すると、「ココムは、欧米16カ国と日本(さらに協力国27カ国)が、共産系諸国を対象に結んだ軍事技術・戦略物資の輸出規制の協定であったが、1994年3月、廃止されている。ワッセナー協約はココムとは異なりロシア、ウクライナや旧東欧諸国、発展途上国まで参加する国際的な輸出管理体制で、96年7月のウィーンでの設立総会には日本を含めた33カ国が参加し、同年11月1日をもって発効した。規制の対象となるのは、通常兵器と軍事転用可能な汎用技術合計約110品目である。協約に法的な拘束力はなく、罰則もない。規制対象国は明文化はされていないが、米国がテロ支援国家と名指しするイラン、イラク、リビア、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の4カ国を事実上想定している。」

  かつて、よくお客さんから製品をどこどこへ輸出するので、「この部品のココムの非該当証明書を1部ほど取り寄せて欲しい」という依頼があったものでした。それで、その部品メーカーに非該当証明書を頼むと、およそ半月ないし1ケ月で書類が届いたものでした。電子部品販売をしていると、いろんなことに遭遇するものです。で、現在はどうなっているのかというと、電子部品メーカーのカタログをいろいろと見渡すかぎり、「ココム非該当証明について」というような旧い文書は、当然ながら見つけ出すことはできませんでした。ただ、さすがだと思ったのは、松下電工でした。「制御」3版のカタログのなかに「輸出規制について」という頁があり、実に詳細な、しかもわかりやすく懇切丁寧に書かれた文書を見つけ出すことができました。

  松下電工の「輸出規制について」の文書は教科書のようにお手本となる資料なので、今後、時間の取れるかぎり紹介しながらわたしも勉強してゆきたいと思います。その内容は、
    1.安全保障輸出管理の内容(規制内容について)
    2.規制の範囲
    3.規制の概要
    4.輸出法規管理の基本
    5.輸出に際しての留意点
以上の項目のなかでそれぞれに詳しく明記されています。電子部品に関わる以上知って損はない事なので、このコーナーを設けることに致しました。特にエレクトロニクスは輸出令別表第一・外為令別表のワッセナー・アレンジメントによる規制項番7の規制対象品目に掲げられており、それを輸出する場合は通産省の輸出許可が必要になっています。もし、輸出許可を取得せずに輸出した場合には、罰則として「5年以下の懲役および200万円以下の罰金」が課せられることになります。また、行政制裁として「最高3年以下の輸出停止」も加えられます。厳しい罰則だけでなく、社会的信用も失墜します。

  法令や製品の品質保証規格はますます国際的に展開もされています。地球規模の環境問題や国際貢献のレベルでわたしたちは視野を広げてゆかねばなりません。自分にできることの第一歩を、このWeb上にわたしも参加することが叶うならば、少しでも積極的にそれを形にしたいと思っています。
  次回は旧ココム規制とワッセナー・アレンジメントとの具体的な違いなどを調べてゆく予定です。

(1999/07/03)


      規制内容の変更

  先日、松下電工から『制御4版』の新しい「輸出規制について」のページのみをFAXしてもらいました。内容は3版のものと若干訂正箇所が見えます。また、1999年8月1日当時の適応項目とされています。基本的にはさほど変わりません。
  さて、本題の安全保障輸出管理としての規制内容についてですが、不拡散規制(核兵器・化学兵器・生物兵器などの大量破壊兵器を初めとして、それらに付随するミサイルなどの拡散を防止するために、これらの製造・開発を可能にする設備、装置、原材料、技術などに対する輸出規制)や、核不拡散条約などの規制内容をこれから確認します。東西冷戦構造終結に伴い、1994年春にココム(対共産圏輸出統制委員会)が解散し、そのあと国際的協約としてワッセナー・アレンジメントが1996年7月に設立されますが、規制対象は、通常兵器および関連汎用品であっても、ココムとは次の資料の表(『制御4版』より)のように大きく変わっています。

主な相違点 旧ココム規制 ワッセナー・アレンジメント
目的 共産圏諸国への戦略物資
の移転防止
地域の安定を損なう恐れのある
通常兵器の過度な備蓄の防止
規制対象地域 共産圏諸国 全地域
参加国 主に西側諸国17ヶ国 ロシアや東欧諸国も加え33ヶ国

(2001/01/31)

  何だか学校の社会科の時間みたいでイヤなのですが、松下電工の「輸出規制について」の一文は本当によく出来ていると思いますので、先週の続きをまとめて置きたいと思います。前回は不拡散規制とワッセナー・アレンジメントについて、具体的に旧ココム規制とどう違うのか追ってみたのですが、今回は「補完的輸出規制」という、ますます難しそうな部分を引用してまとめてみたいと思います。
「湾岸戦争後、不拡散規制をさらに徹底するために、欧米諸国では、従来規制対象としている貨物以外で汎用性が高く、民生用途の貨物・技術でも、大量破壊兵器などの開発・製造などに利用されることを知っている場合は輸出規制するいわゆるKNOW規制を導入しました。わが国でも、1996年10月より従来の規制を補完するため、輸出者が輸出する貨物・技術が<大量破壊兵器などに利用されていることを知っている>と客観的に判断できる場合などに輸出許可申請が必要となる補完的輸出規制が実施されています。」(松下電工『輸出規制について』「補完的輸出規制」より引用)

  何とも難しくて解ったような解らないような、そんな補完的内容です。次に、「国連制裁」については下記の通りです。
「国際連合安全保障理事会の決議に基く輸出禁止措置です。実際に紛争が起こってしまった場合に、平和的解決を促進するため<国連による経済制裁>が行われます。現在はイラク、ソマリア、カンボジア、アンゴラ、シェラ・レオーネ、(リビア:制裁停止中)が制裁対象国となっています。(1999年4月16日現在)」(同上資料より)
  以上が安全保障輸出管理の内容です。松下電工の資料では、上記の補完的輸出規制施行前後の主な相違を、次のような図で「規制の範囲」として紹介しています。

(今まで)
規制品目 / 技術レベルの高いもの 全顧客
(補完規制施行後  H.8.10〜)
規制品目 / 技術レベルの高いもの 全顧客
(今まで)に加え
補完規制
規制品目 / 技術レベルの低いもの 疑わしい
顧客

(客観要件)

(2001/02/09)


      規制の概要

  松下電工『制御』4版では、「規制の概要」が誰にも判りやすく表にしてありますので、それをそのまま下に書き写して置きます。非常によく纏まった資料だと思います。特に規制対象品目は重要と思われます。エレクトロニクス、コンピュータ、センサ・レーザー、そして先端材料も含まれていますから、素材そのものも規制対象となるようです。

規制内容 輸出令別表第1・外為令別表 備考
(その目的) 項番 規制対象品目
武器 武器輸出3原則により、輸出禁止
不拡散規制 核兵器 大量破壊兵器などの開発製造を可能に
(大量破壊兵器関連資器材 化学兵器 する設備、装置、原材料および技術な
・技術などの拡散防止) 3の2 生物兵器 どを規制。★輸出する場合は、通産省(
ミサイル いま経済産業省)の輸出許可が必要。
先端材料
材料加工
ワッセナー・アレンジメント エレクトロニクス ワッセナー・アレンジメントは、旧ココムを
(ポストココム規制) コンピュータ 引き継いだ国際協約で、旧共産圏諸国
(通常兵器およびその関連 通信関連 も参加しており、規制対象地域は、不拡
汎用品・技術の拡散防止) 10 センサ・レーザー 散規制と同様に、全地域。
11 航空関連 ★輸出する場合は、通産省(いま経済
12 海洋関連 産業省)の輸出許可が必要。
13 推進装置
14 その他
15 機微品目
補完的規制
(不拡散規制の徹底)
16 不拡散リスト補完品目
(2〜4項とほぼ同一
品目で規制値に満た
ないもの)
平成8年10月より施行。
★16項に該当し、かつ、客観要件に該
当する場合に、輸出許可が必要。

(2001/02/16)


      輸出法規管理の基本

  引き続き松下電工『制御』4版から、今度は「輸出法規管理の基本」について要点をまとめてみます。
(1)輸出管理の対象
      輸出とは、日本国外に何かが(有形・無形問わず)出ること
  つまり、「貨物」なるものと、「技術」なるものと判断されるすべての対象を指します。「貨物」には、海外出張時のハンドキャリー、国際宅急便、製品、備品、資材、原材料などです。「技術」の輸出には、製造仕様書、設計図、フロッピーなどソフト面となるものです。

(2)厳しい罰則

  罰則/5年以下の懲役および200万円以下の罰金
  行政制裁/最高3年以下の輸出停止
  社会的制裁/会社の信用失墜、国際世論の非難など


      輸出に際しての留意点

  これまでの資料はあくまで松下電工の「輸出規制について」に基づくものを整理したものです。誰にでも判りやすく教科書的な模範となる説明だと思います。したがいまして、松下電工から最後の締め括りとして、次の下記の留意点が指示してあります。それを書いて、皆様の今後の参考として頂ければ弊社としても幸いです。これら掲載内容はあくまで1999年8月1日付けのもので、それ以降の変更もあり得ますので、必要時には最寄りの松下電工の各営業所にお問い合わせしてくださいとのことです。

(1)項番1〜15の該当品の輸出に際しては、必ず通産省(いま経済産業省)の輸出許可を取得してください。
(2)項番16(補完的規制)の該当品でかつ客観要件に該当する場合には、通産省(いま経済産業省)の輸出許可が必要になります。
(3)項番1〜15及び16に該当しない場合、最終用途・最終需要先を調査してください。結果、軍事用途・軍事工場などで使用されることが判明した場合は通産省(いま経済産業省)に輸出可否の一般相談を行ってください。

(2001/02/23)

TOP





制作・著作 フルカワエレクトロン
Copyright (C) 2001 FURUKAWAELECTRON All Rights Reserved