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Prologue (プロローグ)

何の知識も無く入社して、恐る恐る勧められるままに始めた電子部品販売の仕事。適性があるとはとても思えないパーツの世界に放り込まれてから11年後に、今度は仕事が出来過ぎるために煙たがられて、ある日突然、ポイと捨てられてしまったリストラ人生。会社から解雇され、自分に残っていたのはお金ではなく部品のスキルだけだった。

思えば、小学生の頃から電気いじりが好きだった。コンセントをショートさせるのが面白かった悪ガキだった。そんな悪ガキが大人になり、20代で電気工事士の資格を取った。そして強電の世界で恐怖を何度も味わった。33歳の時、強電の世界から足を洗うことを決心。自分には生涯の仕事とは思えず、トラックの運転手になりたいと思ったが、面談した運送会社の所長から、私の履歴書を見るや「キミにはこの仕事は向かないと思うよ。せっかく大学の工学部に入ったんだから、しかも電気工学だろう。電気の仕事のほうが向いていると思うがなあ」と言われて、採用されなかった。で、結局、あの将来にリストラされる電機会社に就職したわけだが、あの時の11年間は今振り返ると、とても楽しかったように感じられる。というか、楽しかったことだけが妙に記憶にたくさん残っているのだ。辛いこともいろいろあったけど、仕事は充実してとても楽しかったように思われる。

でも、リストラは自分の人生を大きく変えたように思える。あらゆる体験が生きてゆける糧となり、もともと二十歳で作家志望を抱いていた別の世界があって、文学は常に私が苦悩するたびに帰る場所でもあった。自分がどんなに真摯に生きていようとも、時に人は私を疑い、揶揄し、冷たくあしらう。私も負けじと、そんな人は所詮そんなレベルの無教養なんだから相手にしないようにして来た。私は自分が好きな作家の作品のなかで自分自身の心をいつも解放していた。文学に触れることで、精神が安らいでいたのだ。今でもいちばん好きな小説家はドストエフスキーである。日本の作家では、川端康成、井上靖、梅原猛などたくさんいる。インターネット文学館にも紹介してある。

リストラされてから後に、1年も経たずに、私は自営業を起ち上げた。1997年7月1日はフルカワエレクトロンの創立記念日でもある。来年の2017年7月1日には20周年を迎える。まだ存在しているかどうかは未知ではあるが、借金は初めから一切無いので、借金取りから催促されることも一切無い。自分の身の丈に合った資本の器で生業をしているので、無理なことは一切しない。スキルはスキルを膨らませ、それなりにネットショップも少しは大きくなっていったようである。店は自分が作ってゆくものではなく、お客が作ってくださるようなものかもしれない。ゆえに、お客を失望させないことが私の仕事ともなっている。何度も失敗し、失敗からまた学び、それらの教訓こそがまた財産となっているのだ。その対価は仕事を与えられ、販売ともなってゆく。仕事があるかぎり、私は誠実に仕事をこなしてゆく。不誠実は商売の敵である。傷ついてゆく心よりも、相手が喜ぶことをしてあげたいだけである。

会社勤めの11年間と自営業での19年間を足すと、30年間の電子部品とのお付き合いということになる。30年も経つと、部品も変わり、自分も老いてしまった。還暦もとっくに過ぎて、現在64歳の私は、ガンで入院中の妻を毎日励ましながら日々過ごしているが、来月の12月のクリスマスまでには妻が退院するスケジュールとなっている。胃癌でなくて悪性リンパ腫と診断されて現在回復を目指しているところだ。胃にできた大きな腫瘍は抗癌剤治療ですべて消え、最後の6回目の抗癌剤治療で終了の手筈となっている。ガン細胞でなかったことが最大の幸運だった。被爆二世の妻と共に歩んで来たフルカワエレクトロンは、何としても妻と一緒に無事に創立20周年記念日を迎えたいと思っているのだ。華やかでなくていい。半年以上の病院での寝たきりから、何とかリハビリまで頑張って、自宅で元の暮らしが取り戻せるよう私は願っている。それまでは、私も健康を害すわけにはゆかず、この先何年続くか判らないが、愛されるネットショップでありたいと思う。Webで赤裸々に告白することもあるが、真摯に、誠実に、ただエンジョイしながら生きてゆきたいだけなのである。

さて、前置きが長くなってしまったが、当店が在庫している部品は圧倒的なほどアナログ部品の数々で、むしろレトロ感さえ漂って来そうであるが、よくよく眺めていると、アートのような形状にも思えて来るし、パーツとは縁のない普通の今の若い人たちには馴染みのない世界かもしれない。今ならファッション・グッズにも見えるかもしれない。学校の理科や電子工作で少しでも時間を過ごした人には、理解できるかもしれない。ここには半導体やマイコンチップやカーボン抵抗やトランジスターやダイオードやLEDなどの画像は無いが、電子部品にはピンからキリまで無数にあって、とても紹介しきれるものではないので、せめて言葉だけでも思い出してもらえれば、少しはエレクトロニクスの世界が想像はできるものと信じたい。で、これらのパーツについて、現在はまったく役に立たないかもしれないが、これらのパーツをめぐって、過去にタイムスリップし、さまざまなエピソードや部品の役割でも書いてみたいと思ったのが、このページをつくるきっかけとなった。先ずは、わかりやすい押しボタンスイッチから簡略に書いてみたいが、次回から追記してゆく予定である。(続く)

文・古川卓也
(2016/11/16 - 2018/12/07)

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