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映画『イントゥ・ザ・ストーム』(2014)の音源を探る
文・ 古川卓也
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『INTO THE STORM』をドルビーアトモス対応劇場で体感

待望の映画『INTO THE STORM』をシネマサンシャイン下関のアトモス対応スクリーン6で鑑賞したのは、この夏の8月23日だった。いったいどんな体感ができるのだろうかと興味深かった。思い起こせば、体感映画の記憶に残るのが、かつて20代の頃に京都の映画館で体感したチャールトン・ヘストン主演の『大地震』(1974年米)である。映画を観る、というよりも、映画を体感する、という領域の代物である。『大地震』では午前中から入場して夕方まで映画館にいて、その日は2回ほど観た。昔はチケット1枚で2本立て3本立ての上映映画を観ることが出来たから、お目当ての『大地震』は当日2回みることができたのである。映画館内の観客席が揺れるわけではないが、地震が起きるたびに物凄い地鳴りの空気振動に体が包まれるのだ。まるで本当に地震かと思えるほどの不思議な体感だったのだ。あまりに気持ちのいい音響体感だったので、どうしてももう1回『大地震』をみたいと思ってその日は粘ったのである。

この『大地震』には、センサラウンド(Sensurround)という音響効果と低周波振動の特殊効果音装置がスクリーンの前、つまり最前列の観客席の前側に設けられていた。重さ約100kgという黒々とした箱型の専用スピーカーが最前列の観客席の前側で横一列に16個ほど並べられていたのである。地震専用の超低域スピーカー群である。それ以外の俳優の声や物音は、本来映画館既設の左右のスピーカーでまかなわれ、それらはごく普通に大型のフルレンジ・スピーカーが左右対称に壁に掛けてあるだけである。

当時はこの脅威的なサウンド効果に私も呆気にとられたものだった。何とも快感なる異次元映画を体感したものと今でも思っている。鮮烈な記憶はいまだに刺激的なままだ。センサラウンド装置はMCAとユニバーサルの共同開発で作られたもののようだ。この大がかりなメカニズムは、いわば『大地震』を上映する映画館ごとに設置してゆくとするならば、当時は大変な重量の移動作業や設置作業が必要だったろうから、重労働と上映劇場分の台数を伴ったのではなかろうか。上映するのはいいが、非常に効率のわるい配給映画だったかもしれないが、当時映画館でこの『大地震』を体感できた人は、時代的にも幸運だったといえるだろう。こんなメカニズムを体感できる映画は二度と現れないような気がする。今時の3Dや4Dとも異なった、前代未聞の格調を帯びた絶品映画だ。静寂から激震を綿密な空気振動で制御させた作品としては、実にオーソドックなやり方で絶妙なハイテク装置でもある。当時、『大地震』を観た者にしか伝わらない感覚であろう。地震列島の日本人が実感するリアルさだろう。昨年ふとした機会で『大地震』のDVDを鑑賞したが、映画館で味わった醍醐味のひとかけらも味わえなかった。そのかわり、当時好きだった女優のジュヌビエーヴ・ビジョルドに再会できたのは嬉しかった。


(補記) それで今年の11月上旬に、あらためて『大地震』のブルーレイ復刻版(2013)をオンラインショッピングで取り寄せてみることにした。ユニバーサルのシネマ・コレクションとして、なんと本体価格\1,886+税という安さにもびっくりしたが、さらに驚いたのは、このBDの中身では5.1chサラウンド/DTS-HDマスターオーディオと、2.1chセンサラウンド/DTSという2つの英語音声が選択できることだった。英語の他に吹替がフランス語・イタリア語など5ヶ国語あって、字幕は日本語を含めると22ヶ国語にも至る按配だ。日本語の吹替はない。またそれは、必要もない。さすがチャールトン・ヘストン主演ともなれば、『十戒』(1956米)や『ベン・ハー』(1959米)などの大作をはじめ、『猿の惑星』(1967米)といった代表作などの大御所の力あってか、映画界に今も君臨する金字塔の名優が残した格調の高い作品群を無下に取扱うわけにはゆかず、こうしてブルーレイにも2つの英語音声を収録してくれたことは、われわれのような一般の映画ファンにとって、大変ありがたく嬉しいかぎりだ。

しかも、センサラウンドで当時の『大地震』を体感して鑑賞させてもらった往年の映画ファンの一人としてばかりではなく、今も自分でオーディオとホームシアターを融合させ、ブルーレイの音響と映像美を満喫させてもらっている私には、たまらない感動を与えてもらっているので、感謝してもしきれない恩恵も授かっているといっていい。このことをホームページで出来る限りの表現をしたいと思っている。そこで、実際に自分のオーディオシステム(オーディオアンプにブルーレイレコーダーを接続し46型液晶テレビで映画鑑賞)で『大地震』に収録された2つの英語音声を検証してみたので、こちらをご覧いただければ幸いである。低域の音質再生能力は、ハイレゾやAVアンプよりも断然オーディオアンプで聴いたほうが良さそうである。当然スピーカー能力いかんにもよるだろう。

(2014/12/16)


さて、映画『INTO THE STORM』(2014年米)について興味深いのは、物語としてよりも、今時の最新技術で実写化・再現してしまうハリウッド映画の醍醐味である。特殊効果、SFX、VFX、2DエフェクトCG、3DエフェクトCG、と時代と共にエスカレートしてゆく映像技術や特殊カメラ群の配備は半端ではない。映像はますます革新的となり、音響もますます大変すばらしいものを再現してくれるから、作品も圧巻となって来るのは当たり前かもしれない。『INTO THE STORM』での音源はすべてドルビーアトモスとリニアPCM5.1chで収録されているから、アトモスシアターでの音の密度や臨場感は抜群のリアリティーな音域に包まれてしまうのは確かなのだが、耳を劈くような鋭利な高周波音域の連続ばかりではなくて、もっと地鳴りをも吸い上げ巻き上げる超低域の風圧を感じられる低周波振動もあってもよかったのではないかと私は思った。40年前に体感した『大地震』のような足元から突き上げる低周波振動だ。人類未体験の超巨大竜巻は直径3200m、秒速135mなのだから、アトモス劇場を揺らしてもよかった。コロナワールドでの4DXまでゆくと、そこは本物のアトラクションとなるから、近眼でメガネをかけている私のような者には、3Dメガネが落っこちてしまいそうで、あまり意味がないようだから、あくまで座席は揺らしてほしくはない見解なのだが。それでも『INTO THE STORM』のアトモスシアターでの体感は、やはり凄まじい新たな体験でもあった。壮大なパニック映画はやはり映画館で観ると、そこに巻き込まれるところが面白い。わが家のホームシアターで観ると、一体どんな按配になるのか、早くブルーレイで体験してみたいと思っているので、12月23日にBDが出るのが待ち遠しいところだ。『INTO THE STORM』のBD体験が出来たら、またここで追記してみたいと思う。

(2014/10/31)

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