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マドンナ   I LOVE MADONNA

文・ 古川卓也

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コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア

車で走る時、いつもマドンナの曲がかかっている。ライブ・アルバム「MDNAワールド・ツアー」(2012)[CDもいいが、BDならDTS-HDマスターオーディオ5.1chで聴ける。なお、CDには「MDNA」のスタジオ・アルバム(18曲入)と「MDNAワールド・ツアー」のライブ・アルバム(2枚組24曲入・輸入盤CD)があり、音質的にはスタジオ・アルバム「MDNA」がお薦め。BDには24曲の他にボーナスとしてMDNAダンス・ワークショップ映像も付録されている。本編のBDでは圧倒的な上質のサウンドと驚愕のパフォーマンス映像を体感できる。]なら、車内で勝手に観衆と一緒にパワー炸裂だ。すさまじい劇空間のなかを彷彿とさせるミュージックとなり、きわめて稀な歌声と旋律のイリュージョンに思わず覚醒させられる。ドアの外は退屈な風景が流れているが、一旦マドンナの音楽がかかると、世界は一変する。狭い車内の空間でありながら、どうしてこうも壮大な気分にさせられるのだろう。もちろん車の窓は全部閉める。車内と外の流れる風景にはストイックなまでに透明な防音壁があり、知らぬ間に一直線の地平線に吸い込まれてゆく。あんなに平凡だった街の風景も、大切な人たちの笑顔もよみがえり、煩雑な世間のしがらみからも解放されて、まるで忘却の海や砂丘にまで連れて行ってくれるようでさえある。日本でもない、アメリカでもない、中東でもない、知らない世界が蜃気楼のように横たわって現われる。

車内では重装備の楽器が鳴り響き、物凄い低音とシンセサイザーのけたたましい音色に包まれた楽曲のフューチャー・ディスコサウンドが始まる。そして、紫外線避けのシールドに守られて、ボーカルのリズミカルな歌声が天から降り注いでくる。アルバム「I'M GOING TO TELL YOU A SECRET」(CD+DVD/2006)なら、ヘリコプターや銃撃戦の音もありだ。空襲警報のサイレンさえ聞こえて来る。イディオロギーと主張を明確に表現するマドンナは、単なる歌手やダンサーではない。人々を政治的に目覚めさせる、という根強い願望は、映画製作や講演といった形ともなる。歌唱力、肉体改造、あらゆるトレーニングに寸暇を惜しまないマドンナの意思表現は、1979年のデビュー以来、35年間という年月をかけて培われたものだ。手馴れたギターにピアノやシンセサイザーも奏でながら、ドラムスにパーカッションも手がけるマドンナは、作詞家・作曲家であり、音楽プロデューサーも務める。映画製作・監督もこなしながら、ファッションデザイナーの一面ものぞかせて、ドキュメンタリーDVDを観ていると、すべてのスタッフやファンに心優しい姿勢がみてとれる。ポップ、ロック、ダンサー、慈善実業家としての顔も持つ世界一流の才色兼備なアーティストだ。

そんなマドンナの音楽世界を、ちなみに自分の愛車(マークX)で聴くとどのように聞こえているかといえば、CDの録音レベルが一般ミュージシャンのものとはかなりかけ離れているかもしれない。車には6つの純正スピーカーが搭載されており、16cm口径のフルレンジのドアスピーカーが前後左右に4つと、8cm口径のインパネサイドスピーカーがフロント左右両端にある。いずれもごく普通のスピーカーで、もともと私は車にマニアックな音質を求めていないので、これで満足している。CDの優秀録音レベルは自宅のハイエンド・オーディオで確認するので、つまらない録音のものは初めから車に持ち込まない。マドンナのCD録音には別格の要素が初めから吹き込まれているようだ。低域と音圧レベルを操作するミキシングには、驚くほどの繊細なキーが詰め込まれている。ナチュラルな音質を丁寧に拾い上げて、無駄な音域は可能なかぎり排除して聞こえる。上質な中高音は上質な低音が再現されてこそ生きて来る。その音階メロディのまわりに多数の音が加わり、まるで総勢100人くらいの演奏家が集結でもしているかのような臨場感に包まれてしまうのだ。ボーカルのマドンナのまわりには実際にダンサーたちがいて、生々しい機械音であったり、ステップの音やコーラスの声楽も混在して聞こえてくる。音楽を楽しんでいる雰囲気が実に伝わってくるのだ。

特にノンストップでダンス・ミュージックを熱唱してゆくアルバム「CONFESSIONS ON A DANCEFLOOR」(2005)は何回聴いても飽きないのはなぜか。中でも『SORRY』は大好きなサウンドで、実にすばらしい名曲構成といえるだろう。曲の流れといい迫力あるサウンドでありながら、歌詞が実にまた面白い。

「ごめんなさい」を英語の他にフランス語・スペイン語・オランダ語・イタリア語でリズミカルにしゃべると、終盤では「ごめんなさい」を日本語・ヒンドゥー語・ポーランド語・ヘブライ語でしゃべって来る。マドンナ作詞の歌詞はといえば、女性が謝っているのではなく、どうやら勝手に居候して来た男性側が女性に謝っている場面のようだ。

   聞き飽きたわ
   私は聞きたくもない(*くりかえし)
   知りたくもない
   「ごめんなさい」なんて謝らないで
   もう、聞き飽きたから
   私は
   自分の面倒くらい、自分でみるわ
   -------
   あなたは自分が思うほど、大した男じゃないわよ
   度が過ぎてるから、自分の言葉を慎んで
   私はあなたの嘘と作り話に耳を傾けた
   あなたは自分が理想とする男性像の半分にも達していない
   -------
   安っぽくなるから、言い訳なんてしないで
   この世にはあなたの話よりずっと大切なことがあるの
   私が都合よくしたから、あなたは居続けたの?
   言い訳無用、あなたには一生わからない
   -------
     (訳:湯山惠子/ワーナーミュージック・ジャパン)

男女の別れ話はともかくとして、このCDアルバムに収録された全12曲は乗りまくりダンスフロアでどの曲も個性的だ。『ISAAC』だけが異質な雰囲気となっているが、マドンナ自身がカトリック教からユダヤ教系カバラに改宗して心酔した経歴もあることから、うなづけるメロディともいえる。異文化要素もグローバルなマドンナにとっては何てことない。ヨガにも溺れるし、混沌とした宇宙的カオスにも哲学をしている。カバラ教信徒のようでもあり、崇高な精神や正義を求道する一面もみられる。一方で理解不能なスキャンダルもあれば、フェロモン教徒だのと小ばかにする者もいるようだが、マドンナが創り出す最強の音響価値を知らないから、そうやって揶揄するのであろう。ハイエンドのオーディオで聴くと、音がいいかどうかはすぐに判るのだ。何かを犠牲にしながらクリエイトしてゆくマドンナの音楽世界は、絶品としか言うほかない。これが真実のサウンドなのだから。ちなみに、フェロモンも出ないような女性シンガーには私は興味がない。抜群の美貌とスタイルと、声質のよい豊富な歌唱力と女性の魅力を露わにしてポップやロックをものにしてゆく素直な姿には、実に敬意を感じるのだ。スーパースターの所以もここにある。何百億円稼ごうと、基本路線を忘れない傑れたアーティストだ。


ところで、昨年の2013年に私は室内のオーディオ機器の配置換えをしたので、ここに紹介したい。機器間の接続ケーブルは長年のエージング・サウンドを維持するために抜くような作業はしていない。液晶TVを46型に買い換えたので、その分、ブルーレイレコーダーとの接続ケーブルが増えることになった。AVアンプは相変わらず用いてはいない。すべてがオーディオアンプにつながる。電源トランスの大きさに相変わらずこだわっているのだ。ハイレゾ音源は中高域の音質に特に優れているとは思うが、もちろん低域だってそれなりの音質を確保できるし、理論上は実に秀でた音域を再現してくれるはずである。ところがだ。BDレコーダーBDZ-AX1000のオーディオD/Aコンバーターが192kHz 24bitでオーディオアンプのAU-α907DRの周波数特性(1W)がDC〜300kHzで構成されると、すでにハイレゾ音源はカバーされていて、DTS-HDマスターオーディオ7.1chのBD映画でも観ようものなら、追求する音質はとっくに再現されているようなのだ。ただ、TV側のスピーカーとはΩ値の違いなどもあって、音の位相がずれてしまうのが難点ともなっている。HDMIケーブル接続の信号伝送がピンプラグ接続とは伝送方式が異なるために仕方がない。聴き方や観方によって選択することになるのだ。

オーディオを通したBD映画の鑑賞は、このままではTVの音声出力を消音しなければならない。アンプの音量を優先するのだ。今時のTV側の音声設定では、1990年製のオーディオアンプを使用した場合の調整などは考慮されていない。当然といえば当然なのだが、あくまで今時のAVアンプに接続して映画鑑賞するのが前提なのだろう。それでは名器は使用できないことにもなるわけだが、そこを何とか最善に工夫できるシステムを実は常に考えているのだ。ピンプラグ・オーディオケーブル接続と、3D映画鑑賞のためにハイスピードのHDMIケーブル(ソニー製DLC-HE15XF \6,980)とを両立させて、いい音いい映像で欲深く映画鑑賞や音楽鑑賞したいだけなのだが、大金をかけて作るホームシアターとは訳が違うので、そこそこの身の丈に合ったホームシアターと、長年連れ添って来たオーディオシステムとの融合をポチポチと楽しんでゆこうというわけなのだ。したがって、今はBDレコーダー側の設定で、映画やライブ映像の内容はHDMI出力にして、あくまで映像重視、TV音声は消音、オーディオシステム重視で音声出力するしかないようなのだ。TV背面のHDMIケーブルは抜かずとも、アナログのピンプラグ接続を以ってしても、BD側の音声設定選択があるにもかかわらず、やはりインピーダンス信号の異なる接続は無理難題の課題のようだ。BD側、TV側とも音声設定はあるものの、やはりAVアンプを主体にしなければならないのかもしれない。



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以前の配置とは多少異なっているが、あくまで私にとってはこれでも一応進化なのである。今回はマドンナの音楽世界に絞って追及したいと思っているので、マドンナの続きはまたそのうち書く予定である。

(2014/06/24〜2014/07/08)
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