風景が見える音の世界音楽コレクション 1999-2000ホーム

お気に入り音楽コレクション 2002-2003

映画『FINAL FANTASY』に秘められたサウンド世界
LARA FABIAN (ララ・ファビアン)

文・ 古川卓也


映画『FINAL FANTASY』に秘められたサウンド世界
先日、レンタルショップTSUTAYAでビデオを借りて来た。旧作7泊8日で1本\200である。映画館で観て以来1年半ぶりの再会だった。映画は『FINAL FANTASY』(2001米 106分/原作・監督・製作:坂口博信/スクウェア・ピクチャーズ製作)である。音楽はエリオット・ゴールデンサルということだけれども、わたしが今回ビデオを借りた一番の目的は、音楽でもなく、ララ・ファビアンの哀切な美しいエンディングの歌声でもなく、美人CGアキ・ロスとの再会もあるにはあったが、映画のストーリーでもなかった。今回は映画館で意識的に体感したあの時のすばらしいCG映像ではない。ドルビーSR、ドルビーデジタル、SDDSといった映画サウンドの迫力ある音質効果のクオリティー再現だった。映画館で聴く音響効果よりも、わが家で聴いた音響効果の方が実際に凄まじいので、一体どのくらいのものなのか、『FINAL FANTASY』に期待を寄せてのレンタルだったのである。最近のVFXのある映画には、必ずと言っていいほど、すぐれた音質効果がみられるのだ。もしかして、誰もまだ気が付いていない秘められたサウンド世界があるのでは、と思ったからに他ならない。

ビデオ映画が始まるや、やっぱりスゴイなと思い、期待は的中した。重低音で部屋がグラグラ揺れ始めてしまった。わが家の照明器具に振動が伝わって地震状態になってしまったが、ボリュームの音が割れているわけではない。効果音が映像と一緒にド迫力となってしまうのである。気持ちのよい澄みきったスーパーウーハーの地響きが部屋の空気を濃密にしてしまうのだ。TVが大きな画面のプラズマテレビだったら、映像的にはもっといいのだろうけれども、わが家のオーディオシステムというかマーティンローガンの力というべきか、その音響迫力は相変わらずの凄味であった。シルベスター・スタローンの『デイライト』のトンネル内火災爆風音以来の迫力効果だった。う〜ん、こんなにもお金をかけて製作された、実にいい映画だと思うのだが、世間の見る眼はホトホトに冷めちゃって、興行成績のお金の計算ばかりされて100億円もの大赤字を出したことでスクウェアは映画事業から撤退せざるを得なかったのは、何とも無理解な芸術作品として評価されたものである。少なくともわたしはこの映画の味方である。あまり高級すぎると大衆離れしてしまうので、まあ結果論としか言いようのないものとなるが、米アカデミー賞アニメ部門で今年受賞して快挙を成した宮崎駿の『千と千尋の神隠し』と比較までされては、本当に『FINAL FANTASY』は可哀相な映画作品にされてしまったものだ。

ただ、『FINAL FANTASY』の秘められたサウンド価値がみえるのは、普通のミニコンポやホームシアターのサウンドシステムでは分かりにくいと思われる。やはりハイエンドのオーディオシステムが必要となる。この映画には伊達に制作費が164億円注ぎ込まれたわけではないことは、芸術価値が判る者には判るが、ゲーム価値=芸術価値とはならないのも事実である。製作会社が見誤ったわけではなく、ゲーム会社が商売とは別に高い芸術性価値も持っていることを証明したともいえるわけで、面白さや損得でしか判断できないこの日本社会のひずみがまた、情操や文化レベルをそのまま低下させるような風俗に仕立てて見誤らせていることも認識すべきであろう。作品の価値には面白さもあるにはあるが、あらゆる角度で質感の高さも価値とみなさなければならない。映画『FINAL FANTASY』の高度な質感を享受できる人たちが、今後より多く現れてくれることを願わずにはいられない。名品は必ず後世まで残ってゆくものと信ずる。

(2003/04/25)

TOP


LARA FABIAN (ララ・ファビアン)
ララ・ファビアンのCDアルバム『LARA FABIAN』(2000年 61分 ソニーミュージック SRCS2291)を聴いて、久し振りに感銘した。きっかけはララが歌っている映画『ファイナル・ファンタジー』(2001米 106分)の挿入曲「THE DREAM WITHIN」であるけれども、彼女の他の曲も是非聴きたいと思って、この『LARA FABIAN』のアルバムを買い、全曲どれも価値ある逸品が勢揃いしていると思った。こんなに感動したのは、エンヤ以来14年振りのことだ。10年前にマライア・キャリーを初めて聴いた時も驚嘆したものだったが、考えてみれば25年も前の頃からダイアナ・ロスなどの本物の歌唱力に影響を享けて酔い痴れていたものだから、本物の歌手の魅力を味わうと、自分の人生観まで変わってしまいそうになるから、こういう曲の情感をわれわれが豊かに享受できるのは、本当に人生最高の歓びに出会ったようなものだ。

クラシックとポップスの融合であり、彼女の名曲「BROKEN VOW」には100名ものオーケストラをバックに、まるでイブニングドレスを着せてあげた曲だと自ら語るララ、その美しい歌声はまさに空にかかった虹のようでさえある。強くて、張りがある、どこまでも伸びてしまう歌声は、時にこんなにも哀切なバラードをやさしく小鳥の如く囁くかと思えば、実に優美な語り口で天上に響かせて歌い上げるのだ。ベルギー出身のララは、すでに8歳のときブリュッセルのロイヤル音楽学校に入学し、そこで歌、ピアノ、ダンス、将来プロになるために音楽知識のありとあらゆるものを学び、クラシックの発声法や理論も修学したようである。ベルギー人の父とイタリア人の母とのあいだに生まれたララは、また生い立ちの環境とも相俟ってフランス語、イタリア語を身につけたばかりではなく、そして自ら勉強したのか英語、スペイン語も自然と話し分けられるそうだ。歌と言葉の密接な習得が、長く学んで築き上げた歌唱力の上に、オペラ歌手の片鱗をも備えたポップスシンガーと、自称「声を持つソングライター」(a songwriter with a voice)とが合体して、今まさに世界的シンガーとなりつつあるようだ。アルバム『LARA FABIAN』の全14曲どれも聴き応えがあるが、「YOU'RE NOT FROM HERE」や18世紀イタリアの作曲家アルビノーニの曲に歌詞を付けた「ADAGIO」などは、こみ上げてくるものに思わず陶酔してしまうことだろう。
(参考/CDアルバム『LARA FABIAN』解説・服部のり子)

(2002/03/06)

TOP
音楽コレクション 1999-2000」に戻る
(2002〜2003)
(2010/05/31)





制作・著作 フルカワエレクトロン
Copyright (C) 2002-2010 FURUKAWAELECTRON All Rights Reserved