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         シドニーオリンピック観戦記
        勇者への手帖

     100キロ超級柔道選手・篠原信一よ、あなたこそ正しい世界チャンピオンだ!

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【追記】 解説者・篠原信一さんデビュー
【追記】 篠原信一とYOSHIKI
【追記】 篠原信一選手の引退試合?
【追記】 篠原が笑った!
【追記】 悲しみの聖杯
【追記】 TBS系「ここがヘンだよシドニーオリンピック」から小川直也の正論
【追記】 苦海の天使たち
【追記】 拝啓 山下泰裕様へ (日本柔道界への親書)
【追記】 世界チャンプ・篠原信一の静かなる孤独

オリンピック出場選手はみんなそれぞれのスポーツ競技で自分のベストを尽くして自分の技や力を主張し、精一杯の自己表現と記録を次々に出してゆくが、判定に異議があれば、それをアピールし食い下がって意見を述べ、貫き徹すことも大事である。正義はいかなるものを失ってもそれを最後まで貫くことが本当の勇気であり、また真の勇者でもある。正当に金メダルを獲得したつもりでも、ライバルの相手国の国民から公式の中継ビデオ録画の証拠によっても誤審の批難を受けているかぎり、その灰色にまみれた金メダルをその勝者は首にかけるべきではない。本当の勇者とは、王者とは、ライバルの相手国の国民からも「あなたは強かった」と言わせるだけの賞賛を浴び、納得させるぐらいでないといけない。オリンピックの聖火はただ形だけ燃えているのではない。そこには人類最高レベルのスポーツ競技と祭典の聖域があり、もっともフェアでなければならないのだ。

今大会の柔道100キロ超級で決勝となった日本の篠原信一とフランスのダビド・ドイエとの試合には、最も醜い人間の露骨な野心と欲望を見せつけられてしまった。ドイエが欲しいものは、審判の非科学的な誤審が判っててそれを黙認することで得た円形の金の鋳造品そのものだった。真の勇者ならば、自己欺瞞を捨て、そんな金の鋳造品などIOCに返還すべきである。王者は正々堂々と戦って勝ってこそ、真の王者である。もし、このまま世界チャンピオンとして君臨したつもりでいると、今世紀最後の柔道界の最も恥ずかしい臆病者として、日本国民はドイエにそのような烙印を押してしまうだろう。日本国民の大方は、正々堂々と世界一になった海外選手に対しては、常に心底から賞賛し拍手する国民であるからだ。どのスポーツの選手に対しても、海外一流選手には敬意を払っているのが日本国民の特徴である。肌の色や国籍など関係なく、スーパーヒーローを敬愛する国民なのである。たとえ競技上で順位が悪かろうと、一生懸命正々堂々と戦っている選手には心底からあたたかく拍手する国民なのである。たまたま柔道がお家芸であっても、不正や卑怯は許せないのである。お家芸だからこそ、正道を極めて欲しいのだ。

四角い畳の外で、対角線上に位置する副審2人と正面に位置する主審1人、畳の手前側端(TV画面では右下)のところで「内股」をかけて来たドイエに、篠原はうまく「内股透かし」という得意技で見事にドイエをひっくり返しドイエの背中を畳に付けて1本としたが、この「内股透かし」を見極めたのはその一瞬の様子を手前の表側からじっと見つめていた手前の副審1人だけで(つまり視覚的に見える側だった)、その時、裏側からその動作を眺めていた主審と副審はドイエの「内股」をかけにいった姿だけを見てそれが「有効」に映ったとし、あるいは故意か好意的としか取れない態度で「有効」とし、主審は篠原の「内股透かし」の技を裏側の位置(すなわち死角にあたる)のために不可視となり、その技は単純に「見えなかった」わけであるが、またそういう「内股透かし」という返り技を知識として持ち合わせていなかったことになる。なぜなら「見える」側の副審の判定「1本」の理由をその副審に求めていないからである。後でビデオを見たらその誤審に気が付くだろう。もっとも気が付いて反省しても責任がないという国際柔道連盟(IJF)の「審判規定」第19条で不本意とするかどうかはわからない。「見えなかった」位置のために、その時にこそ「見える」側の副審に判断を委ねなければならないのだが、それを見て判断した手前の副審が「1本」としているのに、その副審を無視して「見えない」側の裏側位置の主審と副審が、なぜか矛盾してドイエの失敗した「内股」の名残りだけを優遇したのだった。

日本国民の大方は、この贔屓的に映ってしまう、非科学的な判定、つまり無茶な主審の独断とルールの特権に終始した、公平公正に審判しない態度に抗議しているわけで、これは将来たぶん柔道界で厳しく糾弾されることとなるだろう。これではオリンピックに聖域がないこととなり、IOCの威信とそもそもオリンピックの趣旨に反してしまい、このことを意見して何かが失われるのを懼れているようでは、これこそ勇者は誰もいないということになる。メダルの剥奪や個人の約束された将来だとか、そんなちっぽけな名声や栄達のために保身をしているようでは、オリンピックというギリシャ伝統のスポーツマンシップを20世紀の最後で失墜させてしまうことを自覚すべきであろう。幸いにもわたしには何も失うものはないので、正しくないことは正しくないとはっきり言っておく。篠原選手よ、真の勇者はあなただ。真の王者はあなただ。正しく組み合って、相手の襟と袖を持とうとするあなたの姿は正しく、自分の弱さから正しく組まずに襟も袖も持たせまいと終始逃げ腰のドイエ選手の姿に王者の風格は初めから無い。正々堂々と組んで競技してこそ、本当のスポーツマンである。篠原よ、泣くな、挫けるな、下を向くな、胸を張って、上を見て、その野人のような風貌をわたしに見せてくれ! あなたこそ真の世界チャンピオンではないか。日本国民のすべては、あなたの真面目な柔道姿勢に誇りを抱いています。

(2000/09/25)

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(2010/10/06)





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