2005.8.10
園内の風景
(夏休みと言うこともあり、子供連れの方が多かったです)


 夏休みに入り、ドライブがてら碓氷峠にある「碓氷峠鉄道文化むら」へ行ってみることにしました。
碓氷峠は、釜飯で有名な『横川』から『軽井沢』へ向かう旧国道18号線の途中にあり、上信越自動車道が開通する前に自動車で軽井沢へ向かうときや、特急「あさま」で軽井沢に向かう際にも必ず通る場所なので、聞き覚えのある人がいるのではないでしょうか?残念ながら平成9年9月30日をもって、信越本線『横川』〜『軽井沢』間は廃線となってしまったので、電車で碓氷峠を越えることはできません。



 信越本線の横川〜軽井沢間は通称「碓氷線」とよばれ、日本一の急勾配66.7パーミル(1km進むごとに66.7mの高低差)があるため、普通の列車では越えることができなかったのです。このため、当初は蒸気機関車を使って急勾配の峠を通過させていました。また蒸気機関車だけでは通過することができなかったため、通常のレールの他に、ラックレール(歯が付いている)と呼ばれるレールを使って、蒸気機関車に搭載された歯車とかみ合わせてその力を用いて通過させていました。この方式はアプト式と呼ばれています。
 その後、蒸気機関車ではスピードが遅いことや煙の問題などがあったため、日本で初めて電化をして電気機関車を使用することでこの問題を解決することにしたのです。使用された電気機関車は急坂を登る為の馬力と、急坂で安全に止まる為の幾つもの機能を持ったものでした。
 アプト式は新線ができたため昭和38年9月に廃止され、昭和41年には特急「あさま」が運行されるようになり、北陸新幹線が開通することを機に、碓氷線は廃線となったのです。現在は、この間をJRバスが運行しています。
また、信越本線は高崎から新潟まであるが、横川〜軽井沢間が廃線されたのと同時に、新幹線と平行に運転する軽井沢〜篠ノ井間は第三セクターである「しなの鉄道」に受け継がれています。

分かりづらい部分がありましたらHP等で調べてみて下さい(簡単に書いてしまったので分からないかな…)。



鉄道展示室には、碓氷峠専用電気機関車である「EF63」や「EF62」、
アプト式電気機関車「ED42」
が展示されているほか、特急あさま号、EF63のシミュレーターがありま
す(有料)。

 特急「あさま号」(JR特急運転士訓練用のシミュレータで、スクリーンは100インチ
あります)…1回2駅区間(約10分)1000円
 電気機関車「EF63」(横川〜軽井沢間の碓氷峠越えを運転体験できます)…1
回(約11分)1000円
鉄道展示室
(実際に検修車庫として使われていた)

アプト式ラックレール
 中央にあるギザギザしたレールがラックレールと呼ばれ、車体の中央に配置されたギアとかみ合わせて急勾配を登ったり、下る際のブレーキをかけたりしていました。
 レールの左側にあるバーのようなものは、急勾配の斜面に架線(電気を送る線)を設置することができなかったため、足下から車体に電気を送っていたのです。この方式は,
現在でも地下鉄で使われています。


特急「そよかぜ」
EF62(マウスを近づけると写真が変わります)
ED42

パンタグラフ(電気の取り入れ口)
(マウスを近づけると写真が変わります)
鉄道展示室の裏には、屋外の展示ス
ペースがあります。


(一部)

ディーゼル機関車 DD51−1
蒸気機関車の後継機として誕生し、現在も日本各地の非電化区間で活躍している車両で、寝台特急から貨物列車まで牽引しています。
荷物気動車 キニ58−1
常磐線(隅田川―平)で使用されていた車両です。荷物ターミナル間の輸送を目的としていたので、車中は広々としたパレット(方面別の集荷コンテナ)輸送に適した荷物室となっています。
一般型気動車 キハ35−901
昭和62年まで八高線で使われていた車両です(行先表示が高麗川になっているのがわかりますか)。


直流電気機関車 EF60−501
九州特急ブルートレインの先頭に立って活躍し
た車両です。形状の面では一般型とほとんど区
別がつかないのですが、クリーム色の特急帯が
特徴となっています。
直流電気機関車 EF65−520
EF60形のあとに作られた車両で、ブルートレイ
ン用と特急貨物用の2種類のタイプがありま
す。こちらは特急貨物用の車両です。
架線保守用軌陸車
(マウスを近づけると写真が変わります)


直流電気機関車 EF58−172
寝台列車の先頭車両として使われていた車両
です。(マウスを近づけると後ろに連結されてい
るオハネ12-29の内部の写真が見られます)
交直流電気機関車 EF30−20
関門トンネル専用機関車として造られ、本州
及びトンネル内は直流、九州側は交流のため
交直切替が車上でできる構造になっていま
す。また海水による塩害腐食を防ぐため、ステ
ンレス車体が採用されています。
直流電気機関車 EF15−165
貨物用の電気機関車で、勾配区間の多い上
越、奥羽線に配備されていた。「999」と書か
れているのは、イベント用車両を牽引するとき
に使われた名残でしょうか?


3等郵便荷物合造客車 オハユニ61−107
かなり古い車両であったので写真を撮ってみました。元々は木造車両だったそうです。内部は、
客席部分と郵便室(写真右)、荷物室に分かれており、郵便室は移動しながら仕分けができるよ
うに仕分け棚が付けられています。(左の写真の上にマウスを近づけると写真が変わります)
蒸気機関車 D51−96
「デゴイチ」の愛称で知られている蒸気機関車で
す。当初は貨物用として製造されたのですが、
旅客列車も牽引し1115両も造られたベストセ
ラー車両だそうです。今でもイベント列車として
使用されるそうです(別のD51車両を動かしま
す)。

 屋外展示を見たあと、碓氷峠の歴史について詳しく解説をした「鉄道資料館」に行きました。1階は歴史体験ゾーンとなっており、碓氷峠の歴史をパソコンを用いたQ&A方式で解説しているコーナーや、本物そっくりに作られた碓氷峠のジオラマの中をHOゲージが走るコーナーもあります(演出運転は一日8回ほど行われています)。2階は開通時の時刻表や機関車の図面、記録写真など碓氷峠に関する史料が展示されています。なかなか見ることのできない機関車の図面は必見かも。

<いんふぉめーしょん>
開園時間 9:00〜17:00(3/1〜10/31)、9:00〜16:30(11/1〜2月末日)
休園日 毎週火曜日(7月下旬〜8月末までは開園)、年末年始(12/29〜1/4)
※火曜日が祝日の場合は翌日が休園日。
入園料金 中学生以上 500円、小学生 300円、小学生未満 無料
(JAFの会員証を提示すると割引あり)
HPアドレス http://www.usuitouge.com/bunkamura/
その他 ・本物の電気機関車の運転体験は予約制となります。
・トロッコ列車との割引セット券もあり。





 鉄道文化むらの見学を終えて、遊歩道「アプトの道」を歩いてみることに。この道は、碓氷線の線路跡を遊歩道として解放しており、「文化むら」から碓氷峠にある「めがね橋」まで歩いていくことができます。また『歩くのはちょっと…』という方のために、碓氷線の線路を利用して峠の湯までトロッコ列車も運行されています(運行は土曜・日曜・祝日のみ)。
 私は時間と体力(?)の都合で、旧丸山変電所まで歩きました。文化むらから約30分で到着しますが、この暑さのため汗だくになってしまいました。途中、トロッコ列車と行き違ったのですが何とも優雅な感じ…乗客の視線はちょっときつかったです。この変電所は、碓氷線が日本で初めて電化された際に作られたもので、機械室と蓄電室の2棟で構成されていました。建物は煉瓦造りで東京駅と同じ構造になっているそうです(と言っても、東京駅のように華やかな感じはありませんが)。昭和38年に新線が開通されたために閉鎖されてから、全く手がつけられていなかったようで平成6年に国の重要文化財に指定されたことで、修復工事が行われ平成14年に現在の形になったそうです。改修工事前の様子は「碓氷峠」について書かれたHPを見るとわかります(yahoo等で検索してみて下さい)。

 遊歩道を旧丸山変電所方面へ
フェンスの左側はトロッコ列車の線路です。路上
に2本のレール跡が、上には架線がそのまま残
っています。
手前が蓄電室、奥が機械室
機械室
(マウスを近づけると内部を見ることができます)

 線路上を歩く歩道は峠の湯までとなりますが、その先も歩道が整備されているので1号トンネル(照明あり)や、めがね橋まで行くことができます。もう少し涼しくなったら最後まで歩いてみようかな?


めがね橋(碓氷第三橋梁)
旧国道18号線を走るとあります。
 変電所を見学して文化むら前まで戻ってきてから、国道18号(碓氷バイパス)を走り軽井沢駅前へ行ってみました。バイパスはカーブも緩やかで走りやすいのですが、大型トラックが走っているので山道に慣れない人にはちょっと辛いかもしれません(でも登坂車線もあり、トラックはこちらを走るのでそんなに焦らずに走ることはできると思います)。夏の軽井沢は渋滞・混雑というイメージがあったのですが、そんなことは全くなくスムーズに進むことができました。ここでお土産でも…と思ったのですが、通り沿いにそのような店が無かったのであきらめて横川駅方面に戻ることにしました。

 駅前(北側)を横川方面に向かう道が旧国道18号線になります。10年ほど前、この軽井沢にある大学の山荘に来たときにレンタカーで走った記憶があります。旧道はかなりの山道で、カーブもかなり多くきついものでした。めがね橋はこの道沿いにあり、付近には車を止められるスペースもあるので、運転に疲れたらちょっと見学ついでに休んでみても良いと思います(ただし、ちゃんとした駐車スペースではないので長時間の駐車はやめた方が良いでしょう)。