高瀬菜穂子議員一般質問(速記録・大要)

2006年12月13日 見出しは編集部


日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、教育問題について、一般質問を行います。


☆「解同」いいなりの同和教育――即刻是正を指導せよ

 まず、筑前町三輪中学校で起こったいじめ自殺事件にかかわって、本県の人権同和教育について伺います。わが党は、先の決算特別委員会で、三輪中学校が、部落解放同盟と一体の解放教育を進めてきた学校であり、教育の中立性の要請から極めて問題であることを指摘しました。三輪中学校の「学校経営要綱」には、解放同盟支部と連携しての「解放子ども会」の運営や狭山裁判の節目の取り組みが位置づけられており、その一体振りは異常といわざるをえません。
 このような同和教育がまかり通ってきたことについての県教委の責任は重大です。私はこの地域で聞き取り調査を行いました。その中で、解放教育は「痛みを知る教育」だといって、いじめや非行を行った子どもを指導せず、逆に被害者に対して「友の痛みを知ろうとする気持ちがない」と反省を迫る、など本末転倒の教育だったことを多くの卒業生が証言しています。また、「家族の自殺」などのプライバシーをクラスの中で公開し、「その生徒の痛みを知ろう」などとする人権侵害の実践も行われていたと聞きました。
 今回の事件で、問題の教師が少年のプライバシーをクラスで公開したことや、言葉の暴力で子どもを傷つけたことが明らかになっていますが、このような対応は、この教師一人の資質の問題ではなく、ゆがんだ同和教育の影響が大きかったのではありませんか。
 私たちは、解放同盟の糾弾やさまざまな教育介入が行われたところで、ものが言えない学校が作られたことを知っています。証言をした卒業生もこれまで沈黙を保っていました。多くの教職員がそのような職場で苦しんできました。県教委は、先の決算特別委員会で、県の方針・国の方針とも異なる同和教育について、全県的な調査を検討すると答弁されました。その後、どのような検討がされたのですか。ゆがんだ同和教育が行われた学校で自殺事件が起こったことを真摯に受け止め、その是正のために実効性ある指導を即刻行うべきです。あわせて見解を伺います。

【森山教育長答弁】

 まず県内の人権同和教育についてでございます。
 ご指摘の点につきましては、県の方針と異なる学校の教育活動があれば、その原因を究明いたしまして、改善に向けて指導をしてまいりたいと考えております。
 また、県教育委員会といたしましては、人権・同和教育を進めるにあたりまして、教育の中立性が守られるべきことはいうまでもないことと認識をいたしておりまして、従来から各学校に対しまして、人権・同和教育の推進と政治運動や社会運動とを区別して、主体性をもって教育にあたるよう指導をいたしておるところでございます。


☆教員評価制度――ただちに中止せよ

 次に、教員評価制度について伺います。
 本県でも、教員評価制度が今年から本格実施になりましたが、クラスで問題が起きれば評価が下がるのではないか、不適格教員になるのではないか、という不安を多くの教師が持っています。多忙な学校現場で相談をすればほかの先生にも迷惑になると感じている教師もいます。その結果、一人で抱え込んでしまうということも起こっています。本来協力して子どもたちに向き合うべき教員がバラバラにされています。
 評価主義=成果主義の導入については、経済産業省の研究会でさえ、「成果主義を導入した結果、人件費は下がったが、労働者のやる気や労働意欲は低下した」とし、「成果主義に構造欠陥」があるとまで警告を発しています。「チームでする仕事なのに評価は個人ごと」「全員が競争相手なので職場がバラバラ」といったことが、成果主義を導入したどこの職場でも指摘されてきました。
 成果主義は教育の現場にはとりわけなじまないものです。教員が管理職の目を気にし、管理職は教育委員会の目を気にする、そうした中では、子どもを中心にした率直な議論や対応ができなくなります。
 先日、北九州市の皿倉小学校で校長が自殺をするという痛ましい事件が起こりました。この校長は、亡くなる前日にも関係児童を訪問するなど、誠実な対応で父母からの信頼が厚かったということです。子どもの金銭トラブルについては教育委員会に詳細な報告をし、委員会と情報を共有しながら対処していたにもかかわらず、新聞報道の後、いじめとして報告をしなかったことを叱責され、「いじめの報告をしなかったのは怠慢だった」と記者会見で体を震わせながら答え、その翌日の自殺でした。この背景について、多くの教師が、学校や教職員への評価システムがあることを指摘しています。管理職に対しても厳しい評価システムの中で、この校長はその犠牲になったのではありませんか。
 教員評価制度は学校現場だけでなく行政との関係もバラバラにすると思いますが、教育長はどのような見解をお持ちでしょうか、伺います。教職員が一丸となっていじめ問題解決などに向き合うためにも、教員評価制度はやめるべきだと考えます。教育長の見解を伺います。

【森山教育長答弁】

 次に教員評価制度についてでございます。
 本年度から導入いたしました人事評価制度は、能力や業績を的確に評価いたしまして、教職員の意欲を高め、自ら資質能力の向上に努めるということによりまして、学校を活性化させて、学校教育への信頼性を高めていくということを目的といたしております。
 この実施にあたりましては、評価者と評価される者との信頼関係とか、評価者の評価能力の向上を基盤といたしまして、意欲を高める面談とか、適切な指導助言を行なうように指導いたしておるところでございまして、今後とも効果的な運用が図られるように、改善に努めてまいりたいと考えております。


☆あいつぐ自殺――教師が子どもに向き合えるよう、教育条件整備を急げ

 次に、本県で続く子どものいじめ・自殺問題について伺います。三輪中の事件以降、本県の子どもの自殺は、報道されただけで4人と、全国でも突出してきます。文部科学省は、2005年までの7年間でいじめによる自殺はゼロと発表していました。しかし、同じ文科省の資料によると、この7年間で公立の小学生・中学生・高校生の自殺は935人にも及んでいます。そこで県警本部長に伺います。この7年間の本県における子どもの自殺者数を小・中・高校別に明らかにしてください。その原因についてもお示しください。同じ7年間で、いじめを原因とした検挙・補導は何件、何人でしたか、お答えください。
 県教委および私学学事振興局は、子どもの自殺件数および理由をどのように把握していますか。いじめによるものはなかったのですか。児童生徒の自殺とどのように向き合い、対応されてきたのか、知事及び教育長に伺います。
 教職員のおかれている状況は大変過酷です。文科省の勤務実態調査でも、持ち帰りや早出などを含めると超過勤務は平均で81時間と過労死ラインを超えています。子どもに向き合いたくても時間的な余裕がない中で、精神疾患の教師も増えています。いじめ問題などの解決のためには、まず、現場教員の切実な声を聞くことからはじめるべきだと考えます。教育長の見解を伺います。
 いじめや自殺の背景に、過度な競争教育があることは、各方面から指摘されています。「何をしても楽しくない」「生きていても仕方がないと思う」と感じている抑うつ傾向の子どもたちは、小中学生の平均で13%、中学三年生では30%という研究結果も報告されています。この問題をぬきに、家庭や学校・教師にだけ責任を転嫁することは許されません。学力テストを導入して平均点を競わせ、高校をつぶして競争を煽ってきた行政の責任こそ問われるべきです。
 知事は、この間、「自殺はいけないんだということを教えなければいかん」と何度も発言されています。しかし、子どもたちは、自殺がよくないことだとわかっていても、追い込まれているのではありませんか。学力テストは、知事が地方分権研究会から持ち込んだものです。三輪中学校では、その平均点を上げることが教育目標になっていました。成績をイチゴの等級で表すなど、競争教育のゆがみが生まれています。自殺者が相次いでいる本県で行うべきは、教育条件の整備であり、教師が子どもたちと向き合える環境を整えることです。県民要求となっている30人学級の実現にこそ予算措置を行うべきだと考えます。知事の見解を伺います。

【麻生知事答弁】

 えー私のほうから、私学の分野におきます自殺の状況でありますけれども、平成11年度から17年度までの7年間、この自殺の報告件数は13件でございます。
 その自殺の理由につきましては、家庭内の問題といった様々な点が指摘されておりますけれども、そのなかにいじめが原因であると特定されているものはありません。
 自殺を防止するにはどうしたらいいかということについて、随分私の言っていることにご不満のようでありますけれども、私はごく大事なことを言っているつもりでありまして、まずやはり子どもたちに自殺はいけないんだと、やっちゃいけないんだということをしっかり教えるということをやらなければいかん、ということを申しあげているんですね。
 それから、学級編制の問題についてであります。
 公立の小学校、中学校におきましては、1学級が40人編制を基本としております。そういうなかで習熟度別の授業、複数の教員によります授業などの少人数指導を行ないつつありまして、学級編制につきましても、このような方法によりまして、弾力的に行なえるように改善に努めてまいります。

【森山教育長答弁】

 次に、自殺の理由とその対策についてでございます。
 文部科学省の調査によりますと、本県における平成11年度からの7年間の公立学校での自殺者の数は、小学校が5人、中学校が20人、高等学校26人、合計51人となっております。
 その理由は家庭の問題など様々でございまして、いじめが原因と確定されているものは、ないわけでございます。
 また、自殺の対策といたしまして、自他の命を大切にする教育を推進いたしますとともに、スクールカウンセラーの活用や電話相談など教育相談体制の充実を図りまして、児童・生徒の悩みなどにキメ細かく対応するよう指導をいたしております。
 次に教職員の超過勤務の縮減についてでございます。
 教職員の健康と福祉の観点のみならず、いじめなどの問題解決の上からも、重要な課題でございまして、これまでも指導の徹底を図っておるところでございます。今後は国の勤務実態調査の結果を踏まえまして、具体的な業務の効率化の方策につきまして、指導・啓発をはかってまいりたいと考えております。また、教育上のさまざまな課題解決にあたっては、現場の声に、より一層耳を傾けまして、教育施策の充実を図ってまいりたいと考えております。

【殿川県警本部長答弁】

 県内の子どもの自殺者数などについて、お答えいたします。
 まず平成11年から7年間の子どもの自殺者数のうち、小学生は5人、中学生は19人、高校生は56人でございます。この80人の自殺の原因・動機につきましては、学校問題25人、家庭問題18人、男女問題8人、健康問題1人、その他28人となっております。
 なお、この期間中、いじめを自殺の原因・動機とする統計は取っておりません。
 次にいじめに起因する事件の検挙・補導状況についてでありますが、平成11年から7年間に8件20人を検挙・補導しております。


☆高校未履修問題――教育委員会の責任の明確化こそ必要

 最後に、高校の未履修問題について伺います。ここに、八幡中央高校が保護者に向けて出した報告があります。「地理歴史のA科目の履修不足という問題が生じてしまいました。このことに気づかなかったのは、不徳のいたすところです。」と書かれています。カリキュラムを策定し、これに応じた教員を要求する立場の校長が「未履修に気づかなかった」などということはありえません。同時に、校長が独断で必修科目を未履修にすることも考えにくいことです。当然教育委員会は知っていたのではありませんか。教育長の明確な答弁を求めます。生徒の成績を偽造するという教育にあるまじき行為を行った責任は、だれがどのように取るのか、あわせて教育長の答弁を求め質問を終わります。

【森山教育長答弁】

 最後に未履修の認識及び責任についてでございます。今回の問題については、校内のチェック機能が不十分であったために、校長がその実態を把握できなかったケースが多く、また教育委員会としても、各学校において適正に授業が行なわれているものと認識しておったところでございます。今後は、関係者の責任を明確にいたしまして、本県教育の信頼回復に努めてまいたいと考えております。


高瀬議員 再質問

 いじめ・自殺問題について再質問いたします。
 本県における2005年までの7年間の自殺者数は、小学生5人、中学生が20人ということです。これは、文部科学省の統計にあわせたもので、県警の統計は暦年になっていて1人違いますが、20人ということです。そうしますと、それぞれこれは、全国の20%、7.6%を占めています。高校生の全国比較はできませんが、警察統計の56人、公立も私学も合わせたところの56人というのは、少なくない数字だと考えます。しかも、原因・動機のトップは学校問題です。この実態について、知事および教育長はどのように受け止められますか。
 本県の子どもたちが、極めて深刻な状況に置かれているということを、私たちは認識しなければならないと思います。
 先生たちは、子どもたちとゆっくり話す時間がないことで心を痛めています。過労死ラインに達するほど仕事に追われていたのでは、子どもたちがそっと悩みを打ち明けるようには、なりません。「自殺はいけない」と何度言っても、これだけでは解決しません。「せめて三十人学級に」というのは緊急で切実な願いなのです。少人数学級の段階的実施に踏み切るときではありませんか、教育長の見解を伺います。
 次に未履修についてですが、校長も県教委も「知らなかった」などという答弁は通用するものではありません。校長は教務や教頭の経験もあり、全国に広がっている情報を知らないはずはありません。また、教育委員会との人事交流もあるのですから、県教委も十分知る立場にあったはずです。答弁はあまりにも無責任です。
 共通教養を身につけるべき高校教育で、必修科目を履修せず、受験競争を優先させ、公文書を偽造したという事件で、事は重大です。ところが、今議会で知事および教育長は「ゆとりで授業時間が不足していた」とか「入試と指導要領にズレがある」などと開き直った答弁を行っています。このような認識こそが不正を生む背景になったのではありませんか。また、多様化という名で高校間格差を作り、受験競争を煽ってきたことが競争を過熱させ、このような事態を生んだのではありませんか。県行政の責任こそ問われるべきです。教育長の答弁を求め、質問を終わります。

【麻生知事答弁】

 いまあの子どもたちの自殺件数について全国比較をした数字をおっしゃられましたけれども、いろんな数字・統計というのは、どのような取り方をしておって、そういう数字になっているのかということについて、よほどよく注意をしたうえで、その出てきている数字についての評価・解釈をしなければなりません。
 従いまして、いま、おっしゃられましたけども、その数字をいま聞きましてですね、ただちにこれについての評価ということを申しあげる段階にはありません。

【森山教育長答弁】

 まず自殺者の数が多い実態についてでございます。
 本県における発生状況は、年度により異なりますけど、前途ある尊い若い命が失われたということは、教育行政に携わるものとして重く受け止めておるところであります。このため、11月に自ら命を絶つことが決してあってはならないと緊急アピールを発したところでありまして、引き続き命の大切さについて指導をしてまいりたいと考えております。
 そしてそのための少人数学級編成の問題でありますけれども、教職員の定数につきましては、効果的な活用が重要でございます。
 本県の学級編成につきましては、1学級40人基本として、各学校が必要に応じて少人数指導が実施できるよう、機動的な教員配置をしておるところでございます。今後も、現行の施策を推進しながら、少人数学級が弾力的に編制できるように引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に未履修問題の責任についてでございますけれども、この問題につきましては、さらに事実関係を究明し、原因を究明いたしまして、学校現場及び教育委員会関係者につきまして、その責任を明確にし、県民の信頼を回復し、必要な対策をきちんと講じてまいりたいと考えております。


高瀬議員 再々質問

 知事は今、「すぐには答えられない」とお答えになりました。この数字は大変深刻な数字だと思います。そして、こうした数字が行政のなかでこれまで把握されてこなかった、斟酌されてこなかったということを逆に言えば示していると思います。
 この数字の持つ意味をしっかりと受け止めていただいて、いま教育現場が一番求めている教育条件の整備を早い時期に行なうよう求めたいと思います。そのことについて、教育長に再度答弁を求めます。

【森山教育長答弁】

 先生ご指摘のように現在、教育の問題につきましては、いじめ・自殺の問題、いろんな問題が指摘をされております。県教委といたしまして、このような問題に学校現場が、やっぱり意欲的に取り組んでいただけるような条件整備について、今後とも、必要な予算の獲得、その他対策の樹立に誠心誠意、最大限の力をもって推進してまいりたいと考えております。