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ソフトボール入門
守備の戦術


アイコン 1塁手、3塁手はベースの前に守る
アイコン

 ソフトボールの塁間は18.3メートル、野球の約3分の2です。ということは、内野ゴロもちょっとミスすればセーフになってしまう。ここに、ソフトボールの緊張感があります。イチローが内野へゴロを打つと、球場が湧きます。間一髪のプレーにみながわくわくします。ソフトボールでは、すべての打者がイチローのようなものです。
 オリオールズの3塁手が、ライン際へのイチローの強打を警戒して、2、3歩後ろに守備位置をとったとき、イチローはすかさず、セーフティーバンドを行いました。当然、今度は3塁手は前に守らざるをえません。次の打席、イチローの打球は鋭く3塁線をぬいていきました。しかし、2度目の守備位置はまちがっていません。どんなに強いあたりが来るとしても、後ろに下がることなく、バンドされてもアウトにできる位置に3塁手は守らなくてはなりません。
 では、ソフトボールにおいて、確実にバンドをアウトにできる守備位置はというと、だいたい、ベースから1〜2メートル前ということになります。これは、野球をやっていた人にとっては、打者との距離が約半分になるというたいへん恐い位置に思えるかもしれません。しかし、ソフトボールでは、それが定位置です。
 さて、レクリエーション・ソフトボールでは、ガンガン打つことが楽しいので、ふつうはベースよりも後ろに守っても大丈夫です。ゴロをとって1塁でアウトにできる位置に守ればいいでしょう。では、そんなとき、守備が深いとすかさずバンドをしてくる抜け目ないチームと対戦したらどうでしょう。これは、相手が、よりレベルの高い試合を教えてくれているのだと感謝して、前に位置すべきです。バントは、ソフトボールにおいて、せこい消極的な作戦ではなく、もっとも攻撃的なプレーのひとつだからです。
 では、ファーストはどうすべきでしょうか。やはり、ファーストもベースの前に守備します。ただし、バントがなされたとき、打球の方向を見て、自分がとる必要がなければすぐに1塁に戻ります。投手の守備が良ければ、1塁線は無理としても、1塁側のバンドは投手が処理できるかもしれません。
 サードはとにかく前にダッシュ、ファーストは状況を見て、塁に戻ります。

 これは、大学の先輩から聞いた話。東京都の大学リーグでわがチームが、国士舘大学と最終回まで1対0とリードするという大健闘をしていました。国士舘大は、日体大と並んで、東京においてはずば抜けた2チームで、同じ1部リーグでも、全然格がちがいます。7回裏、国士舘の選手の目の色が変わったと先輩は言いました。2死2、3塁。ここで、打者はバントをしました。内野手が1塁にボールを投げ、間一髪セーフ。そのとき、すでに2塁ランナーはホームへ向かっていました。逆転ツーランスクイズ。
 ソフトボールにおいて、攻撃におけるバンドと守備におけるバンド処理は、勝敗を分けるひとつの要因ともなります。



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