日本往来・東海道ウォーキング
亀山〜関
(2001.3.24)

■□ 亀山の殿様は見栄っ張り? □■

 名古屋からJR関西線の普通電車に乗って10時55分,品川から数えて東海道46番目の宿場,亀山に着いた.本当は,ひとつ手前の庄野宿から歩き始める予定であったが,あわてて家を飛び出しため地図を忘れてしまい,やむなく亀山を出発点とした.

 亀山駅で「日本往来・東海道ウォーキング」のスタンプを押してから亀山城へ向かった.途中で国道1号線の上を高架で越えるが,高架橋の上からスーパーマーケットが見えたので,昼食用のお茶と弁当を買うために寄り道をした.スーパーの方がコンビニより安く買えるのである.再び,元の道に戻って,亀山城を目指す.道は少し上り坂になっている.池の側と呼ばれる池の手前で旧東海道と交差し,更に進んで,突き当たりを左に折れると亀山城である….と言っても現存する建物は多聞櫓のみだが,これが三重県内で唯一残る城郭建築物となっている.東海道が亀山城のすぐ近くを通っているため,歴代の城主は,参勤交代の大名の目を気にして,城の修繕に余念がなかったという.亀山の殿様は見栄っ張りだったのだろうか?.今は城跡一帯が亀山公園として整備され,市民の憩いの場になっている.ちょうどお昼になったので,ベンチに腰を降ろして,スーパーで買った弁当で昼食にした[11:50].
 先ほど通り過ぎた東海道に戻って,関宿に向かって歩き始める.途中で亀山歴史博物館に寄る.この歴史博物館も亀山公園内にあるので,亀山城から公園の中を通って来る事ができるのだが,そこは,東海道を歩こう…というこだわりで,ちょっと遠回りをした.博物館には往時の関宿を再現した180分の1の模型があり,亀山城の全体像も見る事ができる.
 亀山歴史博物館を後にして[12:18],東海道を西へしばらく歩くと,野村の一里塚に着く[12:39].ここは塚の上に樹齢400年以上の大椋が植えられており,椋の一里塚は全国でもここだけである.今の季節は葉が完全に落ちているが,それでも大樹であることがわかる.一里塚を通り過ぎると,関宿の方から歩いて来た家族連れとすれ違った.この家族連れ以外にも多くの人たちが歩いており,のろのろしていると,追い越されてしまうので,気が付くと,かなり早足になっている.
 国道1号線とJR関西線を陸橋で越えると,大岡寺畷である[13:06].畷(縄手)とは,まっすぐな道のことで,いまでも田園の中を直線状に延びている.昔は松並木があったそうだが,今は桜並木に変わっている.この道中記を書いている今時分(4月上旬)は,さぞ桜がきれいであろう.亀山大橋の下には,広重の絵を100倍に拡大したパネルが飾ってあり,この道が東海道である事がわかる.

亀山城多聞櫓

関宿 東の追分

■□ 往時を彷佛させる関宿のまちなみ □■

 JRの踏切を渡り,国道1号線に出ると,斜め右に入る狭い道がある.これが旧東海道である.すぐに小万のもたれ松がある.関から亀山まで道場通いする小万が,ならず者から隠れるため,身を寄せたといわれる松であるが,現存するのは,とても身を隠す事もできないような細い松である.
 そして200mほどで,関宿の東の追分に着く[13:40].ここから南に行く道が伊勢別街道で,ここの鳥居は20年に一度,伊勢神宮の式年遷宮の際に,内宮宇治橋南詰めの鳥居がここに移されて来る.今風に言うとリサイクルってことになるだろうか?.

 東の追分けから西の追分けまでの約1.8kmが関宿の中心で,往時を彷佛させる町並みが残っている.
 関宿に入って少し歩くと,右手に鈴峰企画という看板が架かった建物がある.よく見ると銭湯の建物をそのまま使っているようで,入り口が二つあって,男,女と書いてあるのが読める.建物の中がどうなっているのか興味のあるところである.ひょっとして番台もあったりして….
 町並みのほぼ真ん中,百五銀行を過ぎた左側に,関まちなみ資料館がある[14:06].ここは昔の町家を公開した建物で,2階へは,引き出しがたくさん付いた箱階段を上がる.2階の天井は低く,頭をぶつけそうであったが,窓からは街道を行き交う人々の姿が見え,宿場の賑わいが聞こえて来るようであった.まちなみ資料館の少し先に関宿旅籠玉屋歴史資料館がある.ここは当時の旅籠で,2階の部屋には夕餉であろうか,徳利がお膳に並んでいた.この2つの資料館を共通の入場券(300円)で見る事ができる.資料館で売っている展示品図録には,2つの資料館の建物や関宿の町並みが,どのように修復されたかが,修復前後の写真を並べて解説してあるので,ぜひ買って読んでほしい.
 宿場を更に西へ行くと地蔵院本堂の大屋根が見える.そして,その背後には鈴鹿の山々が見え,往時の旅人たちは,この景色を見て,これから越える鈴鹿峠の厳しさに,不安な思いを巡らせていたのではないか….私たち現代の旅人は地蔵院前で引き返し,JR関駅から帰路についた.[JR関駅15:00]

鈴峰企画

関宿の町並み

■所要時間:約4時間


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