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               消 費 者
 
原発・円高・経済・政治・何が何だかわからない不透明な時代です。本音を隠しているのか、建前なのか本人さえもわからなくなってきているようであり、とにかく「お金さえあれば、お金さえ儲ければ」のようですね。限度を超えて「売らんかな」と物は氾濫し、国を挙げて景気上昇と消費を喚起いたします。食糧自給率四十パーセントを切るこの国に食べ物は何でもありますし、グルメ消費も相変わらずです。震災だ、不況だ、倒産・リストラ・就職氷河期と言われる割には今年の夏は円高の影響もあってか史上最高の海外ツアーでした。本当に不況なのか、不景気なのか何がどうなっているのかさっぱりわかりませんね。この情報化時代は何でも情報になってしまいます。ニュースとか起こっていることも情報ですが今は「商品情報」が多いですね。テレビも新聞も雑誌も大半が商品情報です。つまり売らんかなの宣伝広告が収入の多くを占めています。それらは売り手に都合の良い商品ばかりです。商品とは「モノ」ばかりでなく情報そのものが商品となります。 芸能界のゴシップ。政界のスキャンダル、就職情報、住宅情報すべてが商品となります。商品ですから人の欲望をくすぐり、売るのに必死です。数年前「食品偽装」「耐震偽装」の問題がありましたが、どの商品も法律にはかからなくても、ギリギリの境目のところで偽装とは言わなくても危険なモノが売られているのかもしれません。何せ売るためには何でもいたします。それが資本主義社会の経済原理と言わんばかりに。 広告を見れば「モノを持つのは良いこと」「金や財産はは多いほどよい」、の宣伝です。 かって今収監中の堀江社長が「人の心は金で買える」と言い世間の顰蹙を買いましたが、それをはっきりと咎める大人もいませんでした。なぜならその言葉に反論できない生き方を私たちはしているのです。相変わらず大量消費、大量生産は良いこと、景気を良くする唯一の道という政治家、経済評論家が多いようです。「消費のススメ」が盛んにされます。国ごと国民からお金を使わせようとしているようですね。六十歳以上がお金を持っているから預金をせずに何とか吐き出させるようにしています。いくらリサイクル、再利用、ムダをなくそうと叫んでも空々しく聞こえてまいります。日本で国民のことを「消費者」と呼ぶようになったのはいつ頃だったからでしょうか。 消費者はモノを買う人です。お金を使う人です。国から消費者と呼ばれるのはご免被りたいと思います。無理矢理に情報に振り回され買わされるのはもう良いのではないでしょうか。 仏教に「悉有仏性」という言葉があります。すべてのものにいのちが宿っているということです。どれだけ今の私たちは景気回復の名の下に消費者としていのちを無駄にしていることでしょうか。「北の国から」の作者倉本聰さんの言葉「人間が本当に生きるために必要なモノ」をよく考えてみる時代でありましょう。今ブータン国の国王夫妻が来日していますが収入が日本の一割しかない国民の九十パーセントの人が幸せを感じられるのは何なのか今日本人が学ぶべきなのかもしれませんね。