『エヴァが目ざめるとき』ピーター・ディッキンソン:唐沢則幸訳/徳間書店(1994)
1998.4.18読了
1998.4.21記
1998.5.5修正掲載


 面白かったことは面白かったのです。ラストの、あの感じも好きです。が、全体的にあと一歩踏み込んでほしかったような気がします。そこら辺、子供向けなので遠慮したのかな? と思いました。子供向けにはえぐすぎる、大人向けにはおとなしすぎる、という印象でした。うーん、ヤングアダルト?('-')

 チンパンジーもよく観察しているな、という感じで(といっても、私はチンパンジーはあまり知りませんが(^^;)、手に取るようにチンパンジーの動きが分かる。そこも面白かったです(^-^)。

 エヴァは薬で感情を抑えられて、ゆるやかにチンパンジーである自分を受け入れることができるのですが、それはやはりチンパンジーと共に育ったエヴァであるからこそ、ということが後に分かります(;_;)。でも、それでも、もうちょっとエヴァにはパニクって欲しかった・・・(^^;。その点は、ママの反応でもフォローされているんですが、・・・もう一歩!!(~^T)g

 どうせなら、人間からチンパンジー社会に溶け込むまでの過程を、単なる上から下へ降りるというような描写にせずに、もっと異質な物への移行として書いてほしかった。もっと驚きをもって挑んで欲しかった。なーんか、ニンゲン様だよね、最後まで(--;。

 もう一つ、気になったのは、「ここはちょっと足りないぞ?('-')」と思う点に、あまりに完璧にフォローが入る所です(^^;。"できすぎ"なところが、この物足りなさを誘うのではないか、と思うくらい。"できすぎ"ってのは誉め言葉にはならない、ということを実感。作り物めいていて、うーん(--;。

 グロッグにも、もうちょっと破天荒なことを期待したりもしたのですが・・・(^^;。でも、最後で**ったそうだから、許す(--)b<をいをい。

 全体的に「西洋のキリスト教の国のお話だなぁ('-')」という感想を抱いてしまい(ってタイトルからしてそうなのですが(^^;)、キリスト教的な考え方があまり好きではない私は、ちょっと反発してしまったのかもしれません(^^;。それでちょっとモヤモヤしてしまいました。

 そこそこ面白いのですが、今一つ共感できませんでした。残念。


ざ・ぼん