21世紀に入ったドイツ。ニュルンベルク音楽大学のヴァイオリン科に勤めるテオは、同僚からある相談を持ち掛けられた。同僚の友人の音楽雑誌の記者がブエノスアイレスで録音したオルガンの演奏を、学生時代ルームメイトがオルガン科であった伝手で、専門家に評価してもらえないかというものだった。しかしテオは、ルームメイトのヨーゼフが彼の運転する車の事故によって半身不随になり、やがて行方不明となって以来、親しかったヨーゼフの師・ラインベルガー教授ともオルガンとも縁遠くなってしまっていた。が、この依頼を受けたことからテオの運命は再びオルガンへと引き寄せられていく。
録音されていたハンス・ライニヒという無名のオルガニストの「完璧」な演奏、ラインベルガー教授の不審な行動、突如起こる殺人事件、そしてハンス・ライニヒとの邂逅。後半がらりと音を立てて変わる物語の様相には、思わず引き込まれてしまいました。新幹線で一気読みできて良かった。
言ってしまえば悪魔談のようなもの、なのかもしれませんが、この真相というやつがもうツボ!!(*'▽'*) まさかこうも大胆にヤられるとはお釈迦さまでも気がつくめえ!とか思ってしまいましたが(ある程度そういう方向性だろうとは思いましたが、まさかここまでずぶりと……)、「音楽」だとか、「オルガン」だとか、「伝統的な楽器」の話が延々と続くせいでクラシカルな印象があるだけで、実は21世紀だったんですね、舞台は(^^;。このことは親切にも何度も念を押されるのですが、とにかくクラシカルで荘厳な雰囲気と展開とのギャップが衝撃的でした。
読み終わった印象は、「これSFじゃん('-')」。尤も、私は科学的考察とは最も縁遠い人間ですので、かなりいい加減ですが>SFの定義(^^;。
#雰囲気雰囲気(*'▽'*)。
ついでに私は音楽に関しては全く無知です。バッハ、と言われて一曲もメロディが浮かばない〜(;_;)。本にも音楽用語が満載なのですが、そこはそれ、メカ物を読む時と同じく「雰囲気雰囲気(*'▽'*)」で読み切ってしまいました<いいのか〜(--;。うーん、やっぱりサントラが欲しいな、この本(^^;。
ともあれ、人は誰もが「幸せ」になろうとするものです。望む幸せの方向性をどこに求めるのかによって、様々な制約や、それに対する不幸や対立が生じるわけですが……。
ああ、どこまで書いていいんだか……(^^;。とりあえず以下はネタバレ。
ネ
タ
バ
レ
警
報
ラスト。彼にはやっぱり死んでもらった方がすっきりしたかも〜(^^;と思った私はかなりの根性悪でしょうか(--;。てっきり『スーホの白い馬』のようになるのかと思いきや……。
でもあの180度ぐわんと振り回されるような急展開にはハマりました(*'▽'*)。