めぐみのにっき
九月第三週十三日(月曜日)から九月十九日(日曜日)
「歌」と内容は必ずしも関連していません(笑)
せっけん王国へゆく
めぐみのにっき/先週の日記/9月のにっき
9月13日
呼び慣れし かの名を聞くや 雑踏に
振返れども かの人はなく
今日は、仕事の帰りに
切らしてしまったコーヒー豆を買いに行った。
少し濡れたアスファルトに
夕焼けの空が映っている。
その店には、よく彼と通っていた。
へそ曲がりな私はネルフィルターで立てるのを
ずっと日課にしていた。
高校生の時に、偶然読んだ探偵小説の中で
ずっと使い込んだネルフィルターでコーヒーを立てるシーンがあって
とてもかっこいいなって思った。
お調子者の私は、次の日に買いに行き
ネスカフェを牛乳に入れて飲んでいた父と母にも
無理矢理、朝のコーヒーを飲ませた。
浅煎りのコーヒーは香りは良かったけれど
今考えれば、決して美味くはなかった記憶がある。
それから、少しづつではあるけど、美味いコーヒーを
入れられるようにはなっていった。
フィルターはちゃんと手入れをして馴染んでいったし、
私の入れる朝のコーヒーは家族にも溶け込んでいった。
その彼と付き合いはじめて
私は、もう一つフィルターを買って彼の部屋に置いていた。
そして、時々彼の為に朝のコーヒーを入れていた。
毎日コーヒーを入れる日が来るような気も二人ともしていたし
少しそんな話しもしていた。
ちょっとした記念日があって
二人で小さなレストランへ食事に行った。
デザートと一緒に出てきたコーヒーがとっても美味しくて
私たちは無理矢理その豆を売っているお店を尋ね
次の日にそのお店で3種類のブレンドを買ってきた。
それから、何度もそのお店へ二人で行き
二人だけのブレンドも作ってもらえるようになっていた。
そして、私の家に事件が起こり
彼とは別れて
私は今の仕事をするために家を出た。
それから2年以上経つのだけれど
私はずっとそのお店で、そのブレンドのコーヒーを買っている。
その頃のフィルターはもうとっくにだめになってしまった。
彼の家に置き去りにしたフィルターは
その後どうなったのだろうと
少しだけ思ったりしたこともあった。
コーヒー豆の袋を抱いて
駅に急ぐ道で、彼の名前を呼ぶ声を耳にし
思わず私は振返る。
そこに彼がいるはずはなく
その時間が戻って来るはずもないのに。
9月14日
指をおりて 楽しき事と ゆく日々を
かぞへしままに 今日のとばりや
駄菓子を買いにいった。
両親と私は明日温泉にゆく。
旅行に持ってゆくおやつを考えていて
突然頭の中が駄菓子でいっぱいになった。
景色の流れる車窓を背に
私たちは、麩菓子やソースせんべいやすももを食べている。
お茶は缶入りでも保温ポットでもなくて
キャンディキャンディの絵のついた
プラスチックの水筒だったりして
その蓋で回し飲みをしたりしている。
私が小さかった頃のおやつは
駄菓子屋さんのお菓子がまだまだ多かった。
近所のおばさんがやっている店で
「むき」や「水くじ」や「ひものくじ」で
何故かその日に食べたくないお菓子ばっかり
当たっていたりした。
最初から、ガラスケースに入っているお菓子を買えば
好きなのが食べられるのに
大きなお菓子の詰め合わせや
なかなか当たらないいちご味の飴ばかりねらって
ソースせんべいが一枚だけだったり
固くて顎が痛くなってしまうイカのゲソを咥えて
とぼとぼお家へ帰っていった。
時々は頂き物のおまんじゅうやカステラがあったりもしたけれど
おやつって言うと
おいもとカリントと白玉と駄菓子だった。
いつまでもそんな毎日が続くと思っていた。
大人になってお嫁さんになって
自分の子供には
ケーキやクッキーをいっぱい作っておやつにしてあげるっていう
ちょっとした夢も持っていた。
何種類かの駄菓子を買って
両親の好きなお菓子を百貨店で揃え
私はくじを作ってみた。
ひいてもらうくじは、必ず両親の好きな物が当たる
細工がしてある。
時にはいんちきの当たりだってあってもいいよな
って思ってみたりする。
9月15日
「きみお@健康少年様」
に書いて頂いた
「代打日記」<=くりっく
です!!
私のあっこは、あまり深くないっす(爆@詳細は本文参照)(^o^;;;
痩せたし<=ほんとか?
証拠は今週中に衝撃の画像掲載予定!(予告@笑)
って、お友達にリモコン付きデジカメ借りました。
なんとCAMEDIA C-2000 Z だ!
画像付き温泉日記(笑)アップ予定です.
って事で股は足だ<=また明日だってば<=こらこら!(^o^)/~~~
9月15日
晴れたるを のぞみて吊りし 人形の
雨に濡しも 心はずませ
朝起きると雨が降っている。
テレビをつけると、なにやら台風が上陸していて
豪雨だなんて言っている。
ありゃりゃ・・
せっかく「照る照る坊主」吊っておいたのに・・・
ちょっとがっかりしたけれど
がっかりの気持を旅行に連れていってもしかたない。
少し濡れてしまった照る照る坊主を
軒から外して、神棚の横の本棚の一番上へと移した。
「頑張ってみてっ!」
もう一度頼んでみて
私は家を出た。
駅までの道では、靴に水が染み込む程の雨が降っていた。
鐘ヶ淵の駅で両親と待ち合わせて
おばぁちゃんの病院へお見舞いに行った。
やっぱ15日はお見舞いに行きたかった。
それからターミナル駅へ行き
温泉へと出発した。
ちょっと心配なのは
最近少し足が弱って来た父が
濡れた道で滑ったりする事だ。
雨が残念な気持ちは、両親の嬉しそうな顔を見たら
吹き飛んでいってしまった。
私だって、雨でも楽しめる場所やスケジュールを
実はいっぱい考えていたりする。
9月16日
車窓より 見へたる 見慣れし かの街も
見交わす瞳に 彩り変わりて
お蔭様で楽しい旅行でした。
とってもとっても楽しかったです。
思い出はちょっと取っておいて
そのうち、書いてみたいなとは思っています。
今は、私の胸の中で
一つ一つのシーンが、とっても鮮やかで
そして例えようもない色彩の中で踊っているので
言葉に出来ないようです。
そんな訳で、今日はこの気持ちを込めて
っつうか
「ばばぁ疑惑」
あるいは
「風呂のお湯の減りが早いソープ嬢疑惑」(^^;;;;
@代打日参照
に応え
画像でもご覧ください(笑)
但し
「食事中の方」
「不快時の方」
「めぐみに何らかの期待を若干でもされている方@自爆」
そして
「18才未満の方」
はご覧にならない方が身のためです(笑)
一切責任なんか取るもんか!<=こらこら
(申し訳ありません。事情により画像は削除させていただきました)
9月17日
お土産の 包みは開きて 秋の香の
風に揺れしや 想いを残し
お土産はお魚の干し物だった。
ってうちの猫へのお土産だ。
私が食べるぶんとは、別の包みにしてもらった。
温泉へ出掛けるためにドアを開けた時
なにやら荷物の多い私を見つめて
ちょっと不安そうだったりした。
うちの猫は完全な家猫なので
普段はドアを開けても、外に出ようとはしない。
喉を鳴らしたり、小さく短く
「にゃっ」
と鳴くことはあるのだけれど
ほとんど無口な猫だ。
昨日遅くに、私はいつものように安普請の階段を
ぎしぎし音を立てながら昇ってきた。
「にぃやぁーーん!!」
とお風呂場の窓から大きな声が聞こえる。
あららら
一応、動物は禁止のアパートなので
だだだだだっっと階段を昇り、お風呂場を覗き込むと
せまい窓枠の処にでかい体を乗っけて
もう一声
「にぃやぁーーん!!」
と鳴いた。
鍵を出してドアを開けていると
どどどっと走る音がして
ちょっと開きかけた隙間からするりと出てきて
背中を丸くして足にすりすりしてくる。
部屋に入った私は
頭を思い切りぐりぐりしてお腹も思い切り撫でてみる。
お土産をくんくん匂っていた猫は
中から出てきたお魚見て
ぱっと
嬉しそうな顔になり
焼きあがるまでの間、お部屋をぐるぐる駆け回ってから
きちんとお尻を降ろして食事を終えた。
お土産を結んであった紐と少しじゃれながら
一日ぶりに一緒に眠る
私と猫は
ちょっと違う夢を見ながらなのだけど
きっと微笑みながら眠っていたのだと思う。
9月18日
見慣れしも 通いし道の そこ ここに
あるを知らずや 心閉じし日
何か茶色い物が いつも通る道に落ちている。
良く見ると、栗だった。
ちゃんといがに入っていて
少し口がはぜている。
見上げると、その上には塀から少しはみ出した
大きな栗の木があって、たくさんの実が枝々に付いていた。
無造作に拾おうとした私は
いがの痛さに驚いて手を引っ込めた。
こんなに、尖がっているもんなんだなぁ・・・
私は、なにか関心してしまった。
浅草育ちの私は
実は、実っている栗を見るのは初めてなのだ。
この道はもう2年以上ほとんど毎日通っているし
同じ季節を迎えるのも3度目だ。
香立つ春の木蓮や、
これから目と香りを楽しませてくれる金木犀のあるお庭は
憶えているのだけれど
軒より上に枝を張っている、栗の木には今日まで気が付かなかった。
花の季節はいつも花粉症だしな。
元気がないときの私は
足元だけを見ながら、なのにしょっちゅう躓いて
駅に行く事や、お家に帰る事だけを考えて
ぽこぽこ歩いている。
少し視線を上げて歩いて帰ってくると
無花果や柿も実っている庭を見つける事ができた。
近所の空き地にいる当歳の猫の兄弟も
小猫から少年へと少し姿を変えていて
座り込んだ私に近づいて来て
初めて頭を撫でさせてくれた。
楽しい事がないんじゃなくて
楽しく思えていなかったんだな。
今日もまだ甘えモードの猫が膝に手を置いている。
ぷにぷにした肉球の感触を楽しみながら
何通かのごぶさたのお詫びのはがきを書いて
今日は眠る。
9月19日
鮮やかに 浮かびきたるや 微笑みも
姿も潔し 娘なりし日
今日お相手したお客様のお一人は
成田空港から直接お店にこられた。
1週間程の出張だったそうで、お土産を頂いたりした。
綺麗な絹のスカーフで
ブランド物ではないのだけれど
とても気にいってしまった。
「これ、”コモ”で買ってきたんだよ」
ご存知の方も多いかも知れないが
”コモ”って言うのは北イタリアの湖で、避暑地として有名な場所だ。
ミラノから近い事もあり、湖畔や小高い山に向かって有名なデザイナー様の
別荘なんかがいっぱいあったりする。
偶然なのだけれど、私はこの場所にちょっと心の傷むって言うか
なんとも言えない思い出があったりする。
私はハワイにもグァムにもと言うか海外旅行に行った経験がない。
ところが何故か、ミラノには実は数度行っている。
実は仕事で行った事があるのだ。
しかし
出張ソープに行った訳でも、援助交際で同伴したのでもない。
その頃はなにせまだ処女だったのだから。
まぁ、なんの仕事で行ったのかはちょっと秘密って事にしといて
ドウモの近所にあるホテルローザを定宿にしていた。
けっこういつもスケジュールがびっちりだったので
観光にはまったく縁が無くって、名所なんて全然行った事がない。
歩いてほんの5分もかからないミラノの象徴ともいえる
ドウモ(大聖堂)にさへ、入場した事がない。
そんな中、一度だけ某デザイナー様のパーティーがあって
コモに泊まる事になり、しかも次の日が半日空いたのだ。
小高い山にはケーブルカーがかかっていて、とても景色が良いって聞いていた。
北にはアルプスが見えて、南には箱庭の様に、湖と端正な建物達が見える。
そして、山頂に看板と言うか掲示板みたいなのがあって
そこにサインしてくるとちょっと良いことが起こったりするっていう。
朝早起きをして、一人でケーブルカーに乗り
駅からまたかなり歩いて山頂へとたどり着いた。
景色はとっても素晴らしかった。
掲示板には、けっこう日本語のサインもあるのだけれど
ほとんどは、相合傘か、「**参上」系ばっかりで、しかも下手くそな字ばかりだった。
私は一応書道は三段(雪心流)なので、筆ぺんを数種常備していた。
っていうか、毛筆でサインするとけっこう受けたりするのだ。
精神統一して私は一気に書き上げた
「快楽主義万歳」
なんとなく頭に浮かんだ言葉がこんな言葉になってしまって
今考えると情けない。
ところがどっこい、
それを横で見ていらした上品な老年の御夫婦に拍手をされてしまった。
そして、その文字の横にお二人で並ばれて、私がシャッターを押した。
イタリア語なので何をおっしゃっているか良く判らないのだが
「ブラボー」って言うのと旦那様がお持ちになっているスケッチブックに
同じ文字を書くように頼まれている事は理解できた。
スケッチブックには御夫婦のお人柄を偲ばせるような
柔らかい線と色使いの、ラフスケッチの風景が何枚も描かれている。
私は英検2級の(笑)実力のすべてを振り絞って
他の文字の方が良いとお伝えしてみたのだが
この文字と同じ事が大切だとおっしゃっているようだ。
私は心を決めて
スケッチブックに、もう一度筆を振るい
住所を書いたメモを交換し、ぺこりとお辞儀をして
握手の後でお別れした。
それだけのご縁だと思っていたのだけれど
なんとその冬にクリスマスカードを頂いた。
もしフィレンツェへ来ることがあれば連絡するようにと
電話番号までお書き頂いて写真も一枚同封されていた。
私はNEWYEARSカードをお送りして
年に1度のカード交換は今でも続いている。
そして、その写真には
知的で本当に温厚そうな御夫婦の笑顔の背景の壁に
完成された素敵な御自作のパステル画に混じって
「快楽主義万歳」
とういう私の書が額に入って飾られていた。
今でも私は心の中でお詫びをしながら
日本人の来客がないことを、密かに祈っている。
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