ラウンドアップ耐性大豆の
検出キットの使用方法について
解説:河田昌東


 これは米国ネオジェン社のラウンドアップ耐性大豆検出用キットである。原理は、免疫クロマトグラフィーという手法を簡略化し、現場で迅速に検出できるように改良している。

(1)
検出するのは、モンサント社のラウンドアップ耐性遺伝子の作るCP4EPSPSタンパク質で、遺伝子の存否を直接測定するものではない。また、モンサント社のラウンドアップ耐性作物でも、GA21形質(トウモロコシ由来の耐性遺伝子mEPSPS使用)は検出できない。
(2)検出感度は正規の検出方法に従えば0.1%、即ち、非組換え大豆1000個にラウンドアップ耐性大豆1個が混入していれば検出可能である。100粒相当の重さの大豆試料を使えば、検出感度は1%になる。
(3)大豆加工品でも検出できるが、味噌、醤油、油、豆腐などでは使用できない。煮豆など形のあるもの、加熱や加工程度の少ないものでは検出できる場合があるが、結果の解釈には注意を要する。なお、納豆菌は組み換え遺伝子を持っていないが、ネバネバの中に検出用抗体と反応する成分があり、擬陽性となるので使用できない。試験紙のメーカーは加工品での使用を想定していない。
(4)大豆以外でも、CP4EPSPSタンパク質を含むラウンドアップ耐性作物では検出可能だが、GA21形質(mEPSPSタンパク質)でないことを確認する必要がある。

*注意:試験紙は、必ず“室温”で保存すること。

検出方法
(4−1)
大豆100個の重量を測り1個平均の重さを算出する
(4−2)
1000個相当の重量を計り取り、ミキサーなどで粉砕する。丸のままの大豆が残らない程度に粉砕できればよく、微細な粉末にする必要はない。
(4−3)
大豆重量の4倍量の水(蒸留水又は精製水があれば良いが、なければ水道水でもかまわない)を加え、5分程度静置する
(4−4)
上澄み液約1mlを付属の試験管に入れる
(4−5)
試験紙を挿入し10分おく。挿入する試験紙の上下(矢印)方向を間違えないように注意する
(4−6)
試験紙の中央部分の上方に赤い標準線が一本現れる。これは、検出自体が正常かどうかを確かめるもので、非組み換え体でも必ず出る。標準線が出なかったり、異常に色が薄かったりしたら、この試験紙が劣化しているか、あるいは検出用の液に塩分など妨害物質が混入している疑いがある
(4−7)
検体にラウンドアップ耐性タンパク質(CP4EPSPS)がある場合は、標準線1本とその下に赤い基準線がもう1本現れる



基準用−@
添付されている非組み換えの国産大豆(大豆トラストの大豆)1粒を、薬包紙に包み、ペンチなどで強くつぶす。それを試験管に入れ、水を0.5ml加えて蓋をし、良く振って静置する。5分後に試験紙を挿入し、10分おいて観察する。試験紙の中央部分の上方に赤い標準線が1本しか現れず、CP4がない時の基準となる。
基準用−Aモンサント社のラウンドアップ耐性大豆1粒も@と同様に処理する。標準線1本とその下に赤い基準線がもう1本現れる。試験で、CP4がある場合は、この基準線の位置に線が現れる。

注意 ラウンドアップ耐性大豆をつぶした後、ペンチ等はよく洗浄する。