和歌山県東牟婁郡那智勝浦町色川 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町

 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町といえば、熊野の連山、古道と海。人の心をひきつけて放さないような、とにかく奥の深いというか、すべてを包み込むというようなところで、ぼくにとっても第二第三のふるさとともいうべきところ。

 そんな那智勝浦町の山奥の色川地区はかつて銅山で栄えたところだけれど、それが戦後まもなく閉山されてからというもの、過疎が進むこととなる。閉山以前は3000人以上の人口で、映画館まで完備していたとのこと。ちなみに現在の人口500人足らず、小・中学校が一校づつという状況。その人口のうち130人(39家族)が色川への新規入植により占められている。

 そんな入植者のなかで、積極的に農業をしてゆこうという人たちが集まり、『由(ゆい)制度』を作ろうとしたのが、現在の共同畑研究会で、8家族で構成されている。おもな共同作業は、田植え、稲刈り、茶畑や梅畑の管理ほか。作業所も共同のものがあり、農機具などの機械類、生産した梅ぼしの保管。冷蔵庫や厨房設備なども備えている。



 共同畑研究会の各メンバーの色川への入植のきっかけはいろいろだけれど、いずれも共通して言えることは自然あふれる山里のなかで『農』の生活をしたい、ということだと思う。おそらく入植を希望して色川を訪れる人はみな、その熊野の自然に魅了されてしまうのだろうと思う。ただ、そこでの暮しを夢見るのと実際とでは大きなギャップもあり、いったん入植したものの挫折してしまうという例もないわけではない。

 そういった失敗を防ぐ意味で、『籠ふるさと塾』という廃校を改築したりっぱな施設が用意されている。そこでは入植希望者が、各農家で農業実習をしながら土地家屋をさがしたり、ここで暮らしていけるかどうかを見定めるまでのしばらくの期間生活することもできる。

 共同畑研究会とのお付き合いは、もう6年以上になる。当初、ある共同購入会を主宰してみえる方から、梅の生産者を紹介していただいたのが始まり。以後、毎年天下一品の梅を「これ以上はない」という品質の梅をめざして、梅畑の管理から収穫までをお願いしている。よい梅を毎年収穫するためには、梅の木の剪定作業、下草刈と結構な手間がかかる。それにプラス、梅が完熟するのを待って手摘みで収穫するという念の入れよう。おかげで品質は最高。

 さらに3年前より、共同畑研究会では梅ぼし作りまで手がけている。その中心的役割を果たしてくださっているのが、平岡靖敏さん昌子さんご夫婦(yas-h@shi.cypress.ne.jp)。平岡さんは東京から58才での入植(今年で7年目)。普通は『隠居生活』と思いきや、エネルギッシュな行動力で他の共同畑研究会のメンバーを引っ張るほど。

 共同畑研究会としての生産物は、米、お茶、梅(ぼし)と、旬の野菜、あとはメンバー個人個人が、思い思いに生産している(お菓子などもあります)。それらのものは『なっぱの会』という宅配システムで、勝浦や新宮市の消費者に供給されている。

 それぞれのメンバーがそれぞれの強い個性をもちながら、お互いが協力し合いながら生活し、それを将来へつなげてゆくという、苦もあり楽もあり、けれども非常に意義のある事を実践している。というのが色川・共同畑研究会なのです。


  わたしたちはおいしい梅ぼしづくりのために、
昔ながらの方法で梅を育て、世話をし、そして収穫しています


ひとことで完熟手摘みといっても、これがけっこうたいへんな作業なのです。

梅は品種によって熟す時期がずれるため、一気に全部の梅を収穫してしまうわけにはゆきません。何回にも分けて、左の写真のように収穫します。
樹上で完熟したものがいちばん充実していて、味もよい。
そんな実を漬ければおいしいにきまっていますよね。
知ってますか。そんな梅を漬け込むと、すごくフルーティーなかおりがするんですよ。

梅の作業ばかりでなく、けわしい山間での農作業全般で、特に共同でないとはかどらない仕事などを中心に、みんなでたすけあっています。

さらに、次の世代につなげる『農文化』の創造という命題もわすれてはいけません。

次の世代とは、彼らの子供たち、そして、都会から移り住んで来ようとする若者たちのことです。
共同畑研究会のメンバー。竹内さん、原さん、平岡さん、城さん、蜷川さん



 和歌山県那智勝浦町色川(いろかわ)。紀勢本線、勝浦町から30分ほど山奥に入ったところ。このあたりは、日本でも一番降水量が多く、黒潮のあたる温暖なところ。 南斜面の山腹のため、冬も温かく、水はけもよい。まさに、 梅の産地としては最高の立地条件といえましょう。
おいしい梅ぼしをつくるために   

梅の木で完熟した実を...

キズがつかないように手摘みにして 間をおかず水洗い、あく抜き...

たっぷりの赤しそを使っておいしい自然塩で漬けこみますそして、土用の天日干し太陽のエネルギーいっぱいのヘルシー梅ぼしをどうぞ



新しくできた作業所のまえで

というわけで、共同畑研究会のみなさんが収穫と漬け込み、天日干しの全部の作業をしています。

これ以上、おいしい梅ぼしをつくる方法は、これよりほかにはありません。

最高の梅ぼしを、ぜひ味わってください。

98年、神奈川から色川に入植した益子さん夫妻です。
 共同畑研究会   
ここ勝浦町色川は、山村の過疎対策として、『農』を志すひとたちへの門戸を開き、多くの入植者を受け入れています。その歴史は30年ほどにもなり、多くの有機農業者が色川の『農文化』の担い手としてがんばっています。

農業の形としては、梅のほか畑作、稲作、お茶、養鶏、パン作りなどとさまざまなものが考えられます。

共同畑研究会のメンバーは、それぞれ個性豊かな『農』を実行していて、そのなかで、共同すると効率のあがる作業や技術交換などと、お互いの向上を目指しています。

NHK教育TVのETVでも紹介されました。『新しき村』を展開している人々なのです。
左より、平岡さん、竹内さん、蜷川さん、大田さん、益子さん。
中央前は道長女房。


平岡さん夫妻
共同畑研究会の梅畑と梅ぼし作りは、このふたりが中心になって運営されています。
平岡さんは、東京都から、家業の板金業を引き払って色川へ入植。
今年で9年目。共同畑研究会の中では最年長ながら、精力的な活動ぶりにはおどろかされます。
「現代農業」にも紹介されました。

  連絡先: 649-5451
 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町口色川笠松
平岡 靖敏
TEL: 0735-56-0345
Eメール:uvbu7tab@za.ztv.ne.jp


竹内さんとむすめ(真央ちゃん)