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その2 フォントの指定

    <FONT FACE="MS ゴシック">

    …………ホームページの内容文章……………

    </FONT>


 小説を公開していらっしゃる方の中には<FONT FACE="MS ゴシック">という指定をしていらっしゃる方がよくいらっしゃいます。ホームページ作成ソフトで簡単にできる指定なので、使ってらっしゃる方も多いのでしょう。実際、この指定を入れると入れないのとでは、明らかに読みやすさが違います。特に一文節の長い小説は、これを入れた方が字面が揃っていて見た目も美しい。


 普通、Windows上でホームページを見る時、フォントの指定がない場合は"MS Pゴシック"というフォントで表示されます。"P"がついているのは「プロポーショナル」という意味です。
 たとえば"i"という文字と"W"という文字は横幅がずいぶん違いますね。この二つの文字を並べた時、同じ横幅で表示されたら、何となく行がすかすかに見えてしまうでしょう?そういう事がないように、横幅の広い文字は広く、狭い文字は狭く表示するのがこの「プロポーショナル」という意味です。
 雑誌なんか気をつけて見て下さい。みんな「プロポーショナル」の文字のはずです。


 さてこの「プロポーショナル」、文字が英文字(半角文字)の時はそれなりに綺麗に見えるのですが、日本語だとちょっと問題アリなんですね。ご存じの通り日本語はかな・漢字・記号が入り交じったとっても贅沢な文書なので「横幅が狭いからちょっと詰める」と「何となく窮屈」に見えてしまう事が多々あります。特に句読点("、"や"。")が詰まって表示されてしまうので、文章の区切りがぱっと見て判りにくい。特にインデントなしの画面一杯のベタ打ち文書だと、それをひどく感じます。
 "MS Pゴシック"というフォントのせいかもしれませんが、正直「読みにくい」です。
 そこで<FONT FACE="MS ゴシック">という"P"の付いてないフォントを指定するワケです。


 "MS ゴシック"は"MS Pゴシック"と違って"i"と"W"を同じ幅で表示します。だから"。"という文字と"龍"という文字が全く同じ幅で表示されます。書籍の小説で縦書きになじんでいる人ならば、こっちのが断然読みやすい、と思うはずです。
 さてこの"MS ゴシック"のMS、何の略だと思います?判りますよね。そう、マイクロソフトの略です。ということは…この"MS ゴシック"、Macで表示できるの?
 答えはNO。<FONT FACE="MS ゴシック">と書いて「みんな同じ幅の文字で表示してね」と言っても、そんな名前のフォントを持っていない機械には無理なお願いです。
 幸いなことに、MacのフォントはWindowsのフォントほど「ぎゅうぎゅう」に詰まった感じには表示されません。なんたってデザインが得意な機械ですもん。そのあたりのことはよく心得ています。
 だから反対にMacでHPを作っている人のページは、文字が「ぎゅうぎゅう」で読みにくいな、と感じる事がしばしばあります。――正確には「読みにくいな」と思って管理人さんのプロフィールを読みに行くと「愛機はMacです」なんて書いてある(笑)。
 そんな訳で、この章はどちらかというとMacでHPを作ってらっしゃる方へのTIPSになります。Macでいい感じにできているHPを、Winでもいい感じで見てもらうための一工夫です。


 ではフォントを指定してみましょう。
 まずHP作成ソフトでフォントを指定してみて下さい。"Osaka"とか"Osaka−等幅"というフォント名が指定できる項目がどこかにあるはずです。きっと簡単に指定できるでしょう。
 次に“HTMLソース”の画面を表示して下さい。訳の判らない記号がいっぱい並んだ中に<FONT FACE="Osaka">と書いてある所があるはずです。
 ここを<FONT FACE="MS ゴシック">と直すだけでOK。"MS ゴシック"の"MS"と"ゴシック"の間のスペースは半角です。フォントの名前は一文字でも違っているとちゃんと表示してもらえません。注意して下さい。
 エディタで指定をする場合も同じです。文章の最初に<FONT FACE="MS ゴシック">を入れて下さい。ただし忘れてはいけないのが、文章の終わりに</FONT>を付けること。HP作成ソフトなら自動的に入ってくれますが、エディタではそうはいきません。これを忘れると思わぬ表示になる可能性がありますよ。


 正直に白状してしまうと、フォント名を指定することはあまりいい事と思えません。閲覧者の機械に指定されたフォントが存在しないとき、全ての表示はその機械まかせになってしまうからです。英文であればスタイルシートにフォントの種別を指定できますが、日本語にはそんな指定はありません。"明朝"とか"等幅"とか指定できればいいのに…。
 コンテンツが詩であったり歌詞であったり小説であったりする場合、そのイメージに合ったフォントで表示したい気持ちは判ります。できたら素晴らしいとも思います。けれど「平安朝の話だから」と"行書体"や"教科書体"を指定しても、思い通りに読んで貰える確率はとても低いです。
 本文のフォントを指定するよりは、レイアウトやイメージで雰囲気を作った方が絶対に確実です。文書のタイトルとして"まるもじ体"や"丸ゴシック体"を指定してらっしゃる方をよく見かけますが、こういう場合は<FONT FASE="丸ゴシック,MS ゴシック">というように、代用のフォントを指定するのも手段です。カンマで区切ってフォント名を並べれば、前から順番にフォントを探してあったフォントで表示してもらえます。あまりメジャーでないフォントをタイトルなどでどうしても使いたい場合は、gifファイルにした方がよいでしょう。


TIPS
 もし、あなたがMacでHPを作っていらっしゃるなら、それはとても幸運な事だといわばければなりません。はっきり申し上げれば、今現在の世の中、MacよりもWinのほうがはるかに数が多いからです。つまりあなたが作ったHPをお友達に見てもらって「ねえねえ、読みにくくない?」なんて事が聞けるのです。お友達のいない寂しい人でも、街のインターネットカフェにいけば必ずと言っていいほどWinのマシンが置いてあります。
 反対にWinでHPを作っている人は、血眼になってMac使いのお友達を探さなければなりません。しかもMacの場合、機種によって入っているフォントが違っていたり、使い手がフォントを入れ替えていたりして、Winに比べて表示を確定しにくいのです。――独断で言っちゃうと、Macというのはインターネット向きの機械じゃないような気がしています。
 実は私、Mac使いのお友達を捜しきれず…自分でiBookを買ってしまいました(確かに前から欲しかったんですが…)。おかげで自分のページが違う機械でどんな風に表示されているか判って、ずいぶん勉強になりました。
 「自分の環境が全てじゃない」って事を肝に銘じてHPを作らないと、知らない所で笑われる事になるやもしれませんよ。