縄文杉への霧想

 

 

 

大自然と人との融合

 

 

 

いろいろな思い出の旅をしてきたが

 

これほど旅の終わりに

 

疲労感のなく、故郷(日常生活場)への懐かしさ、安堵感以上に

 

旅したことの心地よさ、後味、

 

旅への郷愁を帰路で感じたのははじめてなくらい、いい旅を歩くことができた

 

それは、なぜなのだろう

 

 

 

あの縄文杉への道

 

土砂降りの中の行進

 

少々の疲労の中現れた、ウィルソン杉への

 

急峻な本格的登山道

 

雨やまず、更に急峻なそして、残雪ある登山道

 

その縄文杉への道

 

最近の日頃の、運動不足は承知していながら

 

歩くことへの従来からの自信だけが頼りの自分にとって久々の苦痛を感じた

 

 

 

しかし、あの全てを洗い流す土砂降り

 

日本最南端の雪景色

 

縄文杉を取巻く幻想的、人為に侵し難い霧想の風景

 

そして晴渡りゆく屋久島の風景

 

清流に戻りゆく水の流れ

 

 

 

自分の中の自然が久々にショートした

 

人工的都会にすさぶ自分の中の自然がはじけた

 

自然に、心許し、心預け、邪念なき自然と融合した

 

私たち、人間も自然の一種であることを思い起こさせてくれた

 

人間の利己的侵食

 

それに侵される偉大なる心のふるさとの大自然

 

失うこと、取り返しのつかないことへの無自覚

 

自然は人間ほどダイナミックに動いたり、工作したりすることはできないけれど

 

不器用に、滅びていく

 

あの大自然との会話を今後も大切にしていきたい

 

知恵を持った人間が共生する努力をしなければ、

 

人間自らを滅ぼす

 

 

 

人間同士の共生も

 

そんなところから教えられないと

 

判らないものか

 

 

 

 

大自然は、無言で我々に語り掛ける

 

何代も生き続ける杉

 

倒れた木の上に更に生き行く木々

 

 

 

 

屋久島に大自然あり

 

本土にはない

 

激しさあり

 

 

 

そして、それを愛する人々あり

 

それでいいのかな

 

本当は、屋久島に限らず

 

残された自然は人為抜きに

 

大切にしておきたい

 

 

 

しかし、自然を侵すことのでき、自然を失う行為をする

 

人間は

 

人間にとっては、大切に触れ合うことが

 

可能なら、こころある人々であるなら、どんどん屋久島を経験すべきである

 

激しい、厳しい自然の屋久島は

 

人の心の激しさ、厳しさ、そして、やさしさを、永遠に教えてくれそうで

 

 

 

感謝、感謝、感動の大自然

 

屋久島よ

 

ありがとう

 

 

                                                     1999.2.24

 

 

*1.句三つ

 

 

 

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