2006.8.11-12

東北は主人の実家があるために毎年夏に必ず帰省しています。
でも東京から東北はホントに遠い!
移動時間がかかるので、なかなか他のところに寄るのは難しいのですが、
今回は少し長めに休みがあったので、帰省の前に1泊「白神山地」あたりを散策してから帰る事にしました。

休みをフル稼働させるために、池袋から秋北バス「ジュピター号」に乗り、能代STに到着。帰省時期なのでバスも満席。
11時間という長時間だったので、朝のまぶしい日差しが疲れた身体に突き刺さる。
バスSTで洗顔し、コンビニが併設されていたので朝ごはんを購入し、JR能代駅まで誰一人すれ違う人のいない駅前商店街を抜け、歩いていく。そう、「リゾートしらかみ1号」に乗るために。


静かな「JR能代駅」

一度乗ってみたかった「リゾートしらかみ」に乗り、
目指すは「十二湖駅」
この電車は全席指定で一日3往復しか走っていないので
この時期は当然満席。
きっちりタイムスケジュールを組んで予約しておいた。

大きく腰の辺りまである車窓から見る景色はダイナミック!
しかもこの五能線は「東能代駅」から「鯵ヶ沢駅」あたりまでずっと日本海の海岸線を通るので、ずっと水平線を眺めながら乗れるのだ。
あまりの景色の美しさに、電車に乗っているだけでも大満足なのだった。
(但し、天気の良い日は日差しが強すぎて車内が暑い!冷房が効かないみたい)

マメ情報:2005年頃の”大人の休日”CM(ポスター)で吉永小百合が乗っているのがこの「リゾートしらかみ」だそうです。
(あのCMシリーズ、小百合さんが素敵で本気で旅したくなりますネ。)

車窓から見える日本海

約1時間のクルーズの後、「十二湖」駅に到着。

そこから接続のバスに乗り、「奥十二湖」というところで降りる。
散策マップを片手に早速歩き出す。
15分ほどで「青池」の到着。青いインクを流し込んだような深い色。
森の中なのでうまく写真が撮れない。きれいな青が撮れません。
観光客も一杯で、青池の前で写真を撮ろうと思っても順番待ちで諦めます。

湖の底にはブナの木が静かに横たわり、人間のざわつきなんかには目もくれないよ、と言われているようだった。

鶏頭場の池

青池

普通の観光客は青池見学だけで帰ってしまうが、私たちはその先にある「ブナ原生林」まで足を伸ばします。

白神山地はとても広いので、一日や二日では廻れません。
登山をしたら時間的に1泊で実家まで帰るのがムリだったので、深い部分に入るのは諦めていました。

散策の途中、「白神岳」への登山口の脇を通った。残念だけど山の上を見上げながら「またね」と言って通り過ぎた。いつかこれるのかな?

右も左も、頭上も全てブナの森。8月だが湿気の多い空気がまたみずみずしい。
体中の毛穴が開いて、きれいな空気を取り込もうとしているワタシのカラダ。

そしてそのもっと奥へ歩き出すと、いよいよ「原生林」という言葉がぴったりの景色になってきた。
草がおい茂り、誰も歩く人などいない。ルートを見失いそうになる場所もちらほら。ただの観光地だと思って地図も持たずに入ったので不安がよぎる。

それでも「長池」「萱原の池」を越えた頃、3人の地元のおばさんたちに出会う。たくさんの草を刈っていた。うーん、何か食べれるものだったのだが名前を忘れてしまった。
地元の方に帰り道を確認して歩き出すと、コテージがたくさんある広場に出た。ここが「十二湖リフレッシュ村」

ここまでくるのに湿気による暑さで汗びっしょりだったので、昼食がてら小さなレストランで休憩する。
我慢できず、生ビールを頼む。
冷たさがカラダに染み渡り、なんておいしいんだろう。生き返ったー。

およそ90分のトレッキングコースでした。

青池・沸壺の池散策コースのブナたち

一旦「王池」の車道まで出て、また森方面へと上りなおす。
目指すは「日本キャニオン展望所」
小さなアップダウンを繰り返し、開けたところが「展望所」

塊状で層理のないさまざまな形の巨大な白い岩は、アメリカコロラド高原のグランドキャニオンを思わせることからその名がついたそう。
日本キャニオンの岩壁は、そんなに高くないのに(と思う)沖合を航行する船からもよく見えるので、船乗りたちの目標にもなっているというから驚きだ。

日本キャニオンのバス停から十二湖の駅まではバス時刻が合わないので歩くことに。
でも、歩き出してすぐに後悔。暑いんです。日本海側って涼しいイメージがあったのですが大はずれ。
おまけに夜行バスの疲れが出てきて眠いの何のって。

またしても汗だくになって十二湖駅に到着。駅でビール(!)を飲もうと思ったらなんと売ってません!自販機もありません!もちろんコンビニや店などひとつもありません。あるのは駅に併設されたオミヤゲコーナーのみ。これはイタかった・・・

展望所から見おろす日本キャニオン

バス停から見上げた日本キャニオン

電車に乗り込み、このまま今夜の宿のある「鯵ヶ沢駅」までゆったりまったり。
5号は途中の「千畳敷駅」で停車しないので徐行運転で車窓からの景色だけ。
下車できる号だと千畳敷まで降りれるらしい。いいなー。

昼間あんなに天気が良かったのに、夕方は曇ってしまい夕日はお預け。


「鯵ヶ沢駅」に着くと、宿の方が迎えにきてくれていた。
今夜の宿は鯵ヶ沢温泉「グランメール山海荘」しずかでのどかな村の高台にうっすらピンクのホテルが建ちちょっと異様だが、中は大正ロマン漂う清潔で素敵な宿。

「リゾートしらかみ5号16:03発」に乗る時間まであきすぎたので、日本海の海の水を確かめに海岸まで降りていく。
飛び込みたい気分だったがそうもいかず。うーん、あまり色はキレイじゃないかも。三陸の海のほうが青くてキレイかも。


駅で時間をつぶすのだったら、行きたかったところがあった。 「不老ふ死温泉」
ホントは宿泊してこの辺をもっとゆっくり散策したかったのだが、2ヶ月前でももう一杯で取れませんでした。
前にも一度行こうかと思って電話したらやっぱり一杯。人気があるようです。

後で聞いたら日帰り入浴をやっていたそうなので、がんばって行けば良かったかなー、と後悔。
でも電車の時間が決まっているので実際難しいスケジュールでした。

駅まで戻り、入線してきたのは「橅編成」3兄弟列車のこれで2台目。

鉄ちゃんじゃないけど、なんだか嬉しい。デザインが違うのがイイ。

みんなでカメラスタンバイ!

ブナ

プラネタリウムのような車内

車窓から「千畳敷」

日本海に沈む夕日を見ながら入れる露天風呂でその瞬間を待ったが、曇りの為イメージだけ。

夕食は日本海らしく海の幸満載なメニュー!
お刺身はもちろんおいしいのですが、アワビをお刺身か踊り食いかを選べる設定なのも嬉しい。もちろん二人なので両方頂ける。
夕食の後、館内の「ニシン記念館」で津軽三味線のステージが。
若い頃はこういうのに全く興味を示さない私たちであったが、年のせいか馴染めるようになった。
むしろその土地でしか味わうことの出来ない祭りやイベントに積極的に参加したくなった。先が短いってことか・・・

東京から日本海、太平洋まで二日間で移動するには、ココまで来ておかないと翌日の行程がツライ、ので時刻表とにらめっこして計画してきた。

東北ってホント広い、としみじみしながらハードスケジュールだった一日が暮れて行った。

ホテルの概観

津軽らしい館内デザインと、津軽三味線と歌のイベント

新鮮なお刺身・鮑はキモもちゃんと料理してくれる・デザートいっぱい・海鮮サラダとおそばは食べ放題・他にもいっぱいのメニューで食い倒れた

翌朝はホテルのオリジナルプランの「ミニ白神散策ツアー」に参加。チェックアウトを済ませ、専用バスでミニ白神入り口の「くろもり館」へ。
車で50分ぐらい山に入った所にあります。

「ミニ白神」はおよそ2.8kmに及ぶ遊歩道が樹木の周りをうねるように走っているところ。双眼鏡と野鳥ガイドブックを片手に、バードウォッチングが楽しめるそうです。

このツアーは本数の少ない「リゾートしらかみ」の発車時刻にあわせて組まれていて、電車の時間までに「鯵ヶ沢駅」まで送ってくれると言うものなので、あまりゆっくりしている時間はありません。

でもさほど広くはないので一周1時間ちょっとで全部廻ってみることができました。ビジターセンター「くろもり館」で うちわ を手渡されましたが、これは”風がなくて暑い”暑さ対策と、”寄ってくる虫をうちわで叩き落とす”という為のものだそうです。なるほど。

途中「ブナの声を聞く」為の聴診器が置かれているエリアがあります。地面から水を吸い上げる音らしいのですが、残念ながら聞くことはできませんでした。
また、ブナの実を食べる為に登る「熊の爪痕」が残っているブナにご対面。とても大きな爪痕です。

クマの爪痕

散策を終え、実家へと戻ります。

今日の電車は「リゾートしらかみ・くまげら編成」です。車内の展望ラウンジでは「津軽三味線生演奏」が行われています。夏休みの為、中学生の女の子も参加して弾いています。
演奏中は車内放送で流れているので、どの席にいても聞くことが出来ます。

のどかな風景を見ながら、津軽三味線を聴くと、ああ、ここは青森なんだな、と、改めて感じるのでした。

鯵ヶ沢駅から青森まで約二時間。そこから東北本線「白鳥」に乗り換え「八戸」まで。
そこから「ディーゼル車八戸線」(ディーゼルですよ!)に乗り「久慈駅」
そこから三陸鉄道に乗り換え実家の駅へ到着したのが18:00頃。
本日の乗車時間約6時間。
能代から青森ぐるっとまわって三陸まで、総移動距離320km。東京から能代まで700km。なんと二日間で1000km以上も移動した電車とバスの旅でした。(我ながらよく計画したよ・・・)

                                  おしまい。