浴衣で温泉街を歩けるところへ行ってみたい、と思って見つけたところがここ長野県の渋温泉。
外湯巡りが出来るということで、思い切って2泊3日の湯治旅をすることにしました。
渋温泉は長野駅から「長野電鉄」湯田中行きに乗り特急約50分、湯田中駅にあります。   ⇒手書きの地図です^_^;

湯田中駅に到着すると、辺りはコンビニが一軒だけの静かな駅前。
レトロなアーチをくぐり、湯田中温泉を経て、渋温泉へと歩きます。
20分ほどで渋温泉の入り口へ。
予想していたよりずっと狭い路地がこの温泉街。映画のセットみたいな小さい街だった。
宿に着いて外湯巡りの鍵をもらい、早速浴衣に着替えて温泉へ。

外湯は地元の方たちが交代で管理しているそうです。借りた鍵で中に入り、中からは鍵ナシで自由に出れる、という仕組みです。男女とも同じ鍵なので、入るときは同時に入ります。

外湯入り口においてある「スタンプ」を温泉の名前の入ったてぬぐいに入浴したら押していく。
そんなスタンプラリーみたいなのも結構楽しめる。

九湯それぞれに作りも温度も違いますが、全て源泉かけ流し。白い糸のような天然の湯花が浮いていて、まさに地球の恵みを頂いている感じ。

今回は二泊、と、温泉街ごと楽しみたい、という目的があったので、宿はリーズナブルなところを選びました。(でも金具屋行きたかった。空いてなかった)

夕飯を食べ、又温泉。そして夜の温泉街をカランコロンと下駄で歩きます。
目指す「米龍」へ。
ここの名物は「豆腐ラーメン」独特の深みのあるスープが癖になりそう。
お店を経営している「米子おばあちゃん」も味のある、いい人だ〜。こういう温泉街に憧れていました。

「米龍」名物「豆腐ラーメン」

ランチタイムと夜だけの営業
「米龍」

ライトアップされた「金具屋」

一番湯:初湯

九番湯:大湯

八番湯は結構好きかも

さて、食べ過ぎた翌日は運動がてら近くの「地獄谷温泉」へ。
とは言うものの朝から念願の雪が降っていたので、温泉街からシャトルバスに乗り20分ほどでパーキングへ到着。

ここにも「後楽園」という宿がある。ここは秘湯のひとつ「歩いてしか行かれない温泉」なのだ。といっても15分ほどだが。
途中、シューシューとすごい勢いで噴泉があがっている。
地球の威力を垣間見る瞬間だ。

「温泉に入るサルを見れるのは世界でもここだけ」という「野猿公苑」へ行くと、こんな雪の中どこから来たのか?外人客もいました。

いたいたー!サルたち。でもここのサルはおくゆかしい。人間に慣れている様でも触られたりはしないし、いたずらもしない。
みんな気持ちよさそうに露天風呂に浸かっています。なんだか人間と同じだな〜。

帰りは宿まで歩いて戻ります。約30分の道のり。
途中で雪がやみ、白く化粧した木々の間から青空が覗いた。

温泉街に着き、宿に戻る途中にあった「観光案内所」に寄ると、この辺りに酒蔵があるとか。
酒!と聞けば行かずに入られない私たちは酒蔵目指して歩き始める。
10分ほどで到着。おそるおそる重厚そうな造りの玄関を開けると・・・中はギャラリーを併設した蔵元のイメージではないスペースだった。

木材の魅力を生かした創りのギャラリーは、明度を落とした設計でとても落ち着いた雰囲気。利き酒を頂きながら、ほ〜っと眺めるギャラリーもオツなもの。
昼間、というのがまた良いのだ★

「玉村本店」

とても広いギャラリー

焼き物もある

長野県出身:草間彌生さんの絵もあった

窓にはサンドブラスト

「ただいま〜」と宿に戻り、日曜のチェックイン後の空いた宿の湯に入る。いつも土日の混雑した温泉ばかり入っているので新鮮だ。
貸しきり状態で入浴し、そしてまた残りの外湯巡りを始める。

今日のランチは「「幸寿司」お客は私たちのみ。
湯上りのビールとお寿司で午前中に歩いたカロリーは、あっという間に使い切ってしまったのだった。

今回の宿「ひしや寅蔵」

佐久間象山の入った湯だとか

渋温泉は建物の上部が全て格子状に開いていて、外気が入る(出る)しくみになっています。
それでも滾々と湧き出るお湯のパワーが勝り、全然寒くなんてないのだった。

番外湯:信玄かま風呂にもはいり、10湯全て制覇し、この階段の先にある「高薬師さん」に詣でれば満願成就です。
九(苦)労を流し、厄除け、安産、不老長寿などののご利益があると言われています。
楽しかった湯治も終わりが近い。湯あたり?全然なかったです。

3日間、何をするわけでもなく、ただただ温泉に浸かり、お酒を飲み、だら〜んとした時間を過ごしてみたが、飽きなかった(笑)

浴衣のまま下駄を履いて石畳の街をゆらゆら歩くことがこんなに楽しいとは思わなかった。

日本の良き習慣や、建築、街の姿やそこに住む人々の素顔に触れられたような旅でした。
季節を変えてみればまた、そこには違った景色や空気があるはず。また訪れたい温泉のひとつになった。   おしまい。



渋温泉


高薬師への階段

巡浴祈願手ぬぐい

朝の「金具屋さん」と湯けむり上がる路地の風景

2007.1.26-28

外湯の屋根部分から光が差し込んでキレイ